製造工程は常にアップデートされていく | クリス・フレミング インタビュー

MIJ Interview

日本製フェンダーが今年で生誕35周年を迎えます。手に取りやすい価格と、その品質の高さから、日本のみならず海外のアーティストからも絶大な支持を得てきた日本製フェンダーから、新シリーズ「MADE IN JAPAN TRADITIONAL」が発売されました。カスタムショップにおけるマスタービルダー、クリス・フレミングを迎えて徹底的な品質向上を図りつつ、ロゴの書体やデカールの貼り方に至るまでヴィンテージのフェンダーを再現した本シリーズ。今回は、フェンダーのマスタービルダーでもあり、「MADE IN JAPAN TRADITIONAL」シリーズの開発に当たり日本工場の刷新に多大な寄与を果たした研究開発部門のクリス・フレミングに話を聞きました。

MADE IN JAPAN製品を通して、次世代のフェンダー像を目指す
 

―  今までの日本製フェンダーに関して、その製造工程や品質全般に対してどのような印象をお持ちでしたか? 日本製ならではの良い点など、あなたの印象を教えてください。

クリス・フレミング(以下、クリス)   私は昔から日本製の大ファンです。日本製フェンダー、すべてが大変興味深く、高いクオリティで作られている印象を受けていました。実のところ、日本で作られていたフェンダーギター&ベース製品は、US製に比べて遥かに優れた製品を輩出していたと思っています。CBS時代は、フェンダーファンにとっては残念に感じることが多い時期だったのではないでしょうか。80年代後期に生産された日本製ギターは、今日でも高い需要を誇ります。私自身この時期の製品をいくつか所有しており、未だにお気に入りのコレクションとして大切にしています。

―  本プロジェクト(MADE IN JAPAN TRADITIONAL)に関わる以前の製造品質についてはどのように感じていましたか?

クリス   以前から高いクラフトマンシップを誇り、美しい製品を製造し続けてきました。仕上げも完璧です。私がこのプロジェクトに参加することになり、改善できたと思う点は、トラスロッドの設置方法、指板の固定方法、フレットの装着、そして最終的なセットアップです。これらの変更内容は、目に見えないところにおける改善がほとんどですので分かりづらいかも知れませんが、実際の製品を手にしたら、機能性と演奏性が向上したことがすぐお分かりになると思います。

―  このプロジェクトを始動してから製造工程はどのように改善されたと思いますか?

クリス   製造工程というのは常にアップデートされていくもので、“これが正解”という具体的な終着点は存在しないものと考えています。フェンダー社の製造部門はより優れたパーツを提供したり、製造基準や製造工程を現代化することによって生産性の向上をサポートしています。このプロセスは継続的に見直され、生産効率、製造品質、顧客満足度の向上に寄与するものだと信じています。

―  クリスさんが思い描いている“MADE IN JAPAN”の未来図はどのようなものですか? 最終的に達成したいゴールなどをお聞かせください。

クリス   先ほど申しましたように、全行程における改善を継続的に行うことで、製品の品質と価値を向上させ、MADE IN JAPAN製品を通して、次世代のフェンダーファンが安定的に世界最高品質のギターとベースを手に入れられるようにすることが目標です。

―  MADE IN JAPAN TRADITIONALシリーズが9月13日に生まれ変わりました。新しいMADE IN JAPAN TRADITIONALシリーズに対するあなたの心意気をお聞かせください。

クリス   個人的に、非常に満足できる製品を発表することができ、これらの製品群の開発に携われたことを誇りに思います。日本のみならず、世界の日本製フェンダーのファンの笑顔に出会えることを楽しみにしています。

Made in Japan Traditional

 

クリス・フレミング
2000年、フェンダーに入社。ギターやベースのみならず、マンドリン、バイオリン、コントラバスなど幅広い弦楽器の製作/修理を手掛けてきた彼は、フレッド・スチュワート、アラン・ハミル、ジョン・イングリッシュといったマスタービルダーのサポートを務めたのち、2003年にマスタービルダーへと昇格。ビンテージモデルへの造詣が深く、2004年にはその卓越した技術を注ぎ込み“50周年記念1954ストラトキャスター”のプロトタイプを製作。現在はR&D(研究開発)部門に在籍し、長年培ってきた経験を生かした製品を生み出している。