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今注目される素材「パーフェロー」とは?

フェンダーがギター&ベースのニューモデルへの採用を拡大するフレットボード素材に注目

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ピックガードに“SRV”の文字が刻まれ、上下逆さになった左利き用のトレモロ・システムやゴールドプレートのハードウェアが目を引くユニークなスタイルを持つStevie Ray Vaughanシグネイチャーモデル。

この伝説的なギターの見た目の特色に目を奪われ、つい見落とされがちになる重要な特徴のひとつが、「パーフェロー」指板です。

ギターの指板用ウッドとして適した素晴らしい素材であるパーフェロー材は、なめらかな感触とローズウッドに近い音色を実現し、やや明るめの色合いと硬さを持つ南米産トーンウッドです。

2017年1月2日に発効したワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)の改正に伴い、ローズウッドが新たに規制対象へ加えられたことにより、フェンダーでは、ローズウッドの代替素材としてパーフェローを積極的に採用していく予定です。

ワシントン条約(CITES)は1975年に発効した国際条約で、野生動植物の国際取引が種の存続や生態系に脅威を与えないよう規制するものです。

2016年末に開催されたワシントン条約に関する会議で、インド産やインドネシア産のローズウッド、さらに正確に言うとマメ科ツルサイカチ属と、ブビンカ属3種(Guibourtia demeusei/Guibourtia pellegriniana/Guibourtia tessmannii)などが、規制対象として条約附属書IIに加えられることが決定しました。これにより、ローズウッドを少量でも使用した楽器類の商用を目的とした輸出入に際しては、輸出国の発行したCITES輸出承認書と、場合によっては輸入国側のCITES輸入許可も必要になります。

そこで再注目されているのがパーフェロー材。 Stevie Ray Vaughnモデルの指板に長年採用されてきたこの素材は、今後フェンダーのエンセナダ工場(メキシコ)で生産される楽器に広く使用される予定です。

温もりを感じさせる色合いのパーフェローは、切れのよいアタックとクリアなサウンドを実現する指板に適した素材といえます。

「パーフェローは、業界の一部では“ボリビアン・ローズウッド”とも呼ばれています。パーフェローは以前からローズウッドの代替素材として知られており、フェンダーではいくつかのモデルにこの素材を採用してきました。さらに幅の広い素材も入手しやすかったため、90年代には5弦ベースの多くにパーフェローを使用しました。」(ジャスィン・ノーヴェル フェンダー・プロダクト上席副社長)

毎年恒例のNAMMショー開催直前の2017年1月に発効したワシントン条約の新たな規制について、フェンダーの製品チームが社内で検討した際、候補のひとつとして真っ先に挙がったのがパーフェローでした。

「さまざまなオプションを検討する中で、我々がまず重要視したのは、置かれた状況の中で最良のサウンドとフィーリングを保証することでした。フェンダーではいくつかのモデルで既にパーフェローを使用した実績があったため、ローズウッドからパーフェローへの切り替えに問題はないと考えました。2017年1月までに我々はパーフェローの採用を決定し、すぐに切り替え作業に入りました。我々はその時点で最善の方法を採ることができたのです。」(マイク・ボーン ウッドテクノロジー・ディレクター)

現時点でパーフェロー指板は、SRVモデルだけでなく、Jaco PastoriusモデルのJazz Bass®にも採用されています。

「パーフェローが最善の選択肢のひとつであるといえる理由は、フェンダーが長い間その素材を使用してきた実績があるからです。パーフェローは硬さと含油量がローズウッドと酷似しており、素晴らしいトーンが得られる上、ダークカラーがクールな印象を与えます」と、前出のマイクは述べています。

今後、Standardシリーズ、Deluxeシリーズ、Classicシリーズをはじめメキシコで生産される多くのギター&ベースにパーフェロー指板が見られることでしょう。

「フェンダーはブランドとして、ワシントン条約を全面的に遵守し、入手可能な最高品質の製品を顧客やディーラーの皆さまへ継続的かつ確実にお届けします。」(エドワード・コール フェンダーミュージック株式会社 代表取締役社長 アジア統括)