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MY FIRST FENDER - Nakajin(SEKAI NO OWARI)【後編】

今年で誕生から35年となる日本製フェンダーは、これまでも日本のみならず、世界中から愛され続けてきました。その安定した品質から多くの信頼を得ており、いつの時代も、ステージに立つことを夢見るプレイヤーから広く支持されています。その日本製フェンダーと共に過ごし、ミュージシャンとしての夢を叶えたアーティストが、実際に使用していた「はじまりの1本」に対する思い出を語ります。

My First Fender

インタビュー後編では、Nakajinの愛器であるTelecasterの話を中心に語ってもらった。

2本目のエレキギターだったけど、譲ってもらったときから手に馴染む感覚があった。
 

―  TelecasterはNakajinさんのタイムラインでは通らないと思ったんですけど、叔母さんから譲り受けたものだったんですね

Nakajin   最近、ギターテックの方にネックを外してシリアルナンバーを調べてもらったら、1987年製だったことが判明して。アルダーボディ、メイプルネック、ローズウッド指板。僕自身はJaguarの次の2本目のエレキギターだったんだけど、譲ってもらったときから手に馴染む感覚があったんですよ。弦高も低めに調整してあって、ネックは薄くて細くて弾きやすい。譲ってもらってからずっと手元に置いていて、つい最近のレコーディングでも3本のテレキャスターをオーディション的に試したんですけど、結局コイツが一番いい鳴りをしていました。レコーディング全体的にそうなんですけど、自分のパートはテイクも音色もメンバーと一緒に選ぶことが多いんです。弾いてて楽しいことと、聴いてていいと思うことは全然違うと思っているので、ギターをレコーディングするときは弾くことに集中して、音とかテイクは任せることが多いんですけど、このTelecasterをオーディションしたときはみんなが“いいね”と言ってくれて、すげぇな叔母さん!と思いました(笑)。

―  “いい鳴り”とは具体的にどこが良かったんでしょうか。

Nakajin   元気がある感じですごく抜けます。特にフロントポジションが好きなんですけど、他のTelecasterにはないものとしてハイのところが“カチャカチャ”いうんですよ。そのときは単音のカッティングフレーズだったんですけど、ハイの“カチャカチャ”した感じがすごくグルーヴィにノレて、それが他のギターにはないなと。コイツしか持っていない音なんですよね。しかもカラッとしてるので、アンサンブルの中で浮いて出てくる。でもフロントポジションは、温かみも丸みもあるところがすごく好きですね。

―  Fukaseさんも弾いていたことがあるんですよね。

Nakajin   ありますね。「虹色の戦争」のミュージックビデオではFukaseが持っているし、ライブで弾いたこともあります。今でも制作スペースの手を伸ばせば届く場所に置いてあります。『club EARTH』ではずっとこのTelecasterを使って制作していましたね。『club EARTH』では折り畳みベッドを並べて、寝泊まりしながらずっと制作をしていたんです。僕がこのTelecasterを持って横たわっていたところをメンバーに写真を撮られて、その写真はまだありますよ。だから、ずっとコイツといたんだなって。

―  ギターを始めた頃は、楽器の良し悪しってなかなかわからないじゃないですか。このTelecasterは使っているうちにお互いが馴染んでいったのか、もともと良い音だったのか、今振り返るとどう感じますか?

Nakajin   自分でギターを新しく買うときは、楽器屋さんに行って試奏しまくって何日も悩んで決めたりするんだけど、これは叔母さんから譲り受けたものなのでそんなに客観視はできていなかったのかもしれない。だけど、いろいろなギターを弾くようになってやっぱりモノが良かったんだと思いますね。ちょっと前までは、長年弾いていたから手に馴染むのかなと思っていたんですけど、レコーディングでもそうだし、結局このギターがいいんだなと。

―  このTelecasterにまつわる思い出を聞かせてください。

Nakajin   ボディ裏についている凹凸は、僕がパンク好きで鋲ベルトをつけていたときの傷です(笑)。ストラップロックはワッシャーなんですけど、これは『club EARTH』を自分たちで手作りしていたときに使っていた工具で。「虹色の戦争」のミュージックビデオを撮るときに、ギターが落ちると心配だということで『club EARTH』にあったワッシャーで固定した記憶がありますね。でも、Telecasterって本当に丈夫ですよね。DJ LOVEさんも“Telecasterは軽トラからぶん投げても壊れない”ってよく言ってます(笑)。コンパクトなのもいいし、チューニングの安定性もありますよね。

―  日本製のフェンダーでも普通に使えるというか、むしろいい音だから未だに使っているという。

Nakajin   DNCEとのコラボ曲「Hollow」のギターは、全部このTelecasterで弾いています。イントロのフレーズは、自分の部屋でインターフェースに直で差してLogicで録ったものです。でもめっちゃいいんですよ。

―  Nakajinさんは日本製のフェンダーだから手にしたわけじゃないにしても、日本製のフェンダーを最初に買うミュージシャンは多いんです。JaguarやTelecasterなど、最初のエレキギター体験がフェンダーだということが、今のサウンドに影響を与えている部分はありますか?

Nakajin   いろんな音楽を聴いてコピーしてきて、いろんなジャンルに対応できる感じはするなと思います。大学生の時にジャズギターにはまっていたときがあったんだけど、Telecasterは特にフロントにするとすごく甘い音が出るし、トーンを絞るとジャズ的な音楽にも合う。でもリアポジションにして歪ませればロック的なこともできるし、幅が広いなとは思いますね。 

―  Telecasterを使って家で好きな曲をコピーしてたNakajin少年が、これほど多くの人に音楽を届けることになると想像していましたか?

Nakajin   ゆずさんとかメロコアもそうだけど、自分が聴いてきた音楽に救われてきたので、そういう存在に自分たちの音楽もなれたらいいなとずっと想像はしていました。まずはデビューをしなきゃとか、ここでライブをするとか、マネージャーと出会うとかレーベルと契約するとか、バンド活動をしていると目先の目標が次々と現れてくるもので。でもゆくゆくは、ゆずさんのようにたくさんの人に聴いてもらえるようになるということを目標にしていたと思います。

―  音楽家の先輩として、今からギターを始めようと思っている人にアドバイスをお願いします。

Nakajin   よく“どうしたら上手くなれますか?”って聞かれるけど、僕はギターを弾くのが嫌になったことがないんですよ。ギターを始める前は、幼稚園から小学生までピアノを習っていたんですね。ピアノは毎週課題があって、練習が嫌なときがあってけっこう億劫だったけど、ギターは嫌だと思ったことがなくて。ピアノになくてギターにある一番いいところは、どこにでも持って行けるところだと思う。家で練習もするけど、公園だったり河原だったり友達の家だったり、どこにでも持って行ける。僕は家族旅行にも持って行ってましたから(笑)。楽しくてどこにでも持って行ってたけど、そうやって自分が楽しめれば絶対に止めないし続くものだと思うんです。だから、上手くなろうとするためにツライことをしようとしなくてもいいんじゃないかなと思います。僕も耳コピが楽しくてずっとやっていたし、オリジナル曲を作るようになったのもFukaseに“作ってみれば?”って言ってもらったのがきっかけだったりするので。それまで自分がオリジナル曲を作るなんて想像していなかったんですけど、楽しいことをやったほうがいいと思う。だから、弾きたいと思う曲を弾けばいいと思います。

› 前編はこちら

My First Fender

TELECASTER®
2本目のエレキギターとして手にしたのが、叔母さんから譲り受けたという日本製のTELECASTER®。シリアルナンバーから1987年に制作されたモデルで、アルバム『EARTH』の収録曲「虹色の戦争」のミュージックビデオではFukaseが手にしており、最新曲「Hollow」のレコーディングで使用するなど現役で活躍。一切改造はしていないものの、“このTELECASTER®にしか出せない音がある”と語るほど愛着を持っており、彼にとってなくてはならない存在となっている。


Nakajin(SEKAI NO OWARI)
メンバーは、Nakajin、Fukase、Saori、DJ LOVE。
2010年、突如音楽シーンに現れた4人組バンド「SEKAI NO OWARI」。同年4月1stアルバム「EARTH」をリリース後、2011年8月にTOY’S FACTORYよりメジャーデビュー。 2014年8月には、初の映画作品「TOKYO FANTASY」の公開。同年10月には、富士急ハイランドにて、6万人規模の野外ワンマンライブの開催。そして、2015年1月14日には、アルバム「Tree」をリリース。圧倒的なポップセンスとキャッチーな存在感、テーマパークの様な世界観溢れるライブ演出で、子供から大人まで幅広いリスナーにアプローチ、「セカオワ現象」とも呼ばれる加速度的なスピード感で認知を拡大した。

また、2015年7月18日、19日には日本最大規模の会場日産スタジアムにて「Twilight City」、2016年アリーナツアー「The Dinner」、2017年ドーム・スタジアムツアー「タルカス」を完遂。2017年7月「メアリと魔女の花」の主題歌「RAIN」をリリース。加えて、2018年には、伝説と言われた野外ワンマンライブの全国ツアーを開催することを発表。名実ともに、日本を代表するグループとなったSEKAI NO OWARI。新しい音楽シーンの最前線の旗手として、止まることなく、攻め続ける新世代の才能である。

› SEKAI NO OWARI:https://sekainoowari.jp



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