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パスピエ「パスピエ TOUR 2017 “DANDANANDDNA”」

2017年5月7日(日)に東京・渋谷NHKホールにて開催された「パスピエ TOUR 2017 “DANDANANDDNA”」の模様をレポート。

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今年1月、通算4枚目のアルバム『&DNA』をリリースした5人組ロックバンド、パスピエ。彼らが3月より、全国17箇所で行ってきたツアー「パスピエ TOUR 2017 “DANDANANDDNA”」のファイナル公演が、ゴールデンウィーク最終日の5月7日に東京・渋谷NHKホールにて開催された。

開演予定時間の18時を10分ほど過ぎた頃、暗転したステージに一筋のスポットライトが注がれ、まずは白いヴェールを纏った大胡田なつきが1人で登場。アンビエントなピアノ曲に合わせて即興のマーブリングを始めると、オイルアートがバックスクリーンにリアルタイムで投影される。程なくすると、その色とりどりのマーブル模様の中からツアータイトル・ロゴが浮かび上がり、会場からは盛大な拍手が巻き起こった。

「気づけばバンドメンバーのセッティングも完了し、最新アルバムから「ヨアケマエ」で本編がスタートした。床から転がしモニター、壁に至るまで真っ白に塗られたステージと、黒を基調としたメンバーの衣装が鮮やかなコントラストを作り出す。バンドのリーダー、成田ハネダ(Key)によるオリエンタルなピアノのイントロと、めまぐるしく変化するコード展開、三澤勝洸(Gt)が刻む歯切れの良いカッティング・ギターに、露﨑義邦(Ba)とやおたくや(Dr)が織り成す躍動感たっぷりのリズム・セクション。まさしく「パスピエ印」といったナンバーでの幕開けだ。

三澤が使用しているFender Custom Shop製Telecasterは、成田の弾くシンセの周波数帯域を考慮して、ピックアップが両方ともハムバッカーに改造してあるという。そのため、ハイポジションでの単音弾きからジャキジャキのストロークまで、アンサンブルに埋もれずしっかりと聴こえてきたのが印象的だった。一方、露崎がメインで使用しているのはFender Custom Shop Jazz Bass。「これぞフェンダーベース」ともいえる粘りのあるサウンドが、有機的なグルーヴを生み出していた。

そして、やはり目を惹くのは大胡田のヴォーカル・パフォーマンス。矢野顕子やケイト・ブッシュを彷彿とさせる、コブシの効いた独特の歌唱法を駆使しながら、抑揚たっぷりのメロディを軽々と歌いこなしていく。まるでシャーマンのようなダンスは、パスピエが持つ摩訶不思議な音楽性を「体現」しているかのよう。彼女がポージングをキメるたび、その指先からカラフルな音のカケラが舞い散るような錯覚を覚えた。

その後もアルバム『&DNA』からの楽曲を中心に、過去曲を織り交ぜながら進んでいく。「永すぎた春」では、日本人のDNAを呼び起こす「お祭りビート」をやおがコドコと打ち鳴らせば、ほんのりとディストーションを効かせた露﨑のベースがガシガシと隙間を埋めていく。続いて、初期の名曲「チャイナタウン」が繰り出されると、色とりどりのレーザー光線が舞う中、四つ打ちのキックに合わせて客席からハンドクラップが鳴り響き、オイオイコールが轟きわたった。すでにフロアはダンスホール状態で、ステージ狭しと動き回るメンバーたちの、一挙手一投足にも大きな歓声が上がっている。

また、アルバムの中でも取り分けベースが印象的な「やまない声」では、Fender American Elite Jazz Bassに持ち替えた露﨑がグイグイとアンサンブルを引っ張る。アクティヴらしく、パワフルかつファットなベースサウンドが特徴的。アッシュとメイプルという組み合わせもあって、音の立ち上がりも速く、思いっきり歪ませたソロパートでもしっかりと芯が残っていた。

ライヴ中盤で、露﨑は再びCustom Shop Jazz Bassに、三澤はAll Rosewood Telecasterに持ち替え、ファースト・アルバム『演出家出演』から「くだらないことばかり」「ON THE AIR」「S.S.(TOUR 2017ver.)」と3曲続けに、古参のファンを喜ばせる。軽やかな青春ポップソングと言うべき「おいしい関係」、切なさと多幸感が同時に押し寄せる「トキノワ」、ベースのソロパートを弾くたび黄色い声援が舞った「メーデー」など人気曲が続き、いよいよライヴは後半戦へ。

「今回は、ライブハウスとホールをミックスしたツアーだったんですけど、こうやってみんなの顔を見ていると、場所なんてどこでも関係なくて。僕らも楽しくやっています。ありがとうございます!」

成田がファンへの感謝の気持をそう述べた後、メンバー紹介をしながら楽器が徐々に加わっていき、「マイ・フィクション」へと雪崩れ込む。「ラストダンス」から露﨑は再びFender American Elite Jazz Bassに持ち替え、ラストの「スーパーカー」まで一気に駆け抜けた。知的かつ変態チックな音楽性と、ポップで親しみやすいメロディ、卓越した演奏能力に、チャーミングでカリスマ性あふれるヴォーカル。今のパスピエは、そのすべてが絶妙なバランスで融合した最高の状態にあると言うことを、高らかに宣言したような素晴らしいステージだった。

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› パスピエ:https://passepied.info