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Why We Play vol.1:尾崎裕哉 インタビュー【前編】

音楽と人、そして楽器。さまざまな表現手段の中から、なぜギターを選んだのか?そんな素朴な疑問にフォーカスを当て、ギタリストの内面に深く迫る連載企画「Why We Play」。今回は尾崎裕哉さんの登場です。

Why We Play

昨年、自伝『二世』を出版し、シンガーソングライターとしてはDigital 1st Single「始まりの街」でデビューを果たした尾崎裕哉が、早くも初のEP『LET FREEDOM RING』をリリースする。サウンド・プロデューサーに蔦谷好位置、ワーズ・プロデューサーにいしわたり淳治を迎えて制作された本作は、ブルースやR&B、ブルー・アイド・ソウルなどを通過したオーガニックなバンドサウンドと、心象風景を鮮やかに切り取ったようなリリカルな歌詞世界が印象に残る。

AC/DCを聴いて「今すぐギターを弾かなきゃ」と思った
 

―  尾崎さんが歌っている姿を見ると、やはりどうしても父親である尾崎豊さんを彷彿とさせますし、声も本当にそっくりだなあと思ってしまいますね。

尾崎裕哉(以下、尾崎)   自分の声なので、人に言われて「そうなんだ」とは思いますが、自分ではよくわからないんですよね。ただ、僕にとって尾崎豊は「父親」であると同時に「憧れの存在」なので、声が似てると言われるのは嬉しいです。洋楽を聴くようになるまで、僕は尾崎豊しか聴いてなかった。彼の曲を聴きまくって、真似をして。なので「比べてもらうなんて、良いんですか?」っていう感じなんですよね。

―  洋楽を聴くようになったのはいつ頃ですか?

尾崎   14歳の時に、AC/DCを聴いたのが最初です。当時ボストンの寮に住んでいたんですけど、隣の部屋に住んでいた台湾系アメリカ人から、「これやるよ」って言って渡されたのが、AC/DCの『Back in Black』(1980年)というアルバムのタブ譜だったんです。それまでAC/DCは聴いたことがなかったんですけど、聴いてみたらものすごくカッコよくて。前からギターは弾いてみたかったのですが、「これは今すぐ弾かなきゃ」と思った。

―  それまでは、ギターは弾いたことがなかったんですね。

尾崎   ギターといえば、父親のイメージがすごくあっただけに、自分で弾き始めるハードルが結構高くて。俺、何にしてもすぐ出来るようにならないとイヤなんですよ。そうしないと飽きちゃうので。ギターってバーコードを押さえるの難しいし、理論とかもよくわからなかったから、手をつけられずにいたんです。AC/DCを聞いて、まずは「Whole Lotta Rosie」「You Shook Me All Night Long」、それから「Back in Black」は絶対に弾こうと決意しましたね。ちなみに、初めて触ったギターは父親が持っていたフェンダーのストラトキャスターでした。

―  ギターはすぐマスターできました?

尾崎   最初は全然。でもタブ譜ってすごく便利じゃないですか。数字を見ればポジションも分かるし、それにかなり助けられました。しかも、毎日弾いているうちにどんどん弾けるようになるのが楽しくて。曲に合わせて弾いていると、自分もAC/DCのメンバーになれた気がしました。でも、アンプを通してなければペラペラの音ですよね。「なんで同じ音にならないんだろう」「そうかアンプを通して歪ませればいいんだ」って。そうやって徐々に覚えていきましたね。AC/DC以外では、レッド・ホット・チリペッパーズやメタリカにも挑戦してみました。ちょうどレッチリの『Californication』が流行っていた頃でしたね。

―  他にはどんな音楽を聴いていましたか?

尾崎   AC/DCをキッカケに、ルーツを辿って行く中でレッド・ツェッペリン、BB.キング、エリック・クラプトン、ロバート・クレイ。特にブルースに惹かれましたね。俺の弾くギターって土臭いのはそれが理由です。「ペンタトニックでどこまで追求できるか?」みたいな。それが自分の特徴なのかなと今は思っていますね。

―  オーセンティックなギターが好きな一方で、ジョニー・グリーンウッド(レディオヘッド)のような実験的なプレイも好きだとお聞きしました。

尾崎   そうなんです。あと、最近はR&Bが好きで、そういうギターを弾きたいと思っています。ルーツはあくまでもクラシック・ロックですけどね。

―  中でもフェイヴァリット・ギタリストは、ジミ・ヘンドリックスとジョン・メイヤーだそうですね。

尾崎   16歳くらいまでは、ひたすら色んな洋楽を聴きまくってたんです。ニール・ザザとかジョー・サトリアーニとか、いわゆる「名ギタリスト」と呼ばれている人は、とりあえず全員コンプしようと。そんななかで、やっぱりジミ・ヘンドリックスは避けて通れなくて。「伝説のギタリスト」と言われているし。聴く前から「もう絶対すごいのは間違いない」と思って最初に聴いたのが、よりによって『Jimi Hendrix: Live at Woodstock』だったんですよね。「……これは、音楽なのか?」と。正直、受け付けられなかった(笑)。

―  ぶっ飛び過ぎてて。

尾崎   そうなんです。「Star Spangled Banner」(「星条旗」)とか、もちろんカッコいいんですけど、音はファズで潰れまくってるし、「よくわかんねえ!」って(笑)。だから最初はハマらなくて。後になってから『Are You Experienced』や『Axis: Bold as Love』など、初期のアルバムを聴いたらポップでびっくりしました。

› 後編に続く




動画使用機材
 
Why We Play

'68 CUSTOM TWIN REVERB®
1968 年はフェンダーアンプにとって大きな節目の年となりました。 純粋なフェンダートーンを備えた、新しいルックス“シルバーフェイス”の登場により、ミュージシャン達の選択するアンプの幅は広がり数えきれないほどのギタリストがフェンダートーンをかき鳴らしてきました。 シルバーとターコイズブルーのフロントパネルと上品な“ドリップエッジ”のグリルが特徴。 68 Custom アンプは世界トップクラスの深く、明確で強力なチューブトーンを紡ぎだしクラシックなフェンダーサウンドを実現します。 当時の外観とトーンパフォーマンスに敬意を表しつつ大きな柔軟性が加えられた本機種は2基の12 "Celestion®G12V-70“スピーカーを搭載し、現代にも明確にロックンロールスピリットを伝導してくれます。 “Vintage”チャンネルは伝統的なシルバーフェイスのトーン。“Custom”チャンネルはBassmanのトーンスタックを有しています。 タッチセンシビティを豊かにする為に、ネガティブなフィードバックを軽減。ハンドワイヤードチューブソケット、オリジナル同様のカスタムメイドシューマッハ製トランス。純正フェンダー、チューブ駆動型のスプリングリバーブとトレモロ(ビブラート)は両方のチャンネルで共有されます。

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尾崎裕哉 使用機材
 
Why We Play

JIMI HENDRIX STRATOCASTER®
右利き用のギターを左手に持ち換えて演奏し、左利きでも弾きやすいように弦を張り直すなど、ジミ・ヘンドリックス独自のプレイスタイルやサウンドをベースに生み出された本モデル。リバースヘッドストックと特別なブリッジピックアップを搭載。リバースヘッドストックにより6弦側が長くなり、タイトな演奏感を体感できる他、1弦側では、より簡単にベンディングやビブラートを楽しめる。ピックアップは、リバーススラントブリッジピックアップを含む、アメリカンヴィンテージ65’シングルコイルピックアップ。70年代スタイルのヘッドストックの背面には彼のシグネチャーが刻まれている。

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Why We Play

Custom Shop Monterey Stratocaster®
ジミ・ヘンドリックスが1967年のモンタレーフェスティバルにおいて1曲のみプレイし破壊した伝説のストラトを、フェンダーカスタムショップが1990年代に210本限定で製作したモデル。


尾崎裕哉
1989年、東京生まれ。2歳の時、父・尾崎豊が死去。母と共にアメリカに渡り、15歳までの10年間を米国ボストンで過ごす。帰国後、バンド活動を開始。ライヴハウスなど現場で、ライヴパフォーマンスの経験を重ねながら、ボストンのバークリー音楽大学の短期プログラムへ参加するなどし、音楽スキルをレベルアップ。 米国で経験したホームレス支援活動や、国際NGO『ルーム・トゥ・リード(RTR)』創設者兼共同理事長のジョン・ウッド氏の活動に触れたことがきっかけとなり、社会起業家を目指すべく慶應義塾大学へと進学する。大学時代は、学業の傍ら、楽曲制作とライブの経験を積み重ねながら、2010年からInterFMで、洋楽紹介番組『CONCERNED GENERATION』、13年から15年まで『Between the Lines』のナビゲイターを務める。2016年に、自伝『二世』を出版し、アーティスト「尾崎裕哉」としては初の音源となるDigital 1st Single「始まりの街」をリリース。そして、生放送のTBS特番『音楽の日』でテレビ初生出演を果たし、瞬間最高視聴率を記録。2017年3月22日、初のフィジカルCD作品『LET FREEDOM RING』をリリースする。また、これまで書きためたオリジナルソングを中心に、「HIROYA OZAKI "LET FREEDOM RING TOUR 2017”」と題した初ツアーを敢行中。

› 尾崎裕哉:https://www.hiroyaozaki.com/