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2019年グラミー賞でアーティストと共に輝きを放ったフェンダーのギター

H.E.R.がプレイした、アクリル製のStratocasterが製作された背景と、ステージでフェンダーを使用したアーティストたちを見ていきましょう。

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61回を迎えたグラミー賞のパフォーマンスの中で、一番話題となったのは、誰もが目を見張ったあのギターでした。

会場となったロサンゼルスのステイプルセンターは、4つのカテゴリ(最優秀R&Bアルバム賞、最優秀アルバム賞、最優秀新人賞、最優秀R&Bパフォーマンス賞)にノミネートされた、カリフォルニア出身のシンガーソングライター H.E.R.の登場に揺れていました。H.E.R.はアクリル製のStratocasterをプレイしながら歌った魅力的なバラード"Hard Place"で、人々を魅了しました。

このユニークなギターは、Fender Custom Shopのスコット・ビュールによって、製作されました。(彼はグラミー賞の一週間前にこのプロジェクトを知ったそうです)

このプロジェクトはH.E.R.の事務所が、フェンダーのアーティスト担当部門に"透明なギターって作れる?"と言う質問をしたことから始まりました。その質問を受けたモナ・エンクルマは、すぐに生産の可否を確かめるため、Custom Shopを含むオペレーションの最高責任者エド・マギーに連絡をしました。

通常、完璧ではないにしろ、きちんとしたサウンドを出すことができる、このタイプのショーに使われるようなギターであっても、製作に最低でも1ヶ月は掛かります。しかし、Fender Custom Shopは総力を尽くしたのです。

エドは言います「僕はとってもクレイジーな質問をみんなにしたんだよ"1週間で製作できる?”ってね」「そしたら彼らは戻ってきて、できるって言ったんだよ。そして100%それに注力したんだ」

以前アクリルで楽器を製作したことがあったスコットは、このギターに取り掛かり、1週間このギターだけに費やしました。それは簡単な作業ではありませんでしたアクリルにうまく穴を開けられるだろうか。アクリルは、フライス盤でボディを削る際に注意しないとすぐにヒビが入ってしまう、とても繊細な素材です。また、アクリルはとても重い素材ですが、スコットは試行錯誤の結果、重さを10.5ポンド(約4.7kg)に抑えることに成功しました。


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「材料としてアクリルを使用するのは、とても難しく、気をつけないと取り返しがつかなくなってしまいます。私は、時間をかけて、系統だったアプローチで進めて行く必要があったんです。」スコットは続けます。「アクリルのブロックから製作をするのは初めてのことではなかったんです。穴を開ける加工をする時にはゆっくり行う必要があります。急いで行うと溶けてしまうんです。でも、私はアクリルの気持ちがわかるんです」その美しいボディの形状に加えて、このStratocasterには、透明なピックガードと、美しい配線が取り付けられています。そこに素晴らしいメイプルネックを取り付けて。そう、その瞬間は夢の様なできごとでした。

「たくさんの同僚に協力してもらって、とても感謝してるんだ」スコットは言います「本当に素晴らしい経験だったよ。結果宝石の様に輝くギターができた。あとはアーティストが喜んでプレイしてくれることを願ってるよ」

実際、最優秀R&Bアルバム賞と最優秀R&Bパフォーマンス賞を受賞したH.E.R.が、グラミーのステージでそのギターをプレイしたことは、Fender Custom Shopの実力の証とも言えるでしょう。


 
 

バインディングの入ったスパークルカラーが目を引くCustom Telecasterを弾くポスト・マローンとコラボレーションした Red Hot Chili Peppersのベーシストフリーは、インカシルバーカラーの新しいシグネイチャーモデルをプレイし、ギタリストのジョシュは、Stratocasterで素晴らしいプレイをしました。また、マイリー・サイラスとコラボレーションしたショーン・メンデスは、ヒット曲"In My Blood"をテレキャスターでプレイし、ジャネール・モネイはDuo-Sonicで素晴らしいパフォーマンスを魅せました。


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2019年グラミー賞において、フェンダーもまたその存在感を確固たるものとしたでしょう。