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「買うなら絶対にフェンダー」と決めていた | SILENT SIREN インタビュー【後編】

読者モデルを中心に結成された、4人組ガールズバンドSILENT SIRENが、レーベルを移籍して初のアルバムとなる『GIRLS POWER』をリリースする。単に「GIRLS POWER＝女子力」という意味だけでなく、女性のか弱い部分からたくましい部分まで、さまざまな側面を描いたという本作は、彼女たちの“底力”が詰まった意欲作だ。結成以来、一歩一歩着実に実力を身につけてきた彼女たち。今回は、ボーカル＆ギターの“すぅ”と、ベースの“あいにゃん”に話を聞いた。

―  そもそもお二人は、どんなキッカケで楽器を弾き始めたのですか？

すぅ   子供の頃からピアノをずっと習っていて。ピアノから一番入りやすかったのが、ギターだったのかもしれないです（笑）。どんなギタリストがいるのかとか、そういうことは全然詳しくなかったんですけど、お兄ちゃんがTHE BLUE HEARTSさんの大ファンで、家にあったTHE BLUE HEARTSさんのライブビデオを初めて観たときに「弾きたい！」って思ったんです。とにかく（甲本）ヒロトさんがやばいじゃないですか。曲が始まった瞬間、何でこんなに機敏な動きをするんだろうって（笑）。ギターの大きな音にも圧倒されましたね。そこから椎名林檎さんを好きになったり、中学生のときは先輩に教えてもらったメロコアにハマったり。「バンドってカッコいいな」と思うようになっていきました。そうそう、お姉ちゃんがバンドをやっていたので、それも大きかったと思います。考えてみれば、ピアノを習い始めたのも、お姉ちゃんのマネからでした。

―  最初にギターで弾いた曲は覚えていますか？

すぅ   THE BLUE HEARTSさんの「終わらない歌」でした。あとは「リンダリンダ」とか。BUMP OF CHICKENさんの楽曲もよく練習していましたね。あとすごく好きだったのはadvantage Lucyさんという女の子ボーカルのバンド。スコアを買うくらい好きだったんです。Hi-STANDARDさんは今でもずっと好きですね。

あいにゃん   私は2つ上の兄の影響が大きかったです。兄が高校生のときにバンドを組んで、家にベースがあったので、私もそれを触らしてもらっているうちに、段々と音楽が好きになっていきました。初めてライブハウスへ行って、家のスピーカーやイヤホンでは感じられないような重低音を浴びたときは、本当に衝撃を受けましたね。「これがベースの音なんだ！」って。そこからもう、「バンドを組むなら絶対にベース」と決めていました。地元でガールズバンドを組み、チャットモンチーさんやGO!GO! 7188さんなど、たくさんのガールズバンドをコピーしていました。

―  低音以外に、ベースの魅力とは？

あいにゃん   そうだなあ…バンドを一歩後ろから支えるみたいな、そういうところに魅了を感じるし、自分の性格にも合っているのかも知れないです。自分が前に出るというより、前にいる人を支えるほうが好きなので。リズム楽器とコード楽器をつなぎとめる役割も、ベースにはありますよね。

―  憧れているベーシストはいますか？

あいにゃん   椎名林檎さんが好きだったというのもあって、人柄も込みで亀田誠治さんは素敵な方だなって思います。プレイもすごいですけど、アレンジやプロデュースにも携わっている方なので、とても憧れますね。

―  すぅさんは、憧れのギタリストっていますか？

すぅ   特にいないんですよ。先輩がライブハウスでギターを弾いている姿を見て「めっちゃカッコいい！」って思ったりすることはありますけど。あとは、布袋寅泰さんや横山健さんくらいまでいくと、神様的な存在としてすごいなと思います。同じ時代に生きていること自体が奇跡だなって。あ、でもチャットモンチーさんのえっちゃん（橋本絵莉子）が、赤いTelecasterにRATを繋いでいたのを見て、「これは私も買うしかない！」と思って初めて自分で買ったのがフェンダーのTelecasterだったから、えっちゃんは憧れのギタリストなのかも知れないですよね。2人体制になってからのチャットモンチーは、ルーパーを使ってギターをどんどん重ねていくとか、「シーケンサーとか使わないんだ！　すごい！」って感動しました。女の子なのにカッコいいって思います。だから、チャットモンチーさんが解散してしまうのはショックですね。

―  初めてギターを買ったときのことは覚えています？

すぅ   覚えています。もう「買うなら絶対にフェンダー」と決めていて。というのも、えっちゃんもそうだし周りにいたイケてるバンドマンの先輩もみんなフェンダーを使っているんですよね。それで楽器屋へ通い詰めて、赤いTelecasterを見つけたときに勇気を出して買いました。「このギターをカッコ良く弾くために練習しなきゃ！」というのがモチベーションでしたね。

―  それって、今のサイサイのファンも共感するところは多いのでしょうか。

すぅ   ギターにサインを求めてくれる女の子もたくさんいます。「私、すぅちゃんみたいにギターが弾きたくて、同じテレキャスを買いました！」みたいなことを言ってくれるんです。「ああ、私がえっちゃんを見て思っていた気持ちと一緒だ！」と思ったら、本当に嬉しくて。「一緒に頑張ろうね」って話しているんですよね。

―  それはいい話ですね。普段、楽器とはどんな風に接していますか？

すぅ   家でもよく弾きますね。家にはアコギとTelecasterが手に届く場所にあるので。ただ、アンプを鳴らすことはないですね。時々ミニアンプにつないで、イヤホンで聴きながら弾くことはありますけど。アコギは最近、そういえば弾いていないですね…。というのも以前、隣の部屋からアコギを弾いている音が聴こえてきたんですよ。「あ、もしかしたら私が弾いているのも聴こえているのかも」と思ってからは、控えめになりました（笑）。

あいにゃん   私も同じです。さすがにベースアンプは鳴らせないので、すぅと同じくイヤホンで聴きながら弾いています。家では手の届く場所に飾ってあるし、楽屋とかでもベースを触っていないと落ち着かない。本番直前まで、スラップの練習をしています。じゃないと手首が硬くなりそうな気がするんですよ。楽器って、触った分だけ手に馴染むと思うし、自分の気持ちを落ち着けるため、安心するために触っているところもありますね。

―  ところで、17年にサイサイはメジャーデビュー5周年を迎えました。今の心境は？

すぅ   メジャーデビュー5周年よりも、サイサイを結成して8年目に入ることのほうがびっくりです。「え、もう？」みたいな（笑）。最近やっと、サイサイっぽさが出てきた気がしますね。レーベル移籍しての第1弾シングル「フジヤマディスコ」は、今までのサイサイとは違うことをやろうと思ってチャレンジした曲だったんですけど、今となってはあの曲も“ウチららしい”って思える。それって、「ウチらが曲を出せば、それはサイサイらしくなる」ということじゃないですか。それに気づいてからは、自分たちにも自信を持てるようになりましたね。「どんな曲にもビビらずぶつかっていこう」というドッシリ感は、結成8年目にして出てきたと思います。

―  この5年間で、音楽に向き合う気持ちは変わりましたか？

あいにゃん   変わっていないですね。サイサイを結成して最初にできた曲が、それこそ誰もカラオケで歌わなさそうな曲で（笑）。超マイナーな、暗〜い曲だったんですけど、“何か刺さる”みたいな。その曲があったからこそ、みんなが「このバンド、続けようよ！」ってなったんです。だから、そこはずっと貫いてきましたね。もちろん、やるからには売れたいですけど、“売れるためなら何でもやるバンド”にはなりたくない。今作のレコーディングでも、そうやってメンバーの意思を尊重しながら“いいもの”を作ろうと思ったし、そうするとどうしても遠回りすることになるんですけど、時間をかけた分、納得のいくものが出来たんじゃないかなって思います。

―  サイサイをやっていて、一番嬉しかったことってなんでしょう？

すぅ   えー、何だろう…。とにかく、バンドが続いていることが奇跡に近いなって思います。メンバー全員の意思がひとつになって、同じ方向を向いていないと成立しないですし、それこそガールズバンドの場合は“女性としての人生”も考えなければならないだろうし。儚いというか、尊いというか。お客さんやスタッフさんがいてくれることの有り難さを、ふとした瞬間に思い出したりして。そういうときに「バンドをやっていて良かったな」って思いますね。だから今、こうしてサイサイが存在していることが、一番嬉しいことですね。

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すぅの使用ギター
すぅがTelecaster Thinlineとともに、メインで使っているのがこのJazzmasterである。元々サイサイにはサポートギタリストがいたが、メンバー4人でライブをやることとなり、パワーのあるギターを探している中で本モデルに出会った。形も音も、弾き心地もすべて気に入っているという。アンプはフェンダーのSuper-Sonicと組み合わせることが多いそうだ。

あいにゃんの使用ベース
元はAmerican Standard Jazz Bass（ブラック）だったが、80年代前半のStandard Jazz Bassの雰囲気を意識して大改造したのが本モデル。特注カラーのダフネブルーに塗り替え、それに合わせてマッチングヘッドを交換、さらにピックガードとコントロールパネルを一体型にした上、レリック加工も施している。音の抜けが良くなり、スラップ奏法も映えるようになったそうだ。

SILENT SIREN
すぅ（Vo,Gt）、ひなんちゅ（Dr）、あいにゃん（Ba）、ゆかるん（Kb）からなるガールズバンド。2012年11月、シングル「Sweet Pop!」でメジャーデビュー。全員が読者モデル出身。2013年にリリースした「ビーサン」から、シングル／アルバムを合わせてオリコンウィークリーチャート10位以内を12作連続で獲得中。2014年には初となる海外進出公演を果たし、2015年には香港以外にも台湾、インドネシアでのワンマンライブも開催し、海外でもファンを獲得。2015年1月17日、ガールズバンドとしてはデビュー史上最速での日本武道館でのワンマンライブを開催。2016年からはアジアをはじめアメリカ2カ所も含むワールドツアーを開催。ユニバーサルミュージックEMI Recordsへのレーベル移籍を発表し、さらに過去最大規模の全国ツアー「5th ANNIVERSARY SILENT SIREN LIVE TOUR 2017 『新世界』」と、移籍第一弾シングル「フジヤマディスコ」リリースを同時に発表。ツアーファイナルはサイサイ初となる日本武道館2Days。12月27日には移籍後初となるアルバム『GIRLS POWER」』をリリース。3月より「SILENT SIREN LIVE TOUR 2018 〜”Girls will be Bears”TOUR〜」を開催。

› SIRENT SIREN：http://silent-siren.com/