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FENDER CUSTOM SHOP ROAD SHOW イベントレポート

今年で30周年を迎えたFENDER CUSTOM SHOPが、都内のFENDER CUSTOM SHOP正規取扱店舗にてマスタービルダーを迎えての「FENDER CUSTOM SHOP "ROAD SHOW"」を、9月23日(土)24日(日)25日(月)の3日間にわたり開催しました。ここでは、24日(日)山野楽器ロックイン新宿にて行われたイベントの模様をレポートします。

Road Show

常に最高の品質を提供し、フェンダーの中でも頂点に君臨する製品ラインナップを製作するFENDER CUSTOM SHOPが今年で30周年を迎えました。熟練の技術を有し、世界に9人のみ存在するマスタービルダーの中から、日本のギターファンのためにジェイソン・スミスとポール・ウォーラーの2名が来日。パーツや木材選びから、デザイン、サウンドに至るまで世界最高峰のプロダクトを生み出すマスタービルダーが2名一度に来日するのは初めて。ジェイソンとポールの他、インターナショナルセールスのマイク・ギーガン、カスタムショップのスペシャリストであるジャスティン・スチュワートも同席しました。

イベントは後方まで立ち見が出るほどの盛況ぶりで、動画や写真などで記録する熱心なファンの姿も多く見かけました。まずはじめに、フェンダーの歴史を振り返りながらギーガンからカスタムショップのコンセプトについての説明がありました。

ギーガン「カスタムショップは、ギター製作をスタートした1950年代よりアーティストからのフィードバックを繰り返し製品に反映させていくことで改良を重ねてきました。そしてストラトキャスター/テレキャスター/プレシジョンベース/ジャズベースなどの登場によって、R&Bやサーフミュージック、サイケデリックなど、その後の音楽シーンを大きく変えるほどのイノベーションをもたらしたのです。レオ・フェンダーの意志を継承し続けるカスタムショップは別名“ドリームファクトリー”と呼ばれ、お客様やアーティストたちが思い描く夢のギターを実現化することを目標にしています。カスタムショップのスタッフたちは私にとってファミリーのような存在で、その中で情熱やアイディアを日々ぶつけ合っています。同時に、和気あいあいとした雰囲気は今も昔も変わりません。私はカスタムショップで23年間働いていますが、この場所にいるとアイディアが次から次へと浮かんでくるのです。」

その後、チームビルド製品/マスタービルド製品の違いや製造工程、各工程におけるガイドライン、N.O.S(ニューオールドストック)/クローゼットクラシック/レリックといった塗装の経年変化の再現性の違いや、ジャーニーマンレリックやロースト加工といった近年注目を集めている最新技術についても解説。

ピックアップの説明では、店頭で展示されていたモデル(1965 Stratocaster Heavy Relic Built by Dale Wilson)を試奏しながら各ポジションのピックアップの音色を披露するスチュアート。カスタムショップ製ピックアップは当時のピックアップを完璧にプロファイリングしており、ハンドワウンド(手巻き)によってワイヤーを8,000~8,500回転ほど巻きつけています。ワイヤーの巻き上げを担当するのは、カスタムショップで20年の経験を持つホセフィーナ・カンポス。彼女はピックアップにおけるマスタービルダー的な存在で、彼女が作るピックアップはマスタービルダーたちからの信頼も厚いということです。

ギーガン「ハンドワウンドはギターを作り始めた50年代と同じ製法を守った巻き方です。1つのピックアップを巻き上げるための所要時間は10~15分程度。それに対してマシンワウンドは5分程度です。マシンワウンドは個体差が出ない代わりに正確性がありますが、ハンドワウンドは同じサウンドのヴィンテージギターが2本と存在しないように、それぞれに固有のキャラクターがあります。その個体差は、オーナーが所有するギターだけの個性とも言え、そこにコレクションとしての醍醐味があるのだと思います。」

最後の質疑応答では、ギターファンならではの鋭い洞察による質問も飛び出し、ひとつひとつの問いにじっくりと時間をかけて回答するマスタービルダーたち。変わらぬ伝統と、進化し続けるテクノロジーに触れる濃密な2時間となりました。

Road Show
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