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FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #2

< Experience #2 Signature Model | 鈴木茂 >

フェンダー社のアーティストモデル製作30周年を記念し、日本では初となるFENDER CUSTOM SHOPによるエキシビション「FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION」が、6月16日(土)ベルサール渋谷ガーデンにて盛大に行なわれた。L'Arc〜en〜CielのKenに引き続いて登場したのは、“はっぴいえんど”のギタリストとして活躍した日本のロックレジェンド、鈴木茂。はっぴえんど解散後、渡米して完成させたソロの名盤「BAND WAGON」(75年)も広く知られている。彼が自らモディファイし、長年愛用する62年製のStratocaster®も有名だが、今回はロックに造詣が深い鈴木茂が、ジミ・ヘンドリックスのシグネイチャーモデル"Jimi Hendrix Voodoo Child Journeyman Relic Stratocaster®"を試した。

FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #2

(Photo by Yoko Yamashita)

今回、鈴木茂が試奏したのは、今年の夏にFENDER CUSTOM SHOPからアーティストシグネイチャーモデル30周年を記念して発売される、ジミ・ヘンドリックスのStratocasterを再現した“Jimi Hendrix Voodoo Child Journeyman Relic Stratocaster”。ちなみに司会進行は、元ギター・マガジン編集長の野口広之氏が務めた。早速、ブラックのブードゥーストラトを手に取る鈴木茂。

鈴木茂(以下:鈴木) 僕は昔からフィエスタレッドのStratocasterを使っているんだけど、あれを最初に手に入れた時の感触に近いですね。もうちょっとだけ、僕のストラトのほうがネックは太いかな。それをずっと悩み続けていて、悩んだ結果、ネックの裏を少し削ったんです。これは、最初のネックの感触に近いですね。

リヴァースヘッド、メイプル指板と、鈴木茂が愛用するフィエスタレッドのストラトとは仕様が異なっているが、乾いたクランチトーンを心地良く鳴らす。

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鈴木 好みで言えば、僕はローズウッド指板のほうが好きなんですね。理由は落ち着いた音がするからです。でも、メイプルのバキっとしたクリアな音もいいですね。リヴァースヘッドだからか、1・2弦のバランスが少し大きい感じがします。

そして、おもむろにスライドバーを取り出し、1弦を1音下げて、ファンにはたまらない“国宝級”のボトルネックを披露。会場からは大きな拍手が送られていた。

鈴木 僕は中学生の頃にベンチャーズを聴いて、当時は日本ではザ・ビートルズとベンチャーズがとっても有名で。でも他にもイギリスにはすごく良いバンドがいるってことで、ヤードバーズ、クリームだとか、ジミ・ヘンドリックスなんかからも影響を受けて。特にビブラートはどうやって弾いているのかわからなくて、当時はアームでやっていると思っていたんですよ。エリック・クラプトンとかジミ・ヘンドリックスとかね。でもある時、六本木のお店にクリニックというイギリスのバンドが来て、4人組のバンドなんだけど、ギタリストはTelecasterを持っていて。Telecasterはアームが付いていないけど、ビブラートをかけていて、“あれ、どうやっているんだろう?”って思ったら指が震えていた。それで初めて、指でビブラートをかけることを知りましたね(笑)。

当時は、映像などを簡単に見ることができない時代。ハンドビブラートがわからなくても無理はないだろう。さらに、エリック・クラプトンとジミ・ヘンドリックスのビブラートの違いについて言及していく。

鈴木 エリック・クラプトンのビブラートは真似しやすいんですね。クラプトンのギターは、僕からすると教科書的な感じなんです。でもジミヘンはそれを超えた憧れの存在で、こんなギターは弾けないって思っていましたね。ジミヘンは自己流だから、場所ごとに力が違っていて、わりと深めにかけたりするので真似するのが難しいんですね。

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続いて登場したのは、最新のエリック・クラプトンのシグネイチャーモデル“Eric Clapton Stratocaster Masterbuilt by Todd Krause”。ボディは、アッシュで使い込んだフィニッシュが施されている。さらに、初めてラッカーフィニッシュが採用され、よりヴィンテージライクな仕上がりになっていた。製作したマスタービルダーは、トッド・クラウス。

鈴木 このミッドブーストがいいね。そんなに強い歪みじゃない。昔、ストラトにMXRのダイナコンプを内蔵していたけど、ブースターを入れるのもいいですね。これはとても使いやすい。

クラプトンモデルの特徴とも言えるミッドブースト回路を、かなりお気に入りだった鈴木茂。最後にシグネイチャーモデルについて質問が及んだ。

鈴木 ギターをずっと続けてきた人間にとっては、シグネイチャーモデルは憧れですね。自分のモデルができたらとっても楽しいと思います。楽しいというかワクワクしますよね。もし作ってもらえるならば、今まで何十年も使ってきたフィエスタレッドのStratocasterでお願いします。あれは重さもちょうど良くて、弾きやすくていいんですよ。ぜひお願いしたいと思っています(笑)。

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フェンダーからシグネイチャーモデルが発売されるということは、すべてのギタリストにとっての憧れで、ひとつの目標となっているのかもしれない。それだけに、FENDER CUSTOM SHOPのマスタービルダーたちも常に最善を尽くして、妥協のない1本を作り続けているのだ。それが、新たに発売されたジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトンのシグネイチャーモデルからも感じられた。

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鈴木茂

1970年アルバム「はっぴいえんど」をリリース。3枚のアルバムを発表し<はっぴいえんど>解散後、1974年単身 L.A.に渡りソロアルバム「BAND WAGON」を完成させる。帰国後 <鈴木茂&ハックルバック>を結成し、全国ツアーを行う。その後 <ティンパンアレイ>のメンバーとして数多くのセッション活動を重ね、ソロとしても7枚のアルバムを発表するかたわら、スタジオワーク、LIVE サポート、アレンジャー、プロデューサーとしても活躍。2003年、再び自らの BAND として、<鈴木茂 BAND>を結成。
› http://suzuki-shigeru.jp/