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ベーシストとしてこれまで進んできた道の中で、自分なりに見つけた“答え”を注ぎ込んだ

J Special Interview(後編)

J

LUNA SEAのJがフェンダーとエンドースメント契約を交わし、グレッグ・フェスラーとともに自らのカスタムベース’57 Precision Bass® Relic Reverse Head Black Gold(通称:Black Gold)を制作してから1年。同モデルのシグネイチャーモデルが8月12日、奇しくもJの50歳の誕生日に発売される。インタビュー後編となる今回は、現在彼のメインベースとなっているBlack Goldの使い心地はもちろん、シグネイチャーモデルに込められた思いなどをたっぷりと語ってもらった。


―  Jさんのシグネイチャーベースが発売されますが、どのような心境かを教えてください。

J   フェンダーとエンドースメント契約をして、尊敬するグレッグ・フェスラーに自分のモデル’57 Precision Bass® Relic Reverse Head Black Goldを制作してもらった時、そこには自分がベーシストとしてこれまで進んできた道の中で、自分なりに見つけた答えのようなものを注ぎ込んだつもりです。ボディやネックの素材、パーツ類も含めてこだわりまくった“総合芸術”のようなベースなので(笑)、それをみんなに感じてもらえるのは本当に嬉しいですね。そして、手にしてくれた人がそこからどう味付けしてくれるか、それぞれのフィーリングで、どんな風に奏でてくれるのかが今から楽しみです。

―  去年、カスタムモデルBlack Goldを手にされて、実際にこの1年間使ってみての感想は?

J   ベースはバンドアンサンブルの中で、低域を担う重要な楽器です。その音色が変わるということは、バンドの“顔つき”が変わるということ。要するに、ベースだけの問題ではなくなってくるんですよ。僕が期待していたのはまさにそういうことで、LUNA SEAの顔つきが大きく変わり、より深みや破壊力が増したと思います。

 しかも、これほどまでに楽曲と調和するベースというか、すごくナチュラルなんですよね。ナチュラルと聞くとソフトな音色をイメージするかもしれないけど、そういう意味ではなくて。ドラムやギターと一緒にバンドアンサンブルとなり、ヴォーカルが乗った時の調和の仕方というのはなかなか口では説明できない。その変化というものは、観にきてくれた人も感じてくれたと思うし、この新たな“顔つき”からまた新しいサウンドが生まれていく未来を想像し、ワクワクする瞬間がたくさんありました。

―  ちゃんと存在感はありつつ、アンサンブルとしても破綻しないサウンドというか。

J   そう。そのすごさはグレッグが作ったベースに対して、僕が最初に衝撃を受けた時と同じです。実は、彼が作ったベースを他にもプライベートでコレクトしているんですけど、それぞれ本当に存在感があるんですよ。その中でも、Black Goldはさっきも言ったように僕自身が歩んできた道が刻まれているので。本当にお気に入りですし、自分で言うのもなんですがすごいベースだなと思いますね。

―  ボディやネックの材質もそうですが、リバースヘッドによる弦のテンションの違いなども、サウンドの存在感に影響しているのかもしれないですね。

J   そう思います。リバースヘッドにすることで、4弦にかかってくるテンションが不思議な響きを生み出していますし。その辺は実際に弾いてもらうと、他のベースとの歴然とした違いをより深くわかってもらえると思います。

―  LUNA SEAの新曲「Make a vow」のPVにもBlack Goldが登場しますが、実際のレコーディングでも使用したのですか?

J   使用しました。最近はもうこれしか弾いていない。弾けば弾くほど馴染んでくるというか。フレットを押さえる力、右手のタッチの角度、弦に触れる強弱や離すタイミングに至るまで、弾く時間が長くなるほど熟していく感じがあるんです。まるでベースと会話をしているような気持ちになる。実は俺、楽器を弾くのあんまり好きじゃないんですよ。

―  あははは(笑)。前にもおっしゃっていましたね。

J   ベースだけ弾いていても退屈になってしまって(笑)。でも、このBlack Goldはずっと弾いていたくなる。いい音がする楽器は、本当に時間を忘れますね。

―  ずっと弾いていたくなる楽器って、サウンドもそうですが手にした時の感触なども含めた良さがあるのでしょうね。

J   そう思います。しかもPrecision Bassは楽器の構造上、ものすごく余白があるんですよ。弾く人の個性を受け入れてくれるというか。綺麗に鳴らすためにはそれ相応のテクニックが必要だけど、決め事のようなものは何もない。それぞれの鳴らし方、思い、哲学があって、それを確かなサウンドに変換してくれる。そのすごさは弾けば弾くほど実感しますね。

―  今回のシグネチャーモデルは、どんな人に弾いてもらいたいですか?

J   基本的にはすべてのベーシストに弾いてもらいたいです(笑)。こんな俺のことも受け入れてくれるベースなので、皆さんにも最高の答えを用意してくれるんじゃないかなと。ただ、初めてベースを持つ人がこれだったらちょっと嫉妬しちゃうな(笑)。最初にも言ったように、僕が何10年もかけて辿り着いた答えを注ぎ込んだわけですから。でも、このベースがその人たちにとってのスタンダードとなって、さらにいい音を追求してくれたらすごいことになりそうですね。そういう意味では、やはりすべてのベーシストに弾いてもらい、感じてみてもらいたいです。

―  去年、LUNA SEAは結成30周年を迎えました。今後のJさんの展望などをお聞かせください。

J   不思議なもので、やればやるほど自分たちを高めてくれるもの、満たしてくれるものを求めているような気がします。音楽を通じてまだまだやれること、やりたいことが常に目の前に存在しているというか。ロックバンドというフォーマットは、始まった時からずっと変わっていないじゃないですか。それでも常に進化していくのだろうし、コロナの時代に突入したことで、曲にしてもライヴにしてもまた新たな表現方法も生まれるんでしょうね。そういう意味では、自分たちにとっても“新しいスタート”という気がしてならないんです。ツアーも1年延期になりましたし、まさに仕切り直して進んでいきたいと思います。もちろんベーシストとしても、今まで以上に前例のない存在になっていきたいですね。


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J SIGNATURE PRECISION BASS® HEAVY RELIC® BLACK GOLD, MASTERBUILT BY GREG FESSLER

価格:1,161,000円(税抜)
付属品:デラックスハードケース、ストラップ、正規製品認定書
発売日:2020年8月12日(水)
※ 販売方法の詳細は、全国のFENDER CUSTOM SHOP取扱店までお問い合わせください。


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JFender Custom Shop
92年、LUNA SEAのベーシストとしてメジャーデビュー。97年、LUNA SEAの一時活動休止を機に、ソロ名義でバンド活動をスタートし、1stアルバム『PYROMANIA』を発表。その後、LUNA SEA 終幕を経て2001年にソロ活動を再開すると、海外から多数のアーティストを招き開催したライヴイベント〈FIRE WIRE〉、史上初、アリーナをオールスタンディングにして開催した日本武道館公演、数多くのゲストバンドを一同に迎えての5日間連続ライヴ〈SHIBUYA-AX 5DAYS〉等、独自のスタイルでライヴを展開。2017年にはソロデビュー20周年を迎え、ベストアルバム『J 20th Anniversary BEST ALBUM <1997-2017> W.U.M.F.』をリリース。現在は2010年に再始動したLUNA SEAとソロの両輪で活動中。
› Website:http://www.j-wumf.com