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FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #5

< Experience #5 Jazzmaster Pickups | INORAN>

フェンダー社のアーティストモデル製作30周年を記念し、日本では初となるFENDER CUSTOM SHOPによるエキシビション「FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION」が、6月16日(土)ベルサール渋谷ガーデンにて盛大に行なわれた。豪華アーティストがさまざまなテーマでFENDER CUSTOM SHOPを体験するステージエリアの模様を、全6回に渡りレポート。第5回目はINORANが登場。

FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #5

(Photo by Yoko Yamashita)

こだわりのギタリストが手にする名機“Jazzmaster”が、58年の誕生から今年で60周年を迎えた。会場には記念モデルをはじめ、これまで見た中でも一番と思えるほど、仕様もフィニッシュも多彩なJazzmasterが展示されていた。そんなJazzmasterの魅力にハマり、「ジャズマスターには夢がある」と語るのが、LUNA SEAのギタリストINORANだ。彼の思いはフェンダーに届き、ついにはシグネイチャーモデル“INORAN ROAD WORN® JAZZMASTER®”が誕生した。そのシグネイチャーモデルを手にし、INORANがステージに登場。LʼArc〜en〜CielのKen、ハマ・オカモトに続き、アビゲイルの技術を継承したホセフィーナ・カンポスが製作したJazzmaster用ピックアップに交換。もちろん作業は、マスタービルダーのポール・ウォーラーが担当した。司会はギター・マガジンの編集長、尾藤雅哉氏だ。

FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #5

中学生の頃に、自分で試行錯誤をしてピックアップ交換した経験があるというINORAN。ピックアップ交換すると、音が変わることを、身をもって知っているため、今回ホセフィーナのピックアップがマウントされるということもあり、 「ホセフィーナが、さらに愛を注入してくれると思います」と、かなり期待感が高まっているようだった。彼女とは、フェンダーのコロナ工場に行った際に一度会っているといい、久しぶりの再会を喜んでいたINORAN。まずは、ピックアップを交換する前のサウンドを、会場にいるファンに聴かせてくれた。芯がありながらもトレブリー、それでいて乾いたヴィンテージトーンっぽさも感じさせてくれる充分にナイスなトーン。これが、いったいどう変わるのか?

FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #5

INORAN 実際にシグネイチャーモデルを作っていただく工場を訪れると、ギターを弾く姿勢にも変化がありました。自分が普段何気なく弾いているギターに対して、誰が作ってどこで作っているのかを知ると、さらにギターに対して愛着が湧いてきます。それにただ弾くための道具というだけではなく、そこには人との繋がりというか“絆”を感じられるようになるんです。だから、工場の人たちにお会いしたことによって、さらにギターを大切に扱いたくなりました。

実際にギターの製作現場を目の当たりにすることで、使う楽器にも愛着が生まれ、その相乗効果として、さらに素晴らしいギターのプレイや音楽も生まれてくる。INORANの美しいアルペジオは、もしかするとそういった気持ちもギターのピックアップが拾うから、心にダイレクトに響いてくるのかもしれない。ポールが黙々とピックアップ交換をしている最中、尾藤氏から鋭い質問が次々と飛ぶ。まずはLUNA SEAのもう1人のギタリスト、SUGIZOと使用する楽器やプレイスタイルの違いについて。

INORAN SUGIZOとは、以前にヴィンテージのStratocasterとか同じ年代のギターを買ったことがあるんだけど、選ぶ音の好みがまったく違う(笑)。SUGIZOはどちらかと言えば硬いほうが好きで、僕はもっと柔らかくてパワーが出るギターを選ぶ。それは、お互いの性格そのものかな。僕はSUGIZOよりも柔らかい(笑)。だからJazzmasterとは、出会うべくして出会ったと思っています。

その答えに尾藤氏も「突っ込みづらいです(笑)」と困ってはいたが、同じ方向性を向いた2本のギターが同じバンドにいることで、上手くいっているバンドは少ない。相反する2本がいることで、お互いの良さがさらに高まり、結果バンドにも良好な化学変化が起こることで、唯一無二のバンドサウンドが構築される。Jazzmasterは、フェンダーの中でも独自のトーンニュアンスを持つモデルのため、ギタリストが2人いるバンドでは、音の混ざり具合を考えても使いやすいように思える。ギターの音で個性を出すという意味でも、オススメしたいモデルだ。さらにINORANの好みの音について、話は弾んでいく。

INORAN ギターの音に関しては、やっぱりフィーリング。それはさまざまな状態にも左右されて、例えば雨の日もあれば晴れの日もあるし、気分が落ち込んでいる時もすごく高ぶっている時もある。だから、そのタイミングに合ったものを選びたい。それに、そのギターとは偶然ではなく、出会うべくして出会う。その時その時で “これだ!”と思うものが、絶対に現れるんです。Jazzmasterもそう。だからすべてが、出会いなのかなって。ホセフィーナとも出会うことができましたし。音楽も人生も、フィーリングを大切にしてきたことで、すべての物事が音楽に繋がっていると、フェンダーとの繋がりからも再確認できました。僕がフェンダーのギターを弾き続けることで、新しくギターを始める人にも、繋げていきたいと思っていますね。

ピックアップ交換の途中、ポールのそばでフェンダーカスタムショッププロダクトマネージャーである大畑篤史氏が、貴重な話を教えてくれた。

大畑 ポールは今回、普段使っているハンダをアメリカから持ってきてくれています。これはハンダが溶ける温度が700度と高く、日本のハンダごてで溶けるか心配していたみたい。今使っているハンダごての設定は500度ですが、ちゃんと溶けていますね。それから、Jazzmasterのピックアップの下にはスポンジが入っています。これでピックアップの高さを調整します。こういう機会でないと、なかなか見ることができないと思いますので、ご紹介させていただきました。

ではなぜ、INORANはJazzmasterに惹かれるのか。その核心に尾藤氏が迫っていく。

INORAN 僕のイメージだとStratocasterは完璧なんです。どんな音でも出せるというか。でも、Jazzmasterは完璧というより個性が強い。それに使っている人がカッコ良くて、好きなんです。ただ僕の場合は、これまでJazzmasterをトレードマークとして使ってきた人とは、また違った個性を光らせることができるんじゃないかと思って、ずっとJazzmasterを弾いているんです。初めはギター雑誌を夜中に読んでいた時に、急にJazzmasterが欲しくなったんです。それで次の日の朝イチに、楽器屋に買いに行きました。たしか興奮して、寝ずに行ったと思います(笑)。今では、シグネイチャーモデルも合わせて10本ぐらいのJazzmasterを持っているけど、それぞれに個性があるんです。あらためてJazzmasterってやっぱりカッコいい! ギターって、自分が使っていてカッコいい、嬉しいなと思う気持ちがすごく大切なんだと思う。そうやって使い続けると、ギターと一緒に成長していける。それにフェンダーのギターは、使い続けることでいろんな表情を見せてくれるんです。

さまざまな話を聞いている間の十数分で、ポールがピックアップ交換を終えた。今日だけで3本ものピックアップ交換をしているが、その手さばきは鮮やか。ミスは一度もない。さすがマスタービルダーだ。さっそくINORANがサウンドをチェックする。

FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #5

INORAN みんなに見られながら試奏するのは、ちょっと恥ずかしいね(笑)。明らかに、音に色気が出ましたね。音に艶と芯の強さが加わって、コシの強さがある。音の芯の外側にとても甘いフィルターがついた感じで、でもそこを抜けて、速いスピードの音が抜けてくる。音を絞った時に色っぽいですし、ちゃんと音の輪郭も残っています。それだけ変化しても、フェンダーギターの特徴と感じている、2〜3弦のチリチリ感もしっかり残っている。僕には、それが大事で。すごく好きです。

FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #5

Kenもハマ・オカモトもそうだったが、実際には魔法のように音が変わる。実際に音をお届けできないのは残念だが、誰もがすぐにわかるほど変化している。ホセフィーナのピックアップに共通する魅力は、角が取れて円熟味が増し、色気のあるサウンドになること。それは、彼女の情熱と心が生み出しているのだろうか。なかなか彼女の巻いたピックアップを手にすることは難しいが、カスタムショップ製のギターで、そのサウンドを体験してみてほしい。では最後に、INORANの言葉を借りて締めさせていただこう。

INORAN このトーンを使って、今日にも曲ができてしまうと思います(笑)。今回のイベントは、すごく楽しい企画で、僕もドキドキした気持ちが抑えられなくて、キッズに戻ってしまう(笑)。今日、生まれ変わった自分のギターを使って、またステージで演奏することがすごく楽しみですし、新しいギターの音をぜひ聴きに来てほしい。最高に楽しい時間でした!

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INORAN

国内にとどまらず、世界に活動の場を広げるLUNA SEAのギタリスト。LUNA SEAデビュー以来高く評価されている独自のギタープレイと音色は、音の奥行き、広がり、深みある響きを表現し、そ のセンスは楽曲に独特な色を与え、唯一無二の存在感を放つ。空間へ放たれ、空気と共鳴する音のグルーヴは激しく、かつ美しく、“一瞬”を大切にする、まさに究極の音の創造者である。
› http://inoran.org/