#FenderNews / WHAT IS ORIGINAL? studied by HAMA_OKAMOTO #3
WHAT IS ORIGINAL? studied by HAMA_OKAMOTO #3 -Neck Shape-
The NAMM Show 2018にて発表された、50〜70年代のフェンダーをリイシューした新シリーズ「American Original」。その誕生を記念し、フェンダーがどのような変遷を辿ってきたのかを各パーツごとに紐解く連載。Precision Bassをメインに愛用し、フェンダーに造詣の深いOKAMOTO'Sのハマ・オカモトを迎え、時代背景やプレイ・スタイルの変化といった考察も交えながらパーツの変遷について軽妙なトークを展開する。
ネックはA < B < Cの順番でCが一番太い
― 好評をいただいております連載「WHAT IS ORIGINAL?」ですが、3回目のテーマはネックです。ハマさんでネックシェイプと言えば“Bネック”という印象ですが、ビギナーの方にはそもそも“Bネックってなんぞや?”っていう話ですよね。
ハマ・オカモト(以下:ハマ) ざっくり言うと、ネックというのは同じように見えても年代によって厚さや幅が違うという話で。ベースで言うとJazz BassとPrecision Bassでネックシェイプが全然違うんです。具体的に言うと、Jazz Bassのほうが細い。ギターも年代によってネックシェイプは違いますよね?
― はい。年代によって厚みが違い、幅に関してはABCの3タイプがあります。
ハマ これってギターもベースも同じなんですかね。一般的に言うと、ジャズベは一番細いA、ギターの多くはB 、プレベは一番幅広のC、というサイズだったと。
― はい。年代によって厚みが違い、幅に関してはABCの3タイプがあります。
ハマ 説明すると、幅の太さ順にA < B < Cの順番で、Cが一番太いんです。ギターの多くは通称Bネックを標準ナット幅としているのに対して、プレベはCというサイズだったんです。
― プレベのネック太いですもんね。太いというか幅が広いといいますか。
ハマ ちなみに僕がメインで使っているヴィンテージのプレベはBネックというプレベとしては細めのネック。それに近づけたくて、僕のシグネイチャーモデルのHAMA_OKAMOTO PRECISION BASS “#4”(ナンバー4)に関してはネック幅を細くしています。 当初は同じBネックを搭載しようとしていましたが、スタッフと相談しているうちに大胆にジャズベのネックをつけようということになりJazz Bassのネックがついてます。
― つまりAネックのプレベってことですね。全然弾き心地が違いますもんね。ギタリストでも弾きやすい。
ハマ で、やっぱり時代の流れでPrecision Bassに細めのネックを求めるプレイヤーが増えていったようで、68年途中からBネックが標準のネック幅になった。僕が持っているヴィンテージのプレベはつまりコレですね。あれ?ナローネックというのは?
― Aネックのことですね。
ハマ なるほど。74年からナローネックがベースにも採用されて、プレベのナローネックが同時期のJazz Bassのストリングナット幅と同じという記述を見つけました。70年代のプレベは、Bネックとは全然違うネックの細さだったということなのか…。これは発見だなぁ。
楽器を持った時に自分の手に馴染むかどうかがとても重要
ハマ 歴史的に見て、プレベの約10年後に開発されたジャズベでネックが細くなって弾きやすくなった点も、“Jazz Bassは上級モデル”と言われる理由のひとつだったりするのでしょうか。
― それはあったでしょうね。プレシジョン・ベース、もうちょっと弾きやすくなりませんかねって意見があったのかもしれません。
ハマ でもプレベからしたら、そんなこと言われても!って感じですよね?
― まあそうですね(笑)。プレベが誕生した時(1951年)は、エレクトリックベースというのが世界になかったわけですからね。ウッドベースからしたら弾きやすいでしょって感覚だったんですかね。
ハマ こうやって着目しないとわからないですが、みなさんの見ている楽器は意外とネックの太さに差があって。音はもちろんのこと、極端に言えばネックの太さで持ち替えることがあるでしょうし。
― 音云々ではなく、単純にプレベのネックが太くて弾きづらいから、ジャズベを弾いてる人もいそうですもんね。
ハマ そうですね。ただ、これから楽器を始める人に対して、“音がいい、わるい”といったことは、正直一生かけてわかるかどうかいう話じゃないですか。経験がまったくないのにそれを判断しろというのもおかしな話で。どちらかと言うと実際に楽器を持った時に自分の手に馴染むかどうかがとても重要だと思います。
楽器を選ぶ基準についてよく質問されるのですが、外見と持った時の感じが大事なんです。試奏した時に、フワっと弾いたことがすごくキレイに鳴る時があって。普段やれることが全然できない楽器と、普段やれることがよりいい音になる楽器は確かにあるというか。それが手に合うってことだと思います。
― 弾かされちゃってるというか。
ハマ はい。59年のプレベを買いに行った時もそうでした。それは弾ける弾けない関係なくあると思っているので。だから、ネックシェイプとナット幅はとても重要だと思います。僕がBネックを選んだのも、自分の手が小さいからっていう明確な理由。そういうふうに“私は手が小さいのでジャズベがいいです”とか“ストラトがいいです”という基準は、初心者でも長年やってる人でも適用する選択の基準なんじゃないかなと思います。
― 確かに演奏性という意味で言えば、ここまでの3回の連載テーマの中で一番影響がありますよね。
ハマ そうですね。結局ネックを押さえないと音は出ないので、一番重要ですよね。それは年々思いますけどね。すごく値段も高くていい年代だけど、正直自分にとっては弾きづらいなという個体もあるわけで。
― そればっかりは自分の手ですもんね。楽器に触ってみないとわからない。意外と人によっては“ネックが厚いのは嫌だな”とか言いながら、感覚は人次第なので50sのほうが弾きやすいってこともあるかもしれない。
ハマ あとは、弾きにくいほうがいいという末端な意見もあるじゃないですか(笑)。だから試奏は大事ですよね。
― プレべは基本的にネックが太いので、それでもプレベを弾きたかったら頑張るか、ハマさんのシグネイチャーモデルを買うかですね(笑)。
OKAMOTO'S
中学校からの同級生で結成された4人組ロックバンドOKAMOTO’S。 メンバーは、オカモトショウ(Vox)、オカモトコウキ(Gt)、ハマ・オカモト(Ba)、オカモトレイジ(Dr)。全員が岡本太郎好きで、ラモーンズのように全員苗字はオカモト姓を名乗る。
2010年、日本人男子としては最年少の若さでアメリカ・テキサス州で開催された音楽フェス「SxSW2010」に出演。アメリカ七都市を廻るツアーや豪州ツアー、香港、台湾、ベトナムを廻ったアジアツアーなど、海外でのライヴを積極的に行っている。
これまでシングル8作品、アルバム7作品を発表。2015年9月にはメンバー渾身のロック・オペラアルバム「OPERA」を発売。2016年6月3日からは「OKAMOTO’S FORTY SEVEN LIVE TOUR 2016」と題した、キャリア初の47都道府県ツアーを敢行し、ツアーファイナルは日比谷野外大音楽堂にて開催された。
2017年8月2日には約1年半ぶりとなるオリジナルフルアルバム「NO MORE MUSIC」をリリース。また、同年10月には、東京・中野サンプラザにてキャリア初のホールワンマンを開催し、チケットは瞬く間に即完。その後アルバムを引っ提げ全国23か所を回るツアー「OKAMOTO’S TOUR 2017-2018 NO MORE MUSIC」を敢行。
2018年1月28日Zepp Tokyoにてツアーファイナルを開催、大盛況の内にツアーを完遂した。
› OKAMOTO'S:http://www.okamotos.net