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ピート・タウンゼントのサウンドを再現する

ピート・タウンゼントの特徴的なトーンやスキルを再現するためのヒントをご紹介。

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Pete Townshend warms up on a Fender Stratocaster backstage in Germany on April 1, 1967.
Photo: Chris Morphet / Contributor / Getty Images

ミュージシャンとしてのキャリアを通じ、Fender Stratocaster®やTelecaster®などさまざまなギターをプレイしてきたピート・タウンゼント。そのキャリアの中で一貫して変わらないものがひとつだけあります。それは彼の驚異的に素晴らしいトーンです。

ここでは、The Whoの伝説的なレコードやタウンゼントのソロ作品を分析し、彼のトレードマークである独特のサウンドを再現する方法を探りました。


ザ・トーン・イズ・オールライト(手を使ったテクニック)

タウンゼントの特徴的なサウンドは、彼の右手の使い方に依るところも大きいといえるでしょう。彼は、自身のサウンドを特徴づけるプッシュ/プル・スタイルのノブの操作も考慮に入れたコード構造を、積極的に採り入れています。さらに、多くのリスト・アクションと練り上げられたコード構造をベースにした彼のパワーコードには、はっきりとした明瞭なサウンドとサスティーンが加えられています。

彼のギターのかき鳴らし方とプレイする場所が、力強いダイナミクスとステージアクションとのバランスが取れた鋭いトーンを実現しています。Rickenbacker 330などのセミホロウ・ボディのギターとラウドなチューブアンプから生み出される倍音も、ピート・タウンゼントのアグレッシブなサウンドの重要な鍵のひとつです。


パワーの縮図

The Whoの唯一のギタリストであるタウンゼントは、シンバル嫌いでラウドかつ手数の多いドラマーのキース・ムーンとも競い合わねばなりませんでした。そのためタウンゼントには、大きな音量だけでなく、不穏な雰囲気で究極のビジュアルも必要とされました。

タウンゼントはマーシャルの創業者ジム・マーシャル に、“積み重ねたアンプ”の製作を依頼し、それがきっかけでマーシャル・スタックが誕生したと言われています。後にタウンゼントは他のアンプも試しましたが、それらはすべて初代マーシャル・スタックをベースとしたものでした。タウンゼントのアンプは非常に重かったため、彼のローディーたちには不評でしたが、毎晩のステージでの破壊行為に耐えるには、重量のある8スピーカー・ユニットが必要だったのです。マーシャル・ヘッドにそれほどこだわりを持っていなかったタウンゼントは、Fender Tremolux™のヘッドをマーシャルのキャビネットと組み合わせて使用することもありました。


WHO THE F-CHORD ARE YOU?

多くのギタープレイヤーはスタンダードEチューニング(E-A-D-G-B-E)を使用しますが、その上でピート・タウンゼントはカポなしのF、BやA♭のキーを好んで使用しています。それは、ボーカルのロジャー・ダルトリーの声域に合い、かつ楽曲のストーリーにマッチするキーが選択された結果でした。

例えば『Baba O’Reilly』でタウンゼントは、印象的なLowrey TBO-1オルガンのイントロに乗せてF、C、B♭のバレーコードを激しく弾いています。もっと楽に弾くには、3フレットにカポを装着してD、A、Gをプレイすれば、親指の痙攣を防ぐこともできるでしょう。


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シグナルを分割する

最近のタウンゼントは、生音を大切にしながらファンのお気に入りの楽曲をプレイする試みを行っています。

彼はステレオ出力するように自分のギターを改造し、一方のシグナルはゲインを利かせたアンプへ、もう一方はピエゾ・ピックアップ経由でアコースティック・ギター・プロセッサーへ出力しています。
2人の異なるプレイヤーが弾いているように聴こえるでしょうが、どちらピート・タウンゼントなのです。


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隣人が留守の間に試してみたいテクニックのクイック解説

ピート・タウンゼントのトーンに近づくためのヒントをもう少しご紹介します。

1.弦
タウンゼントは、.10〜.46のライトゲージを使用していますが、より良いサウンドを得るために、.46の弦を.52に交換しています。

2.ブリッジ
ブリッジ・ピックアップを使用して、Strat®とTele®のブリッジ・ピックアップの違いを研究してみましょう。

3.ボリューム全開
トーンとボリュームのノブを“10”に合わせましょう。

4.ロー・ワット
ワット数の小さいチューブアンプを選びましょう。マスターボリュームなしのタイプであれば尚更ベターです。

5.オーバードライブ
ゲインは小さめで、特徴的なサウンドを実現する適当な(ディストーションではなく)オーバードライブ・ペダルを選びます。ペダルのダイヤルはすべて“0時(中間)”に合わせます。

6.ミッドをブースト
オーバードライブ・ペダルの後ろにEQペダルを接続し、EQスライドを弾丸の先端のような山型を描くように調整します。こうすることでミッドがブーストされます。


ピート・タウンゼントのトーンを手軽に再現する方法

タウンゼントの独特のトーンを簡単に実現するために、新しいMustang™ GTアンプ・シリーズの“Loud as Leeds”プリセットを試してみてください。このプリセットは、1970年に行われたThe Whoの伝説のコンサート『Live at Leeds』のタウンゼントのトーンにインスパイアされたものです。クラシックなブリティッシュ・アンプの前にBig Fuzz、後ろにMono Tape Delayを接続した際に得られるシンプルながらパンチの利いたトーンを実現しています。


これらのヒントを参考にピート・タウンゼントのクラシック・サウンドを研究してみてください。さあ、チューブアンプのボリュームを上げてウィンドミル奏法を繰り出しましょう。ただし、くれぐれも騒音の苦情を受けて立ち退き要求などを受けないようにご注意を。