#FenderNews / Fender American Series Vol.4

NO CHARGE

Fender American Series Vol.4 | American Original【後編】

 American Series

より良いものを追求していくことで、オリジナリティはより確固たるものへと進化する。このコンセプトは長きにわたるフェンダーの伝統が、このAmerican Originalシリーズにも息づいている。前編に引き続き、このシリーズの楽器を手にした、ふたりのトークセッションを紹介しよう。

1音弾くだけで、ハーモニーが聴こえてくるんですよね。ー 日野"JINO"賢二
 

日野"JINO"賢二(以下日野) ところで、American Originalは前身となるAmerican Vintageよりも確実にヴァージョンアップしているけど、音はもう、フェンダーですよね。フェンダーのおいしいローとミッドレンジがある。

加藤隆志(以下:加藤) 今、セッションしたときも、ベースの音色からそれを感じましたね。ローとローミッド中心の音の作り方はフェンダーならではなんですよね。

日野 ベースってローは大切だけど、僕の場合はコードを弾いたり、例えばMISIAのステージではメロディを弾いたりする場面がいっぱいあって。あと、Dの音を3弦5fで弾くよりも4弦10fで弾くほうが太いし、あとはハーモニックスを出す時もあるけど、そういったときに、すべてのポジションの音がストレスなく使えるのが大事で。それがすごいんですよ。フェンダーって他のメーカーでは出せない音が出るんですよ。今も10本以上持っていていますけど、一度たりともフェンダーがダメなんて思ったことないから。例えば、ひとつの音を出したときの倍音が豊富なんです。3度も、そして5度の倍音も聴こえる。

加藤 それはとても素敵な話ですね。ルートを弾いたときに5度を感じるって良い表現だなって。

日野 1音弾くだけで、ハーモニーが聴こえてくるんですよね。で、フロントピックアップだけにしてトーンを絞ったら、フェンダーならではのオーセンティックな音がするから、レゲエのリズムが弾きたくなる。

〜JINOがリフを弾き始める〜

加藤 ジャマイカンですね。気持ちいいです。そういう発想があるんだなって、今、感動しています。倍音の響き方でイメージって変わってくるから、曲作りにも関わってきますよね。

日野 そうそう。そういう部分からもインスパイアされるから。

加藤 そうですね。今のベースの倍音からは、マイナーを弾きたくなりますね。

 
 
 

〜セッションが始まる〜

加藤 このまま曲ができそうですね。

日野 良い楽器を弾いているとインスパイアされるし、楽しいですよね。

加藤 さっきの話題にあった、倍音のインスパイアっていう面から言うと、American Professionalのセッションではファンキーなものを弾きたくなったんです。それはやっぱり、サウンドのスピード感が速いからなんですよね。で、今はすごくスカパラとかジャマイカのノリで弾きたくなりました。加えて、ドラムの在り方も見えてきて、あのドラマーがいいんじゃないかなとか、思い浮かんでくる顔が変わってきましたね。

日野 僕はニューヨークにいたけど、すべてのジャンルがそこにあったんですよね。あとはネグリルやオーチョリオスにも何度も行っているし、ジャマイカが大好きなんです。映画『007 ドクター・ノオ』でジャマイカのバーにジェームズ・ボンドが入ってくるシーンがあるんですけど、当時はまだレゲエの音楽がなくて、カリプソの音楽が流れていて。まだレゲエができる前の62年の映画だったんですよね。

加藤 なるほど。

日野 で、ニューヨークでは、レゲエ・バンドをやっている人はいたけど、スカをやる人は少なくて。日本に初めて来たとき、スカパラのベースのやり方を見て、スカのベースラインについてすごく勉強になりました。スカのコツはスカパラから教えてもらったんですよね。

加藤 伝えておきます(笑)。右手で少しミュートしたときのサウンドも気持ち良いですね。

日野 ヒップホップでは左手の指を使ってミュートすることもあるんですけど、やっぱりニューヨークのミュージシャンでレゲエをやっている人は、みんなこうやって弾いていて。今はそれが僕のクセになっているんですよね。

加藤 スラップみたいな派手なプレイが入っているわけではないですし、ウォーキングベースが中心だから、1曲のなかでの音数は少ないですよね。だからこそ、その人ならではの音の長さや、その1音にたくさんの情報が入っているんですけど、JINOさんのプレイからは、16ビートや8ビートとその裏拍などの要素が、1拍の間にすごく感じられるので、聴いていて気持ちいい。どこで裏打ちをバチッと入れればいいのか、といったことが、JINOさんのグルーヴのなかからわかるんです。

日野 それは加藤さんがうまいからですよ。

加藤 いやいやいや、もうJINOさんのファンになってます(笑)。


American Original Series

フェンダーのルーツとなる「50年代、60年代、70年代の代表的な仕様の再現」を軸に、現代のプレイヤーに向けて開発されたのが、このAmerican Originalシリーズ。例えば、American Original ‘60s Stratocasterはラッカーフィニッシュのアルダーボディで厚めの"60s C”ネックシェイプという組み合わせとなり、American Original ‘50s Stratocasterはラッカーフィニッシュのアッシュボディに厚めの"Soft V”ネックシェイプという組み合わせで、両者とも9.5インチR指板を採用するなど、当時の伝統的な特徴とモダンなスペックを持ち合わせている。

PROFILE

加藤隆志(東京スカパラダイスオーケストラ)
ジャマイカ生まれのスカという音楽を、自ら演奏する楽曲は"トーキョースカ"と称して独自のジャンルを築き上げ、アジア、ヨーロッパ、アメリカ、南米と世界を股にかけ活躍する大所帯スカバンド。アメリカ最大のフェスティバル、Coachella Music Festivalでは日本人バンド初となるメインステージの出演を果たした。オーセンティックなSKAからジャズ、ロックまでをも提示できるミュージカルパフォーマンスで世界中のSKAバンドの中でも特筆すべき存在であり、海外のアーティスト、音楽関係者も来日の際にはスカパラの音源を手に入れるためレコード店に足を運ぶなど、世界中のSKA愛好家たちにとってその名は憧れの対象であり続けている。89年、インディーズデビュー。幾度となるメンバーチェンジを乗り越え、現在のメンバーは合計9人。今なお常に最前線で走り続けている。
› Website:http://www.tokyoska.net


日野"JINO"賢二
ベーシスト、ソングライター、シンガー、アレンジャー、音楽プロデューサー。東京に生まれ、7歳の時に家族でNYに移り住む。NYの音楽と芸術の専門高校へ入学し、同学校の卒業生にあたるマーカス・ミラーに影響を受ける。またその頃にジャコ・パトリアスに師事。卒業後、アポロシアターでのハウスバンドをはじめ、Joe,ジェシカ・シンプソン,メーシー・グレー,ネーザン・イースト,ブロンディ−のデボラ・ハリー、数多くのアーティストと活動を共にする。 2003年、初のリーダー・アルバム『ワンダーランド』、続いて『JINO』をユニバーサル・ミュージックよりリリースし,グループとしてでは: 『TKY』(Sony),Faz Jaz (Vega),TetsuJino (King),Tri-Horn Buffallo(CJE)これを機に活動拠点を日本に移す。

近年はMISIAツアーメンバーやレコーディングに参加。数々のアーティストの作曲,アレンジャーやプロデューサーとして、Boyz II Men,AI,Def Tech,西野カナ,黒木メイサ,May J.,さかいゆう,Minmiなど数々のライブ/レコーディング・ワークスで活躍している。三枚目のリーダーCD最新アルバムは2014『JINO JAM』,DJ Jeff Millsのバンド「スパイラル・デラックス」三枚目2018年9月15日リリース
› Website:https://www.facebook.com/kenji.hino


› Vol.1 American Professional【前編】
› Vol.2 American Professional【後編】
› Vol.3 American Original【前編】
› Vol.4 American Original【後編】
› Vol.5 American Elite【前編】
› Vol.6 American Elite【後編】(近日公開予定)


 American Series

› フェンダー X デジマートのスペシャル企画。3つのAMERICANシリーズを徹底解剖。詳しくはデジマートの特集ページで。