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スペシャルインタビュー | INORAN

2011年に50本限定で発売された、INORAN JAZZMASTER #1 LTD。多くのミュージシャンに支持された、日本人アーティストとして初のフェンダーシグネイチャーモデルである。発売後すぐに完売したが、多くの要望により復刻を果たすことになった。製作秘話や復刻への想いなどをINORANに聞いた。

INORAN
Jazzmasterを弾いてて良かったという想いは変わらない その想いは、むしろ増しているかもしれない
 

―  今回は、2011年に限定50本で製作されたINORAN JAZZMASTER #1 LTDの復刻が実現しました。#1の製作はどんな風に?

INORAN    あの時がフェンダーとご一緒する初めての機会だったんです。でも、そこは流石にフェンダーでしたね。デニスというマスタービルダーがいろいろと僕の音やギタープレイを研究してくれ、それで具体的なスペックも決めてくれて。それをもとに、カスタムショップの製作を担当しているチームビルドのメンバーが製作してくれたんです。チームビルドのメンバーも、マスタービルドに負けず劣らずの技術の持ち主なんです。チームの絆もすごく、そういうギター作りにかけるソウルが随所に吹き込まれている一本だと思います。#1が完成した時はLUNA SEAのワールドツアーの真っ最中で、ドイツ公演には間に合わなかったんですけど、アメリカ公演からデビューしました。いきなり全世界を旅したギターなんですよ。そして、その後のレコーディングでもかなり活躍しています。

―  #1を作るにあたってINORANさんが特にこだわった点は?

INORAN    #1、いわゆるブラックはデニスに委ねた形です。#2のホワイトの時はデニスのところに行ったり、チームビルドとも話をして、僕のアイディアや希望をいろいろと落とし込んでいます。

―  #1を手にした時のことを覚えていますか?

INORAN    まずは嬉しかったです。フェンダーに自分のモデルとして作ってもらい、そのギターを毎回ステージでプレイできるし、レコーディングでもプレイできる。これはミュージシャン冥利に尽きます。

―  しかも、そのギターからいろんな物語が生まれていますよね。

INORAN    そうですね。僕がレコーディングでいつもお世話になっているギターテックの人も、いろんなレコーディングスタジオにこの#1を持って行ってくれていて。それでいろんなミュージシャンの方が#1を知り弾いてくれています。例えば米津玄師くんが弾いてくれていたり。嬉しい限りです。

―  自分のために作られたギターが、また他のプレイヤーにも愛されていく“ギターツリー”のようなものが広がっていくのも、ギタリスト冥利に尽きるのでは?

INORAN    はい。でも、INORANモデルだからっていうことじゃなく、僕はきっかけというかハブだと思っています。ギターや音楽を愛している人がフェンダーのJazzmasterを弾くきっかけになっているのであれば嬉しいですね。

―  そう言えば、MAN WITH A MISSONのレコーディングでも使用されたことがあると伺っています。

INORAN    MAN WITH A MISSONはレコーディングを僕らの隣でやっていて、先程のギターテックさんがキッカケで、このJazzmasterのことを知ってくれたみたいです。ギターっていろんな形、いろんなメーカーがあるわけですが、その中でJazzmasterっていうのは、“オルタナティヴではない”使い方が見出されてきたギターですよね。僕がきっかけになったかどうかはわからないけど、歪まさなきゃいけないとか、クリーンじゃなきゃいけないとか、こういう奏法じゃないとJazzmasterっぽくないっていうのがなくなった時代だと思うんです。そういう時代に僕がJazzmasterを手に取って、僕のパブリックイメージとは真逆の音を出した。皆がまたそれを見て、“なるほどJazzmasterってこういう使い方もOKなんだ”って思いながらJazzmasterを弾いているんだと思います。Jazzmasterってもちろんルックスがカッコいいし音もいいし、ロングトーンですごくいいんです。ただ、Stratocasterみたいにマルチなギターではないんです。それと、StratocasterもJaguarも音が確立されているのですが、Jazzmasterはまだ探究する余地があるギターです。

―  可能性が残っているギターだと。“そういう使い方ありなんだ”みたいな。

INORAN    はい。フェンダーのギターって、弾くとフェンダーの技術の高さがわかります。でも、技術の高さだけじゃないんです。シェイプとかも含め、ギターメーカーの技術だけじゃないところが吹き込まれているのがフェンダーのギターです。Jazzmasterが持つ“可能性”もそういうところから来ているのかもしれませんし、そういうソウルみたいなものを感じる時代にまたなったんだと思います。

―  #1を作って7年が経ちますが、その間にINORANさん自身のギターに対する想いは変わったりしましたか?

INORAN    “想い”ということでいうと、2011年にチームビルドが作った#1が50本、日本にドーンと届いた時に、嬉しくて到着したばかりの50本を見に行ったんですよ(笑)。到着したギターをメーカーさんが検品するんです。温度や気温も違うので微調整が必要だったりするので。俺、そこで50本全部触りましたから。で、当たりを1個入れておきました。

―  当たりは何だったんですか?

INORAN    ピックです。何か嬉しくて。#1にはそういう俺の願いも多少入っているのかもしれないです。でも、そういうことって大事だと思うんです。製品だけど、単なる工業製品じゃないし、道具じゃないわけですから。そういう想いは7年間でまったく変わっていないです。Jazzmasterを弾いていて良かったなという想いは変わらないです。その想いは、むしろ増しているかもしれないです。それだけ惚れ込んでいるので。

―  なぜこのタイミングで復刻を?

INORAN    もっと皆に弾いてもらいたいからです。本当に素晴らしい楽器だと思うので、もったいぶる必要はないし。だから、もっともっといろんな人に弾いてほしいです。日本だけじゃなく、アジア、そして世界中で。良い楽器を手にするとやっぱり全然違います。曲も生まれるし、アイディアも生まれます。練習を練習と思わなくなるんです。弾いている時が楽しくなるから。そして、喜びっていうのが何をするにも一番ですよ。僕は今、Jazzmasterと自分のことで話していますけど、人生すべて、喜びが人を変えたり、新しい世界に連れていってくれるので。このJazzmasterもそういう相棒になると思っています。


INORAN JAZZMASTER #1 LTD

INORAN

メーカー希望小売価格: 550,000 円(税抜)
予約受付:2018 年12月22日(土)午後3時30分より


PROFILE

INORAN
ロックバンドLUNA SEAのギタリストとして1992年にメジャーデビュー。1997年よりソロ活動をスタートさせ、Muddy Apes、Tourbillonなどでも精力的な活動を展開。2010年にはフェンダーとエンドースメント契約を締結し、翌年に日本人アーティスト初のシグネイチャーモデル「INORAN JAZZMASTER #1 LTD」を発売。その後も2013年に「INORAN JAZZMASTER® #2LTD, Masterbuilt by Dennis Galuszka」、2015年に「INORAN ROAD WORN® JAZZMASTER®」、2017年にはソロ活動20周年を記念した「INORAN ROAD WORN® JAZZMASTER® 20th anniv. Edition」など多くのシグネイチャーモデルが発売されている。
› Website:https://inoran.org/