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ジャーメイン・ジャクソン スペシャルインタビュー

Jermaine Jackson

肌寒い風が吹き始めた2019年の秋、Blue Note Tokyoでの公演の為に来日していたジャクソン・ファミリーの三男、ジャーメイン・ジャクソンに行ったスペシャルインタビュー。 ベースという楽器の魅力や練習方法など、ステージ直前の彼の楽屋で貴重な話を聞くことができた。


―  ベースを弾き始めたのはいつ頃ですか?

ジャーメイン・ジャクソン(以下:ジャーメイン) 10歳の頃でした。最初はベースを持っていなかったので、ギターでベースのパートを弾いていました。のちに父が買ってくれたベースはVOX製で、もう少し大きくなってから最初のフェンダーを手に入れ、それ以降は常にフェンダーをプレイしています。ベースにラインストーンをたくさん付けて、カラーリングしたりもしましたね。(ジャクソンズの)ヴィクトリー・ツアーの時は、持っている全てのフェンダー・ベースのネックを取り外して、星やスパイダーなどの形のボディのベースをデザインしたこともありました。どれもクラシカルなフェンダーのベースでした。

―  ベース・プレイヤーになる前に、プレイしていた他の楽器はありますか?

ジャーメイン ベース以外にも、ドラムを叩いたり、ピアノもたまに弾いていました。ベース・プレイヤーというのは、トーン(音色)を聴きたいと思うものなので、ピアノを弾けるようになるベーシストも多いんですよ。ベースは弦が4本しかないので、もっとカラフルな音を聴きたくなるんです。ベーシストは、曲が聴こえてきたら必ずベース・ラインを耳で追います。どんな曲でも、自然とベース・ラインに引きつけられるんです。

―  長年フェンダーを愛用されているということですが、フェンダーの楽器にはどのような印象を持たれていますか?

ジャーメイン 僕が持っている印象は、サウンドが安定しているということと耐久性があるということですね。だからこそ、他のメーカーからも真似されていますよね。フェンダーのベースはたくさんの偉大なミュージシャンにプレイされています。例えば、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのラリー・グラハム。60年代後半くらいでしたが、フェンダーのベースをプレイするにあたって、彼からは本当に大きな影響を受けました。フェンダーは、そのネームバリューにふさわしい、素晴らしい製品を生み出し続けていると思います。そしてステージでは、常に安定感のあるサウンドを聴かせてくれます。

―  ベースは独学ですか?

ジャーメイン そうです。僕たちは皆独学です。耳で聴いた音楽を、そのまま演奏しようとしました。コツさえつかめるようになればスムーズに行くものなんですよ。

―  ベースの練習方法を教えていただけますか。

ジャーメイン モータウンに、ジェームス・ジェマーソンという素晴らしいベーシストがいるのですが、彼は、1本の指だけを使った複雑なプレイをしていました。彼は、”ベーシストの中のベーシスト”といえる人。多くのモータウン作品でプレイしていて、難易度の高いプレイといえば彼でしたね。まずは彼のことを研究して、彼のプレイからインスピレーションを得ようと思いました。でも、彼のベースを弾けるようになっても、僕は他のベーシストとは違って、「ベースを弾いて」、「歌って」、「踊る」という3つの違うことをしなくてはならないのが大変でした。歌と演奏のリズムが違ったり、それに加えて足の動きがありましたからね。「ダンスの動きを止めないように」と、父には常に言われていましたから。だからティトと僕は大変でした。ジャッキー、マーロン、マイケルは「全員でダンスしなきゃ!」と言い、僕たちは「こちらは楽器もあるんだよ!」なんて言ってましたね。 最初はとても難しかったですが、初めからずっとやっていることなので、今は自然にできるようになりましたよ。

―  ベースという楽器の一番の魅力は何だと思いますか?

ジャーメイン まずベースは大きいので、ギターより見た目がかっこいいと思います。ベーシストはみんなクールな佇まいで、自分のプレイに自信を持って堂々とステージに立っていますよね。

―  今回のライヴでもフェンダーのベースをステージで使用されているということですが、アメリカから持ってこられたのは、黒のベースですね。

ジャーメイン そうです。アメリカのサム・アッシュというお店で買いました。「世界で最も有名な楽器店」とも言われています。それはちょっと違う気もしますが……(苦笑)。今回日本でお借りした白のフェンダーと、サウンドも、感触も、全く同じなんです。両方とも(アメリカから持ってきたベースも、お借りしたベースも)、フェンダーのAmerican Eliteです。

―  American Eliteがお好きなのですか?

ジャーメイン そうですね。僕はベースの弦は4本あれば十分だと思っています。5本だとネックがちょっと太くなってしまうし。このベースはネックの部分がほどよく細くて良いですよね。誰もが弾きやすいと感じるのではないでしょうか。手が小さな人でも弾きやすいと思いますよ。

―  ありがとうございます。さて、まもなくホリデーシーズンですが、おすすめのクリスマス・プレゼントがあったら教えていただけますか。

ジャーメイン ホリデーシーズンに誰もが、誰に対してでも贈ることができるのは、「愛」です。それがプレゼントという形態なのか、共に時間を過ごすのか、言葉で思いを伝えるのか。どれも「愛」がこもっていれば、それが最高のギフトだと思います。

―  最後に、ジャーメインさんのような素晴らしいプレイヤーになりたいと思って日々練習に励んでいるプレイヤーにアドバイスとメッセージをお願いします。

ジャーメイン まず、ジョー・ジャクソンという親の元で生まれていないと僕みたいにはなれませんが(笑)、とにかく、諦めないことが重要だと思います。大変なこともあると思います。でも、続けることが大切だと思います。まずは、ダンスのことは考えずに歌とプレイに集中してくださいね(笑)。回数をこなせば、いずれ自然に身についてきますから。

―  (ジャクソン5の最初のシングル曲「I Want You Back」から今年で50年なので...)少なくとも50年以上は頑張らないとですね。

ジャーメイン はい、そうですね(笑)。

―  ライヴ前に貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。

ジャーメイン こちらこそありがとう!

Jermaine Jackson

PROFILE

ジャーメイン・ジャクソン
"世界で最も有名な音楽一家" ジャクソン・ファミリーの三男、ジャーメイン・ジャクソン。ジャクソン5のリードヴォーカル&ベーシストとして、兄弟であるジャッキー、ティト、マーロン、マイケルと共に1967年デビュー。並外れた音楽的才能と振り付けで70年代初頭の音楽界を席巻し、ソロキャリアの礎を築く。その後、ジャクソンズとしての活躍でも世界中のファンに愛され、音楽史における唯一無二のアイドルとして君臨。ソロとしても「ダディーズ・ホーム」「レッツ・ゲット・シーリアス」など多数のヒットナンバーを生み出し、ホイットニー・ヒューストンの『そよ風の贈りもの』では一部音源のプロデュースに加え、ゲスト・シンガーとしても尽力。エレガントなヴォイスとベーシストとしての才能を併せ持ち、音楽シーンに大きな足跡を残している。
› Website:https://jermainejackson5.com/