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Special Interview: Michiya Haruhata

Michiya Haruhata

Hair Make:Jun Matsumoto(Tsuji Management)Styling:Kenji Notomo (UM)

TUBEのギタリスト春畑道哉が、通算10枚目となるフルアルバム「Continue」を発表した。バラエティに富んだ内容になった本作は、これまでになかったようなアプローチを施した曲も目立っており、まさにチャレンジングなアルバムに仕上がっている。昨年、フェンダーから発売されたMade in Japan Michiya Haruhata Stratocasterも大人気となっている春畑道哉に、新作について語ってもらった。

ギターインストアルバムとしては、今までの自分にはなかったスタイルの作品
 

― 「Continue」はソロとしては10枚目の作品になりましたね。曲作りはどのように進めていったのですか?

春畑道哉(以下:春畑)  前作「Play the Life」をリリースしたあと、ありがたいことに楽曲の依頼をいくつかいただいて、スタジオにはずっと入り続けていたんです。タイアップに関係なく作っていた曲も5曲ぐらいあったんですけど、TBSテレビ「じょんのび日本遺産」のメインテーマ「Continue (feat.宮本笑里)」を作らせてもらった時に、アルバムの方向性が固まりだしましたね。それと、去年6月にライヴ「live image 18 dix-huit」に参加させてもらって、オーケストラと共演したのがきっかけで、今までと違うアレンジの進め方を思いついたり、挑戦したりするようになりました。

― 具体的にはどういったことに挑戦したのですか?

春畑  ひとつはコラボレーションですね。前作をリリースした時、根本要さん(Stardust Revue)のラジオに出演させていただいたんですけど、要さんはものすごく音楽が詳しくて、よくライヴも観に行かれているんですよ。特にギタリストが好きなので、“今度一緒に行く?”ってお誘いいただいて、オズ・ノイとか僕が今まで聴いたことがないような変わったギタリストを紹介してもらったりしました。それで、要さんに飲みに連れていっていただいた時、要さんの歌を目の前で聴いて感動して、“今レコーディング中なんですけど、歌ってもらえませんか”ってお願いしました。

― それが1曲目の「Every day is a new day(feat.根本要【Stardust Revue】)」ですね。

春畑  そうです。この曲をどんなスタイルにしたらいいのか模索していたんですけど、「Every day is a new day」のタイトルはヘミングウェイ「老人と海」の中の一節なんですよ。この言葉をタイトルにするのはどうかと思っていたら、サビのメロディーが出てきたので、これを広げていきました。要さんに歌ってもらって、すごくポジティヴな曲になったので、オープニングナンバーになったんです。

― 次の「Daybreak Highway」は春畑さんご自身で歌も担当されていますが、どういう経緯で?

春畑  スタッフやプロデューサーから“歌にもチャレンジしたら?”って前から言われていたんですけど、どれくらい歌ったらいいのかと考えてみたんです。Charさんとか布袋寅泰さん、エリック・クラプトン…歌うギタリストはたくさんいますが、僕は歌ったことがほぼないので、歌うパートは少なめにしようと思いました(笑)。どこが主なサビなのかハッキリしないような不思議な曲になっています。

― 「東京classical」はいかがですか?

春畑  「live image 18 dix-huit」でのオーケストラとの共演がきっかけで、こういうアレンジがやってみたくなったんです。いろいろな楽器が次から次へと入っていて、贅沢な楽器の使い方をした曲ですね。「live image 18 dix-huit」では新しい発見がたくさんあったんですよ。ステージに大きなティンパニがいくつも置いてあって、僕の曲にピッチがバッチリあっているので、いつチューニングをしているのか聞きにいったんです。そうしたら、足元のペダルを踏むとB♭になったりCになったりして、曲中に譜面を見ながら即座に変えて叩いていると言われました。それにはビックリしましたね。そういう楽器のいろいろな仕組みを教えてもらってから演奏すると、“こうなっているんだ”というのがわかって面白かったです。今年もいくつかオーケストラとの共演ができそうなので、その時にこの曲を演奏できたらいいなと思っています。

― それとは逆に、次の「FULL MOON BOOGIE」はシャッフルビートのエキサイティングなロックナンバーですね。

春畑  ヴァン・ヘイレンとか大好きだった割には、こういうシャッフル系の曲を作ったのは初めてでしたね。仮タイトルは「Haru’s Boogie」でした(笑)。その頃、フェンダーから“こんなエフェクトペダルがあるので、試してみてください”って言われて、スタジオに持ってきてもらったんですよ。その中のFull Moon Distortionが気に入っちゃって、ちょうどこの曲を作っていた時だったので、“これはイケる!”と思って速攻で録音し始めて、タイトルが「FULL MOON BOOGIE」になりました(笑)。

― 機材がきっかけでアイディアが膨らんだんですね。

春畑  Full Moon Distortionのエッジとか速さ、いい感じの潰れ具合で、あのリフが思いついたんです。ピッキングハーモニクスも出しやすいんですよ。

― 「Fly to the world」もメタルっぽく始まったかと思ったら…。

春畑  沖縄感がすごいですよね(笑)。沖縄に僕と前田(亘輝:TUBE)の30年来の友人がいて、その息子がボクサーとしてデビューしたんですよ。それで、前田から彼の応援をしようと話があって、試合の時とかに使ってもらえる彼のテーマ曲を作ることにしたんです。自分の殻を破って世界へ羽ばたけ!というメッセージを込めたコーラスと、沖縄の感じとロックの感じを全部ミックスして作りました。沖縄風のフレーズは、ちょっとカントリーっぽい弾き方をしているんですよ。

― ラストの「Continue(feat.宮本笑里)」は「live image 18 dix-huit」で共演されたヴァイオリニストの宮本さんが参加されていますが、これはどういう曲ですか?

春畑  そのライヴの時、宮本さんからCDをいただいたんですけど、そのアルバムが心地良くて、毎晩寝る時とかに聴いていたんです。ヴァイオリンのふくよかな太い低音が気持ちいいなと思っていて、今作っている曲で弾いてもらったら、世界が広がるなと思ったんです。それで、お願いして参加してもらいました。曲そのものはだいぶ前から作り始めていて、日本遺産の映像を観たり、TUBEのツアー中もお城とかを見に行ったりしながら、イメージを固めていきました。

それで、ヴァイオリンの譜面を書き起こしてお送りして、“この音から始まって、ここから駆け上がって”と伝えたら、数日後には正確な音で弾いたものが出来上がってきました。“こんな雰囲気になりますけど、どうですか?”って、ラフに録音したヴァイオリンだけの音を送ってくれたんですけど、あまりにすごいので“これでOKです”って言いそうになりました(笑)。それぐらい素晴らしい演奏でしたね。

やっぱり、ロックやポップスはレコーディングでああでもない、こうでもないってやりながら進めていきますけど、クラシックの人は人前で披露できるまでのレべルに完璧に仕上げてからスタジオに入るんだなと思いました。クラシックの人は、アルバムのレコーディングを1日で終えてしまうこともあるみたいですね。ミスが許されないんです。それぐらい弾けるまで仕上げまくってくるので、すごい世界ですよ。オーケストラは何十人もの人が一斉に演奏するのに、TUBEは楽器担当が3人しかいないのに間違えて、またイチから録り直すこともありますから(笑)。

― アルバムを通して、ギターの音の良さが際立っていますね。機材はどういったものを使いましたか?

春畑  ギターは去年フェンダーから発売されたMichiya Haruhata Stratocaster、フェンダーカスタムショップ製の歴代の自分のモデル、American Elite Stratocaster、あと、ジョン・イングリッシュが作ってくれたStratocaster、最近Telecasterも買ったのでそれも使いました。アンプはいろいろ使っているんですけど、フェンダーのBassbreaker、前から持っているVibro-Kingなどを曲によって使い分けています。

― では、最後にメッセージお願いします。

春畑  ギターインストアルバムとしては、今までの自分の中にはなかったようなスタイルの作品になったと思います。ギターファンだけじゃなくても聴ける曲が入っていますので、是非いろいろな方に聴いていただきたいですね。


Michiya Haruhata

Michiya Haruhata Stratocaster®
カスタムショップ製のMichiya Haruhata Stratocaster IIIに詰め込まれたアイディアを、余すことなく採用した日本製のシグネイチャーモデル。ゴトー製ブリッジ、直付けのピックアップ、機能的なコントロール部など、こだわりが詰まった1本に仕上がっている。

MICHIYA HARUHATA STRATOCASTER®

PROFILE


春畑道哉
85年、TUBEのギタリストとして「ベストセラー・サマー」でレコードデビュー。86年、3rdシングル「シーズン・イン・ザ・サン」の大ヒットでバンドとしての地位を確立。87年、TUBEと並行してソロ活動を始め、現在までにシングル3枚とアルバム12枚(ベストアルバム・ミニアルバム含む)をリリース。92年、シングル「J'S THEME(Jのテーマ)」が日本初のプロサッカーリーグであるJリーグのオフィシャルテーマソングとなる。93年のJリーグオープニングセレモニーでは音楽を担当、国立競技場の約6万人の観衆を前にライブを行った。2002年5月9日、フェンダーと正式にアーティストエンドース契約を締結。日本人のギタリストとしては初めてのシグネイチャーモデルを発売。これまで、Michiya Haruhata Stratocaster、Michiya Haruhata BWL Stratocaster、Michiya Haruhata III Stratocaster Masterbuilt by Jason Smithという3本のシグネイチャーモデルを発表している。ソロデビュー30周年を迎え、2016年11月に発売したアルバム「Play the Life」がオリコン週間ランキング9位を獲得し、インストアルバムとして異例のヒットを記録した。
› Website:http://www.sonymusic.co.jp/artist/MichiyaHaruhata

New Relese
春畑道哉 New Album『Continue』
2019年3月6日(水)発売
【初回生産限定盤(CD+Blu-ray+PHOTOBOOK)】¥4,630(税抜)AICL-3658~9
【初回生産限定盤(CD+DVD+PHOTOBOOK)】¥4,167(税抜)AICL-3660~1
【通常盤】¥2,778(税抜)AICL-3662
Sony Music Associated Records/span>

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