#FenderNews / いまみちともたか(BARBEE BOYS)インタビュー

21世紀型のBARBEE BOYSの音を 聴かせるのがモチベーションのひとつだね

Tomotaka Imamichi

82年結成。ソリッドなサウンドとKONTAと杏子によるツインヴォーカルで一世を風靡した、日本のロックンロール界の至宝“BARBEE BOYS”。92年に惜しまれつつ解散するも2008年に活動を再開。12月18日には、実に29年ぶりとなるオリジナルアルバム「PlanBee」をリリースする。そんなBARBEE BOYSから、ギタリストの“いまみちともたか”が登場。ギターについて、今だから話せる解散〜再集結について、そして12月に発売される新譜について語ってくれた。

弾いていると気分が上がるんだよね。 実はそういうのがすごく大事
 

―  まずは、ギターを始めたきっかけから教えてください。

いまみちともたか(以下:いまみち) エレクトリックギターを持ちたいと思ったのは、お子ちゃまの時にテレビで見たザ・ビートルズと、中1の時にやられたキャロルだね。キャロルにはだいぶやられたね。まぁ、ビートルズを知った時はすでに解散している頃だから。そしたらそこにキャロルだもん。俺、うっちゃん(内海利勝。キャロルのギタリスト)が大好き!

―  内海さんの影響で、いまみちさんはStratocasterなんですね?

いまみち そうだね。初代はインチキストラトだったけど、うっちゃんと同じ黒ボディで白のピックガード。 買ったのは中2の時だね。

―  最初は1人で練習していたんですか?

いまみち あのね、練習はしてない(笑)。ちょうどその頃、中学に入って隣の席になった奴が“俺、ビートルズ大好きでさ”って言って、そいつと一緒に演奏してたんだよね。でも最初はギターが1本しかなくて、1人はエアギターで(笑)。そんなことをしながらギターを覚えていったんだよ。だから、1人で練習…つまりスケール練習がどうのこうのっていうのはまったくダメ。歌本を見て“コードがこうだ!”とか。あとは、同級生たちとバンドごっこ。誰かの家の屋上に集まって、4人いるのにギターは2本しかなくて、2人はエアギターだったなぁ(笑)。

―  80年代中盤にBARBEE BOYSを目撃した時に、KONTAさんと杏子さんのフロントマンの2人と同じように、存在感のあるいまみちさんに魅せられたファンも多いと思います。あのすごいギタープレイが独学だったのに驚きです。

いまみち 完全に独学だね。それとまぁ、そもそもバンドっていいなって思ったのが、ビートルズだったりキャロルだったりすると、彼らって皆それぞれにキャラが立ってたじゃん。フロントとバックの境界がないじゃん。で、俺らも便宜的にヴォーカルの2人がフロントで、バックは3人とか言っていたけど、気分的には全員イーブンなのよ。

―  確かにBARBEE BOYSは、メンバー全員のキャラが立ってましたよね。

いまみち だから、フロントがどうのこうのっていうのは意識していないし、どっちかと言えば俺はヴォーカルの隣とか、半歩下がったところでニヤニヤしてヴォーカルを立てるのが一番好きかな。

―  それと、いまみちさんがフェンダーのストラトを弾いている姿がめちゃくちゃカッコ良かったのを今でも覚えています。初めてフェンダーのストラトを買ったのはいつですか?

いまみち デビューして2枚目のアルバムまでは、中古で見つけたインチキストラトだったよ。でね、2枚目の時にディレクターにツイストのギターだった松浦(善博)さんが付いてビックリしてた。“いまみち君、いいギター使わなあかんで”と言って、一緒に楽器屋へ行ってフェンダーを買ったんです。だから2ndアルバム「Freebee」の録音からかな、本物のフェンダーを弾いたのは。で、アメリカ製のフェンダーは、ヴィンテージも含めて4枚目のアルバム「LISTEN! BARBEE BOYS 4」の時じゃないかな。だから、あのアルバムジャケットに写っている赤のストラトは65年製のヴィンテージだね。

―  今日の撮影に使用したギター、Parallel UniverseシリーズのWhiteguard Stratocasterはいまみちさんが探していた1本だと聞いています。

いまみち 2ピックアップの楽器をセンターポジションにすると、めっちゃめちゃ“コリンコリーン”としたいい音が出るの。それがすごく好きで。でも、ストラトはハーフトーンになっちゃう。その音が出るのはTelecasterなのよ。でも俺、テレキャスは何か似合わねぇと。体が慣れていないんだろうね。あと、うっちゃんは弾いてないし。それでストラトも、テレキャスのセンターと同じような“コリンコリーン”という音がするように配線を全部変えていて。メインでずっと使っているストラトは、FENDER CUSTOM SHOPのものなんだけど、それも真ん中のピックアップを初めから取っちゃってるんだ。

―  いまみちさん的には、ボディはとにかくストラトが持ちやすいけど、3ピックアップは要らなくて、そこを改造してきたわけなので、今日撮影で使用したParallel Universeシリーズこそ理想のギターですよね?

いまみち これ、本当に探してたんだよね。難を言えばアームがないんだけど、実は俺、アームを使い出したのって随分あとのほうなんだよ。たぶん、バービーの終わりの2年ぐらいでやっと使い出したんじゃない? それまではアームをつけていないよ。外してる。だから別にいいんだ。

―  まさに探していた1本だと。

いまみち そう。だからさっきから手放せない(笑)。ご機嫌でしょうがない。これ、弾いていると何か気分が上がるんだよね。実はそういうのがすごく大事だからね。もちろん購入させていただきますよ。このギター、復活したBARBEE BOYSのライヴでデビューするかもだしね。


頼まれもしないのに“新譜出しちゃう?”とか。 そういう意味では面白いかな
 

―  そのBARBEE BOYSの話を少し聞きたいのですが、なぜBARBEE BOYSは92年に一度解散したのでしょうか?

いまみち うーん、何か飽きた(笑)。

―  ケンカしたわけではなく?

いまみち 何となく段々と雰囲気が悪くなるじゃん。メンバーに対してじゃなくて、例えば状況とか周りに対してフラストレーションを抱えるわけよ。で、その発散がメンバー内になるじゃん。別に、オメェが嫌いだ!とか、気に食わねぇ!とかはないんだよ。だけど、何かいろいろあるよね。飽和状態になる。仲が悪いんだったら、むしろ解散したあとのほうが仲が悪かったね。解散したあとって、それぞれのことで精一杯じゃん。それぞれにスタッフがいるし、意外とそれぞれのスタッフ同士が牽制し合ったりする。会社も事務所も変わったり、いろいろあるから。だけど今は時効みたいなもの(笑)。もういいじゃんって。

 人間丸くなるって言うけど、それは違うね。キャラが濃くなっていくだけ。だから、“コイツはここが〇〇だな”って思っていたところは治らなくて、そこがどんどん濃くなってくる。性格とかキャラが濃くなっているだけで、たぶんこっちも同じくらい濃くなっているから、“はいはい、わかるわかる。どうせお前はそう言うと思ってた”みたいな感じなんだよね。そういう意味じゃ、今は“我々のわがままに付き合ってくれる? ごめん、じゃあ付き合って!”っていう感じで。実は割と初めてぐらいなんだけど、いろんな企画とか事柄に関して5人で決めているね。なので、今回は“やらされてる感”がない! だって、誰に頼まれもしないのに“新譜出しちゃう?”とかさ。そういう意味では面白いかな。面白いけれど、頼まれもしないのに“やる!”って自分らが言ったので、思ったよりも責任があるかもね(笑)。

―  (笑)。ちなみに、いまみちさんは解散に賛成だったんですか?

いまみち うん。ぶっちゃけ、俺が言い出したようなもの。もう時効だから言うけど、一番は周りの人の引き止め方が気にくわなかったのかな。例えば、“ちょっとお休みして気分をリフレッシュさせて頑張ろうよ”だったら“そうかな?”と思うんだけど、“今からツアーキャンセルとか、保証どうするんですか?”みたいな。それだけ言われてもあまり痛くないけど、“待ってるファンはどうするんだ!”って言われると“ずるいこと言うな”と思っちゃってさ。よく考えると、いろんなことに対してコントロールされているからこそ、コントロールしたくなって反発するんだけど、今は自分たちでコントロールするのって何て大変なんだろうって思う。だから逆に“言うことを聞くから、ここからここまではお任せ!”っていうのも皆それぞれが覚えたんじゃないかな。

―  もう少し食い下がると(笑)、2003年はどういう経緯で復活したんですか?

いまみち 最初の復活はレーベルの25周年記念で、一晩だけだったか2回だけだったかやって、案の定雰囲気が悪くてさ(笑)。というのも、我々もどうしていいのかわからない。言ってみれば、“あんたたちもう要りません!”って言われたレーベルを何で祝わなきゃいけないの?みたいな。あと出演者全員、仲が良さそうなのよ。“お前ら違っただろう…仲悪かっただろう?”みたいな。“何か違うんじゃない?”ってあまりいい雰囲気ではなくて。もう懲りたんだけど、それを忘れた頃に『SMAP×SMAP名曲歌謡祭』でKONTAと杏子の2人がカラオケで歌うっていう企画があって。でも、2人ともカラオケじゃ歌わないと。ただKONTAが、“5人揃ったら出てもいい”と言ったらしい。それを真に受けて、局が5人それぞれに連絡しちゃったの。そしたら、5人のスケジュールがたまたま空いててさ。実は今回も、それと同じようなものなんだけどね(笑)。

―  今回はニューアルバム「PlanBee」までリリースですから!

いまみち 10年くらい前に日本武道館でやった時も新曲はやったんだよ。ただ、録るまでには至らなかった。“今回は何かしら音源を出さねぇか?”ってKONTAが言い出して、俺もKONTAはそんなこと言っているけど、全員OKだとは言わないだろうから、“みんながOKすればいいよ”って(笑)。誰かが反対すると思ったら、全員からOKが取れちゃった。

―  年明けには代々木第一体育館でライヴですね。チケットは即完でしたが、今回のライヴに対するモチベーションは、いまみちさん的にはどのあたりにあるんですか?

いまみち 新作のレコーディングの時からそうなんだけど、ENRIQUE(Ba)も俺も現在気に入っている楽器をチョイスしているし、現在出したい音もチョイスしている。つまり、21世紀型のBARBEE BOYSの音を聴かせるのがモチベーションのひとつだね。

―  では最後になりますが、いまみちさんにとってギターとは?

いまみち 得意なこと(笑)!

Tomotaka Imamichi

PROFILE

BARBEE BOYS
82年結成。メンバーは、KONTA(Vo,Sax)、杏子(Vo)、いまみちともたか(Gt)、ENRIQUE(Ba)、小沼俊昭(Dr)。83年、CBSソニーオーディションでグランプリを獲得し、1984年にシングル「暗闇でDANCE」でデビュー。「負けるもんか」「女ぎつね on the Run」「目を閉じておいでよ」などヒット曲を多数リリース。1992年に解散。2008年、フジテレビ系『SMAP×SMAP名曲歌謡祭』への出演をきっかけに活動を再開。2009年にはデビュー25周年を記念しての全国ツアーを開催。2010年には21年ぶりに日本武道館にてライヴを行う。その後2018年のテレビ番組で8年ぶりの集結、そして再結成へと繋がる。2019年12月18日待望の新作「PlanBee」発売。2020年1月13日(月祝)国立代々木競技場第一体育館公演、1月19日(日)LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)公演、1月29日12inchアナログ盤「PlayBee」発売が決定している。
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