#FenderNews / TURNING POINT OF PERFORMER VOL.11

TURNING POINT OF PERFORMER VOL.11

カナ | CHAI

TURNING POINT OF PERFORMER

自分や仲間だけで演奏している“プレイヤー”から、オーディエンスを相手にして演奏する“パフォーマー”。同じ演奏だが、何かが違うはずだ。日本のロックシーンを熱くしているパフォーマーたちは、どうやって“プレイヤー”から“パフォーマー”へとステップアップし、また、パフォーマーであることにどんな魅力を感じているのか。TURNING POINT OF PERFORMERと題したシリーズ11回目は、デビューから3年、世界が注目する “NEOかわいい”“コンプレックスはアートなり”というコンセプトを掲げる女4人組バンドCHAIのカナ(Vo,Gt)に話を聞いた。

ロックもそうだけど“表現”ってはみ出すもの。 それと、行動する勇気が大事だよね
 

― カナさんは高校時代は軽音楽部だったんですよね?

カナ  そう。私、副部長だった。で、双子の片割れのマナが部長だった。

― 姉妹で幅を利かせてたんですね(笑)。

カナ  でも、私たちの軽音楽部はすごく厳しくて。厳しいと言っても、100人いる軽音楽のように競争が厳しいわけじゃなく、運動部っぽいから辞めていく子が多かったんだ。

― スパルタだったんですね。

カナ  うん。技術的にというより、精神的に厳しくて。文化祭で楽しく演奏するんじゃなくて、学校の公式行事で演奏してくださいって感じだったから、部員も少なくて女の子しかいなかった。何か吹奏楽部の代わりみたいな感じだよね。

― なるほど。そもそも楽器を始めたきっかけは?

カナ  3歳くらいからマナと2人で歌手になりたくて。モーニング娘。に入りたかったの。歌手になりたかったから軽音楽部に入ったんですよ。私たちが幼い頃、一番テレビに映っていたのがモーニング娘。だったから単純に憧れで。

― どんな音楽を聴いていたんですか?

カナ  高校生の時はいきものがかりとかaikoとか本当にJ-POP。あとは東京事変もすっごく聴いた。

― ヴォーカル志望で軽音楽部に入ったのに、なぜギターを弾くことに?

カナ  私たちの軽音楽部は、最初にみんな強制的にアコギを持たされていたから。だけど、ギターはやらずに最初はずっとドラムをやってた。部員数が少ないから同じ学年に1バンドしかいなかったんだけど、3年生の時にギターの子が辞めちゃったからギターをやらざるを得なかった(笑)。“誰かやって”みたいな感じになったから“じゃあ私やるね”みたいな。しかも、エレキじゃなくてアコギ。

― 卒業してもバンドを続けていたんですよね?

カナ  最初はやらなかった。バンド辞めたんだ。しかも学校だと機材も全部揃っているから。外に出ると楽器を買わなきゃいけないしスタジオ代もかかる。ぶっちゃけ、どうやってライヴすんの?って感じだった。

― 確かに学校の外に出たとたん、急にハードルが高くなりますよね。

カナ  うん。私たちもバンドやりたいなぁって思っていながらも、自分でやらなきゃいけないからやり方がわからなかった。ドラムのユナ(Dr,Cho)だけはスタジオミュージシャンになりたいと言って専門学校に行ったんだけど、私とマナは普通の大学に行ったんだ。でもある時、マナが“バンドをもう一回やりたい”って言い出して“じゃあやろうか”って。そこで初めて外のスタジオに入って今に至る感じ(笑)。

― その時はオリジナルをやろうと?

カナ  高校生の時も、マナが作曲したいって言ってオリジナルは作ったりしてたの。その延長線上で、オリジナル曲でバンドをやりたいよねっていう流れから始まった。マナと私は同じ大学でキャンパスは違ったんだけど、一度も楽器をやったことがないただ友達で気が合いそうだからって理由でマナがユウキ(Ba,Cho)を連れてきたの。で、私とマナとユナとユウキの4人でバンドをやろうって。何だかすごく気が合ったから、友達と遊んでたっていう感覚。最初は夢も目的もなくて、ただ遊びでやってみようという感じだった。

― それからライヴハウスでライヴをするようになったきっかけは?

カナ  軽音楽部の時の先輩に誘ってもらったのかな? それで“ああ、なるほどね。これがライヴなんだ”ってことを知って。それから何回かやるようになって、東京でもやれるようになって。でもお客さんが全然いなくてただ演奏するだけだった。

― 初めてライヴハウスでやったライヴを覚えてますか?

カナ  覚えてる。緊張で頭が真っ白。だって、他人に向けて歌を届けようって思ったことがなかったから。“ちょっと真剣にやらなきゃな”“私すごく下手だな、もっと練習しよう”と思ったなぁ。

― つまり“届けたいな”と思ったってことですか?

カナ  歌詞を届けたいというよりは、音楽をちゃんとやらなきゃって。当時はすごく下手だったから、聴かせられるようにならなきゃなって。もっとバンドで“一枚の壁”を作らなきゃと思いながら練習をしてた。で、就活したくないと思っていたから、みんなで音楽一本で東京に行こうって。実際に上京したのはその少しあとだけど、音楽しかやりたいことがなかったから、本気でやろうとバンドのコンセプトや核になるものを決めて、それから本格的に活動していった感じかな。で、東京に知り合いはいなかったんだけど、上京する一週間くらい前に東京でライヴをした時に、4社くらいから契約のオファーがあって(笑)。

― 頭の中が真っ白になった初ライヴから、数年で4社から声が掛かるほどに成長するためにどんな練習をしたのですか?

カナ  練習は本当にたくさんしたんだけど、“私たちらしさって何だろう?”ってことを徹底的に考えた。バンドやろうと思った時に、DEVOやCSS、トム・トム・クラブ、ベースメント・ジャックスとジャスティスとかを聴いてて、見せ方を一番参考にしようと思ったのがDEVOで。ちょっとクスッとなる面白さとユーモアとカッコ良さを全部入れようって。あとはブルーノ・マーズのように、エンターテイメントな部分は絶対に取り入れようと思ってた。

― 大切なのは自分たちらしさだと。

カナ  そう。ずっと個性が一番大事だと思っていたから。誰にも似たくないと思ってた。似るとつまらないから。“またこういう感じか”っていうのばかりで。

― でも逆に言うと、何かに似せたほうがラクじゃないですか。

カナ  レールに乗れるからね。

― 美しく孤立する覚悟が必要だと。

カナ  私たちが好きなバンドやアーティストって、唯一無二感がすごい人ばかりなんだ。本当にそういう人に憧れる。日本は似たようなアーティストがたくさん出てきて、誰が誰なのか全然わからない。ラジオを聴いていても、同じようなサウンドばかりだし。それはそれでカッコいいと思うし、それを誇りに思っている人もすごいと思うんだけど、私たちはそういう考え方じゃないんだよね。

― そういうオリジナリティって、アイディアとして浮かんでも実際にパフォーマンスとして出すのは難しいですよね。

カナ  私たち、出せてます(笑)?

― 出せているからFUJI ROCK FESTIVALや海外のフェスにも呼ばれるんですよ。

カナ  ありがとう。良かった。でもね、常にCHAIでいなきゃと思って、コンセプトとかライヴの見せ方は4人でめっちゃ考えた。でも、考えるだけではダメで、経験がないとダメなんだよね。だから、ライヴはどんどんやったほうがいい。

― 今の若い世代は考えるとこまではいくのかもしれないけど、実践する勇気がない人も多いような気がします。

カナ  枠に入っているとなかなか抜け出せないよね。学校という仕切りがあって、そこから出られない子もたくさんいると思う。バンドでも友達関係でも。枠からはみ出ることの怖さってすごくあるから、その気持ちはめっちゃわかるし。

― その枠からはみ出すためにはどうしたらいいと思います?

カナ  ロックもそうだけど“表現”ってはみ出すものだから。それと、行動する勇気が大事だよね。団体でいると馴染めちゃうから、安心しちゃうんだよね。

― 群れないことも大事ですよね。

カナ  大事。仲良くすることも大事だけど、群れちゃダメだよね。学生の時って群れちゃうからね。私も群れていたからすごくわかる。わかるけど、もっと違う世界があるんだよって言いたい。

― ちなみに、ミュージシャン以外の選択肢はなかったんですか?

カナ  なかったな。好きなことがなかったというか、音楽が一番好きだから。それ以外の仕事に就いたら後悔すると思った。後悔したくないと思ってる、ずっと。

― 何もしないで後悔するより、どうせならやって後悔したほうがいいですよね。

カナ  そうだよ。一回やってみたほうがいい。それで一回失敗したほうがいいよ。それからわかるから。そして、挑戦は絶対にしたほうがいいよね。

― 素敵です。ちなみに、もうライヴで緊張することはない?

カナ  それが、めっちゃ緊張する(笑)。

― 完全にCHAIワールドで演奏している気がしますが!

カナ  そう見えるかもしれないけど、意外と緊張してます。特にワンマンは緊張する。ワンマンができる嬉しさと喜びはすごすぎて。

― 緊張を解く方法は?

カナ  いつも4人で“外タレみたいにやろう”と話してる(笑)。日本人だという気持ちでやると、“何かすみません”“何かごめんなさい”って感じになっちゃう。Excuse meじゃなくてSorryになっちゃう。“何かごめん”という気持ちにならないようにしないと、ステージには立てないと思っていて。だからいつも“香港から来た”とか“今日は台湾から来た”という気持ちでやっています。

― そんなことを言い聞かせながらステージに立っているんですね!

カナ  “今日も無敵だよね”と言い聞かせて、外タレの気持ちでステージに立つ(笑)。気持ちが強くなればいいかなっていう感じで。

― 今や世界が注目するCHAIですが、バンドとして何をみんなに伝えたいですか?

カナ  私たち、コンプレックスがたくさんあるよねっていう話をめちゃくちゃしてて。それで“コンプレックスはアートなり”ってコンセプトを作って。つまり、みんな素晴らしいんだよって。あとは“かわいい”の価値観を変えたかった。“かわいい”と言われてこなかった4人だから、みんなで褒め合ってみんなで“かわいいんだよ”って。褒め合うことってとても素敵なことだと思ってる。今って“かわいい”の基準がすごく狭くて、そうじゃない人たちはみんなブス扱いになってるじゃん。“NEOかわいい”という言葉を作って、“みんなかわいいよ”ということを伝えたいと思ってます。かわいいの価値観を変えてグラミー賞を獲りたい。アジアの顔になりたい。


AMERICAN PERFORMER TELECASTER® HUM

TURNING POINT OF PERFORMER

カリフォルニア州のコロナ工場で製造されるAmerican Performer Telecaster Humは、DoubleTap™ハムバッカーを搭載し、USA製フェンダーならではのオーセンティックなトーンとフィーリング、そしてフォーマンスにインスピレーションを与え新たな次元へと導くモダンスペックを随所にフィーチャーしています。

 

PROFILE


CHAI
ミラクル双子のマナ・カナに、ユウキとユナの男前な最強のリズム隊で編成された4人組、『NEO - ニュー・エキサイト・オンナバンド』、それがCHAI。 2017年1stアルバム「PINK」が各チャートを席捲、音楽業界を超え様々な著名人からも絶賛を受ける。2018年には日本テレビ系「バズリズム02」の「コレはバズるぞ2018」1 位、第10回CD ショップ大賞2018 入賞など、各所より高い評価を得る。 3rd EP「わがまマニア」はApple Music/ iTunesオルタナティブランキング1位を獲得。 海外の活動も活発で、2018年2月にアメリカの人気インディーレーベルBURGER RecordsよりUSデビュー、8月にイギリスの名門インディーレーベルHeavenly RecordingsよりUKデビューを果たし、3度のアメリカツアーと、10月には初の全英13都市のツアーを成功させる。 2019年2月13日にはタイアップ曲など話題曲満載のセカンドアルバム「PUNK」をリリース。 彼女たちに触れた君の21世紀衝撃度No.1は間違いなく『NEOかわいい』バンドCHAIだよ!
› Website:https://chai-band.com/