#FenderNews / Ultra Test Drive Sessions | Vol.3 日野"JINO"賢二 × 新井和輝 -King Gnu-(前編)

ポジティヴなことを一瞬で体感できる、二度と起きないことが起こるのがセッション

Ultra Test Drive Sessions | Vol.3 日野"JINO"賢二 × 新井和輝 -King Gnu-(前編)

Ultra Test Drive Sessions

“限界とは超えるもの”をタグラインに冠し、最先端の技術を投入して製作されたAmerican Ultraシリーズを手に、確かなスキルを持つアーティスト2名によるセッションを、動画とインタビューで紡ぐ『Ultra Test Drive Sessions』。第3回目は、国内外問わずグローバルに活動するスーパーベーシストのJINOと、目覚ましい活躍を遂げているKing Gnuの新井和輝が登場。師弟関係でもある両者。前編ではAmerican Ultra Jazz Bassを手に、直感の赴くままセッションを展開してもらった。

―  まずはAmerican Ultraシリーズを使ってのセッションの感想からお願いします。

新井和輝(以下:新井)  僕とJINOさんで以前一緒にやっていた曲があって。それをやるのかなって思ったんです。でも、セッションの直前に“あの曲のここだけで回してインプロ(インプロヴィゼーション)していこうよ”というアイディアをくれて、いきなり始まったので…。

日野"JINO"賢二(以下:JINO)  うん、だから俺も間違っちゃった(笑)。

新井  でも、すごく斬新なアイディアでしたね。あえてその部分を使うんだ!という箇所でのセッションだったので。

―  JINOさんはどうでしたか?

JINO  やっぱり和輝はさすがだなと。ちゃんとジャズの勉強をしている。ロックで売れている人ってさ、勉強不足なヤツがいっぱいいるから。今まで日本、アメリカ、世界中のトップの人と演奏してきたけど、ジャズを知っているかどうか、ハーモニーの勉強をしているかどうかは一音聴けばわかるね。それに和輝はリズムがいい。ただ、俺が16小節でソロを回しているのには気づかなかったね(笑)?

新井  そうですね。確かに(笑)。

JINO  16小節弾いたら“はいどうぞ”って渡すと思ったんだけど、“あ、和輝まだ弾いてる”って(笑)。でも、本当に音楽に集中しているってことで、それはいいことだから。音楽をやっていて何が面白いかと言ったら…あるいはどんなミュージシャンを尊敬するかと言ったら、演奏していて音楽に入り込んじゃって、どんな顔をして弾いててもいいっていう瞬間。それが音楽で一番尊敬している。B.B.キングも俺の親父(日野皓正)も言葉では表現できないすごい顔をして、もう音楽の世界に入っちゃうの。これが一番素晴らしいと思う。スピリチュアルで、音楽の中で自分を失っちゃうの。

―  イン・トゥ・ザ・ミュージックですね。

JINO  今の和輝はそうだったね。16小節だけで(笑)。

新井  言われるまでまったく気づかなかったなぁ(笑)。

JINO  動画をあとで見てみて(笑)。

―  お2人は師弟関係ですよね。昨日の夜は緊張しましたか?

新井  緊張しましたよ。僕が16歳の頃からお世話になっていて、もう11年ぐらいの付き合いで…。

JINO  まだ当時の写真を持ってるよ。

新井  昔からお世話になっているので(笑)。

JINO  いろいろ話したもんね。和輝が初恋をして嬉しい時、初めてフラれた時も全部知ってる。かわいくてかわいくて(笑)。和輝は弟子の中でもちょっとスペシャルだったのね。温かくて優しいの。やっぱり、音楽をやる上で何が一番大切かと言えば、心がピュアかどうかだからね。


 
 
 

―  新井さんはなぜJINOさんを師匠に選んだのですか?

新井  高校1年生の時に『ベースマガジン』を定期購読して読み漁っていて、載っているベーシストを片っ端からチェックするようなキッズだったんです。それでJINOさんのことは知っていて。で、当時よく通っていた調布のGINZというライヴハウスにJINOさんが出ることを知って、そこで初めてJINOさんのライヴを見て、その時に “やばい!”と。それからJINOさんの追っかけになったのですが、当時は学生だったし、毎回はライヴを見に行けませんってJINOさんに相談したら、“じゃあ俺の弟子になったらいつでも見られるよ”って。“そこにマネージャーがいるから聞いてごらん”と言われたので、“JINOさんの弟子にしてください!”って言ったんです。そうしたら次の日に、“今日誰もいないから来られる?”って。それが阿佐ヶ谷MiXでのライヴで、当日会場でJINOさんを待っていたら、JINOさんは車で来たんですけど、車の中でベースをブリンブリンに弾いてて。“やべぇ!!”みたいな(笑)。

JINO  いつでも練習できるように(笑)。子どもがいるから家で練習する時はヘッドフォンをしなくちゃいけないけど、車の中だったら誰もいないから!

新井  超音漏れしているんですよ(笑)。スラップの音が聴こえてきて、“めちゃファンクだ!”って。その姿に衝撃というか、バコーンと喰らって。それからですね。

JINO  和輝の心が優しいというのは、よく周りが俺に教えてくれたんですよね。ライヴハウスのオーナーが、“和輝ってJINOさんのライヴでずっとニコニコしていたり踊ったりして、我慢できなくて音楽に入ってますよ”って(笑)。だから、こいつは音楽が好きなのか、ライヴが好きなのか、それともお姉ちゃんが好きなのかはわからないけど(笑)、心優しいミュージシャンなんだよね。それにしてもあれから11年。背も高くなったし髭なんか生やして(笑)。

新井  やめてください(笑)。恥ずかしいです(笑)。

JINO  まぁでも、お互いいろんなメーカーの楽器を使ってきたと思うけど、今はこうして2人してフェンダーに辿り着いた。

新井  本当にそうですね。

JINO  和輝は普段アメデラ(American Deluxeシリーズ)を使っていて、俺はAmerican Eliteシリーズを使っていた。今回American Ultraシリーズが出て弾いて違いとか特徴とか思うところはある?

新井  アメデラもウルトラもボディは同じですけど(アッシュ材)、アメデラは指板がローズウッドなので、そのぶんちょっと音が丸いというか温かい。ウルトラのほうがスピード感はあるというか、音がパン!ときますね。

―  今日のテーマはセッションなのですが、お2人でセッションするのは初めてですか?

JINO  これまで2人でセッションはしていたよ。

新井  僕がJINOさんのセッションに飛び込みで参加することはあったけど、こういう風にカメラが置いてあって、2人でどうぞっていうのは初めてですね。もちろん、レッスンではお世話になっていますけど。

JINO  昔から一緒にやっているから、演奏していて“繋がっている”という気持ちを感じるね。俺だけかもしれないけど(笑)。

新井  僕もそう感じます。今回はベースが2本なので、低音域でリズムが見えにくくなる瞬間があるんですけど、その時にJINOさんが“ここだよ”って示してくれたり。

―  改めてセッションの醍醐味や面白さを言葉にするなら?

新井  僕は今バンドをメインでやっていますけど、バンドで演奏するのと即興でやるのとでは違います。今日だってリハーサルなんて1回もしないまま始めたけど、前にしか進まないし、基本的にめちゃめちゃポジティヴなことが起こっていて、それを一瞬のうちに体感できるのはやっぱりセッションの醍醐味ですよ。セッションはその場でしか起こらないことなので。“今と同じことをもう1回やってよ”と言われても絶対にできない。二度と起きないことが起こるのがセッションですよね。

―  JINOさんは?

JINO  言葉では言えないんじゃないの? 確実に言うのであれば、やっぱり会話ですよね。セッションは会話。“ここに行きたいんだけど、どう思う?”“OK”って。俺が師匠で気を使ってくれているから、EからAに行ったら“OK、Aでいくよ”って付いて来てくれるじゃん。このあと(後編)のセッションではどんな会話になるのか楽しみだね。

 

› インタビュー後編はこちら


Ultra Test Drive Sessions

AMERICAN ULTRA SERIES

フェンダーのUSA製ラインナップの新しいフラッグシップとなるUltraシリーズは、卓越したプレイヤー向けのハイエンドスペックを満載しています。ミディアムジャンボフレットを装備した10〜14インチのコンパウンドラジアス指板をフィーチャーした独自Modern Dシェイプネックは、丁寧なエッジのロールオフ加工が施され、ボディとネックヒール部には新たなコンター加工を採用。まるで体の一部に溶け込むような快適な弾き心地を実現しています。

Jazz Bass®モデルには新ヴォイシングをフィーチャーしたプリアンプ内蔵のUltra Noiseless™ Vintage Jazz Bassピックアップを搭載し、高出力でありながら透明感のある、広いダイナミックレンジを確保したサウンドが得られます。HiMass™ブリッジが豊かなサスティンとタイトなボトムを実現。

AMERICAN ULTRA JAZZ BASS® V(左)

 

AMERICAN ULTRA JAZZ BASS®(右)

 

PROFILE


日野"JINO"賢二
幼少の時、父である日野皓正(トランペッター)とともにNYに移住。9歳よりトランペットを始め、16歳でベースに転向。17歳の時、ジャコ・パストリアスに師事する。19歳よりプレイヤーのみならずミュージックディレクターとしてプロ活動を開始。89年にはアポロシアターのハウスバンドの一員として出演。その後、父の日野皓正や叔父の日野元彦のアルバムに参加、NYブルーノートなどのライブハウスを中心にベーシストとして活動。2003年、アルバム『WONDERLAND』でのデビューを機に本拠地を日本に移して活動。数々のライヴサポート、レコーディングワークと共に、エレクトロニック・ジャズ・カルテット SPIRAL DELUXEでの活動や、ジャズ、ファンク、R&Bをクロスオーバーさせた自身のプロジェクトJINO JAMなど、多岐に渡って世界の音楽シーンで活躍するスーパーベーシスト。
› Website:https://www.jinobass.com


新井和輝 -King Gnu-
東京藝術大学出身で、独自の活動を展開するクリエイターの常田大希が2015年にSrv.Vinciという名前で活動を開始。その後、メンバーチェンジを経て、常田大希(Gt,Vo)、勢喜遊(Dr,Sampler)、新井和輝(Ba)、井口理(Vo,Kb)の4名体制で始動。2017年4月、バンド名を“King Gnu”に改名。2019年、2ndアルバム「Sympa」でメジャーデビュー。2020年1月15日発売の最新アルバム「CEREMONY」はオリコン週間アルバムランキング及びデジタルアルバムランキングの2部門で初登場1位を獲得。とてつもない速度でその人気を拡大している。
› Website:https://kinggnu.jp