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ハマ・オカモト監修のスペシャルなストラップが発売

HAMA_OKAMOTO

OKAMOTO’Sのハマ・オカモト(Ba)が監修を手掛けたストラップが2月26日に発売となった。10年前、ハマがアメリカ・シアトルのExperience Music Project Museum(現:Museum of Pop Culture)で見て衝撃を受けたエルヴィス・コステロのストラップを元に、プレイアビリティを保持しながらヴィンテージデザインを詰め込んだ本製品は、幅や長さ、モノグラム部分など、細部にまでこだわりが凝縮されている。そんな彼に、完成に至るまでのエピソードを聞いた。

今と懐古的な目線を融合させることに
成功したと自負しているので嬉しい
 

―  まずは監修に至るまでの経緯を聞かせてください。

ハマ・オカモト(以下:ハマ)   元を正すとデビュー前の2010年に、SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)を含めたアメリカツアーを回ったんです。その時に、シアトルにある旧EMPミュージアム(Experience Music Project Museum。現Museum of Pop Culture)という大きな音楽歴史博物館に寄ったんです。通称“ジミヘン博物館”と言われていて、定期的に展示内容を変えているのですが、僕らが行った時の展示内容がすごく良くて。50’sから現在までの、いわゆるミュージシャンヒーローたちの実機が飾ってあって、当時は19歳くらいだったので興奮してギャーギャー言いながら見ていたんですけど(笑)、展示の最後のほうのブースにエルヴィス・コステロのギターがあって、そのギターにかかっていたのが今回復刻したミントグリーンのフェンダーモノグラムのストラップだったんです。古いフェンダーモノグラムのストラップを初めて生で見たのですが、モノグラムが斜めではなく横に施されているんだなと。あと、やっぱりこのミントグリーンが強烈で。僕は当時からフェンダーモノグラムの定番色、サンバーストを使っていたのですが、昔のストラップを見て“細かい仕様が違うんだ”という感動がありました。コステロのギターというよりも、フェンダーのストラップをずっと見ていたんです。

―  なるほど。

ハマ   同じストラップはないのかな?と思って帰国後にけっこう調べたら、やっぱりなくて。古いストラップであることと、モノグラムがフラットであることはわかったのですが、昔のストラップに関してはフェンダーと言えども明確な情報が希薄みたいで。ギターに関する図鑑は仕様も含めて山ほど出てくるのですが、オプションパーツ的なアイテムって明確な情報がそんなに残っていなくて…。それから何年か経ち、僕の気持ちが通じたのか(笑)、フェンダーは一度このストラップに近い仕様で復刻しているんですよね。“おぉ!!”と思ったけど限定生産だったようで、時すでに遅しで結局手に入らなかったんです。それがずっと心に残っていて未練があって…。このストラップへの想いは長くて、ちょうど10年。10年前から欲しいと思っていましたから。

―  思いつきではなく長年の夢が実現したと。

ハマ   そうですね。でも、僕のシグネイチャーモデルのHAMA OKAMOTO PRECISION BASS "#4"もそうですけど、自分が欲しいものを作ったところも少しはありますが(笑)。

―  でも実際に、現行のストラップとは違うのですよね?

ハマ   まずは長さが違います。それは復刻とは別でずっと意識していたことですが、僕はわりとベースを構える位置が高めなんですよね。だから、市販されているストラップの最短が、楽器を高い位置で構えるプレイヤーにとってはまったく最短ではなく長い。なので、今のラインよりも短くしたいということを最初にお伝えしました。もちろんギタリストにも使ってほしいと考えると、より長さの選択はあったほうがいいかなと。

―  確かにそうですね。

ハマ   あと、幅も現行のフェンダーストラップよりも5ミリ太いです。ただ、これは僕のリクエストではなくて、現行のストラップはフェンダーのモノグラムが斜めに入っているのですが、今回は復刻ということで、モノグラムのサイズを変えずにフラットに配置するためには幅を広げるしかないと。しかし実際に太くしてみると、幅が広くなった分、ロゴの収まりも良くなって、歴史的にも面白い仕様になったのではないかと思い、そこもまた嬉しくて。

HAMA_OKAMOTO

―  特にハマさんが10年夢見てきたミントグリーンは印象的ですよね。

ハマ   実際には統一感がない色のはずなのに、何かいいですよね。本当に満足しています。定番のカラー(茶色)も欲しかったのですごく嬉しくて。でも、完成するまでにはかなり細かい打ち合わせをスタッフさんと重ねました。

―  カラーもモノグラム部分の風合いも、何だか特別な感じがします。

ハマ   モノグラムの部分は通常、刺繍だそうですが、実は今回はジャガード織り(デザイン自体が生地に織り込まれている織物)なんですよ。しかも、昔のストラップは製造に使用していた機械が古いものなので自然とその風合いが出るのですが、それを実現できる技術になかなか出会えなくて、日本だと兵庫県にある195年もの歴史がある鞄屋さんの1社のみで、そこが今回の生産を請け負ってくれました。ともすれば、それでレギュラーラインに比べて“何かが勝っている”ということではないんです。でも結局、こういうことを大好きなヤツが楽器好きなヤツだと思うんです。だから意味があるというか、面白がってくれる人がいるのではないかなと思っています。やっぱり、自分のシグネイチャーモデルを出した経験が大きくて。自分の中での想像物が、世の中の人にもちゃんと響くんだなって。

―  なるほど。

ハマ   もちろん、そういう背景を何も知らないで、見た目だけで購入してもらっても全然いいんです。でも僕自身、フェンダーの持つ歴史背景が好きでエンドースメントに至った経緯があるので、そういう部分を担えたらいいなという想いもあるんですよね。それをフェンダーのスタッフさんときちんと顔を合わせて話して、チームとして形に落とし込めることがすごくいいなと思っていて。そうやってみんなで時間をかけて完成したことも、みんなに伝わればいいなと思っています。

―  確かに物づくりの面白さ、大切さも伝えていきたいですよね。

ハマ   そうなんですよね。それと、これが“新品”であるということも大事で。僕はヴィンテージのストラップを1本持っているのですが、いつちぎれてもおかしくないような状態で。長さを調節するパーツも、アルミなのでベコベコなんですよね。カッコいいのですが、使い勝手がいいかと言われると悪い。結局は骨董品になっていくのですが、それって本末転倒じゃないですか。楽器をぶら下げるものなのに、ちぎれそうで怖いから家に置いておくなんて。ちゃんと機能するものでないと意味がないので、そこにはこだわっています。今と懐古的な目線を融合させることに成功したと自負しているので、単純に嬉しいですね。

―  どんどん使ってほしいですね。

ハマ   本当にそうですね。そして、もっとストラップにこだわってほしいですね。“おぉ!?”というストラップを持っている人には目を引かれますね。

―  わかります!

ハマ   フェンダーのギターに違うメーカーのストラップを付けているのを見ると、我慢できないんですよ。その人は何も悪くないけど、ピックガードしかり、僕で言うとペグが丸ペグだったり、楽器ってそういうことの総合芸術だと思うんです。楽器を持った時にどうカッコがつくか?と考えている人ってやっぱりカッコいいですし、僕の周りだと長岡亮介さんは普通のストラップなんて1本も持っていないですよ。カッコいいストラップしか持っていない。ああいうのを見ていると、やっぱり大事だなと思いますよね。もしコウキ(Gt)がストラトに訳のわからないストラップをつけていたら殴りますから(笑)。

―  (笑)。でも、そういう部分にセンスが出ますからね。

ハマ   ええ。でも、今までこだわってこなかった人がダメというわけではなくて、この記事を読んで、ストラップにも着眼してほしいですね。ストラップ以外もそうですけど、そういうことって実はすごく大事だと思っているので。

―  この想いとこだわりの製品が、多くの人の手に届くといいですね。

ハマ   はい。実演販売みたいなこともやりたいですね(笑)。あとは僕が監修しましたけど、ベース用ではないのでギタリストにも広まってほしい。長さも短いし色も個性的なので、女性にもいいかもしれない。楽器をより楽しんでもらえるアイテムのひとつになると嬉しいです。


VINTAGE MODIFIED MONOGRAMMED STRAP

VINTAGE MODIFIED MONOGRAMMED STRAP

カラー:BLACK/YELLOW/BROWN、BLACK/ORANGE/GREEN
価格:4,000円(税抜)

 

PROFILE

ハマ・オカモト(OKAMOTOʼS)
中学校からの同級生で結成された4人組ロックバンドOKAMOTO’Sのベーシスト。2010年、日本人男子として最年少でアメリカの音楽フェス「SxSW2010」に出演。アメリカ7都市を廻るツアーや豪州・アジアツアーなど、海外でも活躍。4月15日には初のベストアルバム「10'S BEST」をリリース。フェンダーミュージカルインスツルメンツコーポレーションの日本人ベーシスト初となるエンドーサーでもある。
› Website:http://www.okamotos.net