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やっぱりギターって奥が深いなと思いましたね。“俺、こんなことも知らなかったんだ“って

Voice of Modern Vol.2: Shinji SID(前編)

Voice of Modern

フェンダー『MADE IN JAPAN MODERN SERIES』のユーザーであるSIDのギタリスト、Shinjiにインタビューを敢行。前編では、自粛期間中に熱中していたという曲作りの話から、ギターや音へのこだわり、今後のSIDの活動についてなど、『MADE IN JAPAN MODERN SERIES』の魅力とともにたっぷりと語ってもらった。


見た目もシンプルでいいですよね。幅広い曲に合うし使いやすい
 

―  まずは最近の音楽活動について聞かせてください。コロナによる外出自粛期間中、どう過ごしていましたか?

Shinji  ライブがいくつか延期になってしまったので、家にこもってひたすら曲作りをしていましたね。特に何のためということでもないのですが、ギターを練習するというよりは生み出すほうに注力していました。ただ、やっぱりライブをやっていないと素人に戻っちゃうんですよね。家では弾けていたのに、ステージだと全然弾けないことがけっこうあるし、常に緊張感の中で弾かないと。

―  誰も見ていないところだと練習になってしまうと。

Shinji  そうですね。家で座って弾くのが一番上手いじゃないですか、きっと。それだとダメなんですよね。

―  最後にバンドで集まって音を出したのはいつですか?

Shinji  半年くらい前かな。たしか1月に宮城でやったライブが最後。それ以来、ずっとリモートです。

―  爆音で音を出せずウズウズしているのでは?

Shinji  今の家は防音がしっかりしているので、家でもけっこう音量を出せます。それこそ駆け出しの頃は隣人に怒られたりもしていました。夜中の0時を回って爆音でミックスしていたら“いい加減にしてくれ”って。出来上がったCDと菓子折りを渡して“すみませんでした”って言って引っ越しました(笑)。

―  いい人だなぁ(笑)。

Shinji  その時に作っていたのが「夏恋」という曲で、今でもわりとよくライブで演奏するんですよ。ご迷惑をおかけした代わりに定番曲になったという。

―  隣人の方、我慢してくれて感謝ですね(笑)。ところで、自粛期間中は家で曲作りをしていたということですが、どんな風に作っていたんですか?

Shinji  今までのSIDにはなかったような、いろいろなタイプの曲が作りたくて、サブスクで最近の若いバンドの曲とかを聴いてヒントを得つつ、自分にしかできないアプローチを探る作業を朝から晩までしていました。

―  では、ギターはけっこう触っていた?

Shinji  トイレに行く時以外はずっと持っていましたよ。かならず20時までと時間は決めていましたけど。昔は限りなく朝まで弾いちゃうこともあったけど、そうすると逆に効率が悪くなるので、早い時間に集中してやるようにしていました。

―  そこまでじっくりギターと音楽に向き合って、改めて発見したギターの魅力はありましたか?

 
 

Shinji  やっぱりギターって奥が深いなと思いましたね。未だに曲作りをしていてもコード進行がいつも同じだったりして、幅を広げるためにいろいろな音楽を聴いていると、知らないコードに出会ったりするんです。“俺、こんなことも知らなかったんだ”って。

―  Shinjiさんがギターに一番求めるものは何でしょう?

Shinji  やっぱり弾きやすさが一番。他の方はどうかわからないけど、僕の場合はそこですね。自分が弾きやすい音って、SIDの曲の中では抜けない(こもってしまう)音なんですよ。そこで抜ける音と、自分の弾きやすい音とのちょうどいいバランスを見つける作業が大変で。特にクランチが難しくて、あれはダメだ、これはダメだと長い間戦っています。クリーンとかガンガンに歪んでいる音はわりとすぐにできるんだけど、クランチはなかなか納得いくものができない。ライブでカッコ良く抜ける音にしたくて、常に追究していますね。

―  具体的に理想としている音があるとか?

Shinji  ある日、ラジオで聴いたtricotさんの曲で使われていたクランチの音がめっちゃ良くて。すぐにCDを買って、ローディーに相談しつついろいろと試行錯誤しています。

Voice of Modern

―  その探究心はさすがですね。ところで、SIDとしては現在取り掛かっているプロジェクトはありますか?

Shinji  正直なところ、具体的なものはないんです。配信ライブもやってみたいなとは思うのですが、今まで一度もやったことがないし、お客さんがいない中でのテンション感もわからなくて。本当に一から、素人同然ですよ。それでも、時代についていかないと何もできなくなりますからね。

―  今後は配信ライブが当たり前の時代になるかもしれないし。

Shinji  既存のバンドはいいけど、今からバンドを始める人たちはちょっとかわいそうですよね。きっと大勢の前で演奏したい欲求から始めるわけじゃないですか。僕が音楽を始めたきっかけも、ステージに立ってワーキャー言われたいとか、そういう理由だったし。もしかしたら、これからは今の状況が普通になって目標も変わっていくのかもしれないですけどね。配信で有名になりたいとか。

―  確かに。そういうコロナ世代のミュージシャンがどんな音作りをするのか、どんなパフォーマンスをするのかも気になりますね。

Shinji  今はこの『MADE IN JAPAN MODERN SERIES』のように、昔よりもリーズナブルで良い楽器や機材がたくさんあるので、そこは羨ましいくらいです。僕がギターを始めた頃なんて、ギターだけで30万円超えとか当たり前でしたから。そういう点では、始めやすいのではないでしょうか。

―  学生さんとか、このギターから始めるのもアリですよね。

Shinji  見た目もシンプルでいいですよね。ハードな曲に限らず、幅広い曲に合うし、使いやすいと思いますよ。


› 後編に続く

 

MADE IN JAPAN MODERN STRATOCASTER® HH

MODERNシリーズは演奏の技術レベルが著しく向上している現代のプレーヤーに最高峰のプレイアビリティとトーンを提供するために開発された日本製シリーズ。STRATOCASTER® HHには、チューニングの安定性を提供するロッキングチューナー、ブリッジにはポップイン式の2点支持トレモロを搭載。ピックアップには、ネック/ブリッジポジション共に出力が高く、まとまりのあるトーンを奏でるオルタナティヴミュージックやラウド系ミュージックに適したModern Modified Humbucking Pickupを初搭載。タッチノイズの軽減など、ステージでの演奏を最大限考慮しています。

 

PROFILE


SID
2003年結成。メンバーはマオ(Vo)、Shinji(Gt)、明希(Ba)、ゆうや(Dr)。2008年、シングル「モノクロのキス」でメジャーデビュー。同年11月、日本武道館にて開催されたメジャーデビュー記念ライブでは1万3000人を集めソールドアウト。2013年1月、ベストアルバム『SID 10th Anniversary BEST』をリリース。結成15周年を迎えた2018年、46本にも及ぶライブハウス公演を行い、2019年3月にグランドファイナルとして横浜アリーナ公演を開催。2020年3月、シングル「delete」をリリース。

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