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Why We Play vol.11:トミー・ゲレロ インタビュー【後編】

ストリートスケートのパイオニアとしてリスペクトされているだけではなく、ミュージシャンとしても数々のアルバムをリリースし、世界中でライヴを行ってきたストリートカルチャーのアイコン、トミー・ゲレロ。彼の独特のギターや、DIY精神を体現したライフスタイルは多くのストリートキッズに影響を与えてきた。そんなトミー・ゲレロのギター哲学に迫るインタビュー。その後編。

Why We Play
その瞬間に生まれるものを大事にしている
 

―  アメリカでは楽器を演奏してレコーディングしているアーティストよりも、サンプリングや打ち込みのみでレコーディングしている方が多いと聞いたのですが、楽器を使う演奏と楽器を使わない音楽との間に何か違いがあると思いますか?

トミー・ゲレロ(以下:トミー)    打ち込みやプログラミングでいい音楽ができないわけではないと思うんだけど、僕自身はアナログな人間で、未だに4トラックのカセットテープで曲を録っているので、楽器を使わないのはどうも性に合わないね。あと、楽器を使うと自分と楽器の間にもインターアクションが生まれるし、一緒に楽器を弾いているバンド仲間とのインターアクションも生まれてより親密な関係ができるんだよ。それとギターに関して言えば、元々は生きていた木なわけで、僕はそこに生命の源のようなものが入っているんじゃないかと思っているんだ。とは言え、プログラミングをやる人たちが自分とは違ったアプローチをしているだけで、良いとか悪いとかっていう問題じゃないと思うけどね。

―  なるほど。では、ギターを弾くこととスケートボードをすることと何か共通項ってありますか?

トミー    共通点としては、どちらにもリズムと流れがあるところかな。僕にとっては両方とも平和な気持ちにさせてくれるし、どちらもすごく“無”になれるんだ。頭の内外からの雑音を遮断して、より内省的になれるのが音楽にもスケートにも共通していているところだね。なので、どちらも自分にとってはセラピー効果があるんだよ。

―  ところで今もカリフォルニア州にお住まいでしたっけ?

トミー    イエス!

―  西海岸のスケートカルチャーシーンと、音楽シーンってどんな関係なんですか?

トミー    大前提として、カリフォルニアってものすごく大きい州で、南部と北部で違う州くらいカルチャーが違うんだ。僕はサンフランシスコ出身・在住なんだけど、サンフランシスコはものすごくユニークで、アメリカの他のどの街とも違った感じだよ。ちなみに、ロサンゼルスにはハリウッドでビッグになりたいといった俳優やミュージシャンの卵が大勢いるし、音楽もどちらかというとビジネス的な感じだね。もちろん、ロサンゼルスにもいいアーティストはいるけどね。サンフランシスコはロサンゼルスとは違って、ものすごくいい音楽もたくさんあるけど折衷的なものもたくさんあるし、ビジュアルアーティストもたくさんいて、多くのアーティストがベイエリアに集まっているけど、彼らは決してそれで成功できると思ってそこにいるわけではないね。そこがロサンゼルスとの違いかな。もっとゆるい空気感だよね、サンフランシスコは。

―  そうなんですね。サンフランシスコのアーティストはフェンダーというメーカーに対して、特別なイメージを持っていたりしますか?

トミー    グッドクエスチョンだ! サンフランシスコの音楽シーンにいる人は、ギターと言えばフェンダーを思い浮かべるんじゃないかな? とにかく歴史もあるし、他のメーカーもみんな一所懸命フェンダーのようなギターを作ろうと何十年も頑張っているけど、できないっていうくらいアイコニックなものだからね。僕としては、いいライヴに行くと必ずフェンダーが置いてあるイメージだし、詳しいことは知らないんだけど、フェンダーとウエストコーストには繋がりがあるような感じがするんだ。もう少し具体的に言うと、美学がどこか似ているところがあるなと思う。カリフォルニアのサーフカルチャーの人たちも、フェンダーを取り入れているイメージがあるし、具体的な確証があるわけじゃないけど、ウエストコーストの人にとってフェンダーはアイコニックなイメージなんだと思うよ。でも、どうしてなんだろうね?

―  フェンダーはカルフォルニアが誕生の地なので、その影響かもしれませんね。

トミー    そうか!それだね!!

―  前編で、トミーさんは自分のことをギタリストではないとおっしゃっていましたが、ギターを弾く時に一番大事にしていることは何ですか?

トミー    いろいろ試してみるのも好きだし即興で弾くのも好きだし、その瞬間に生まれるものを大事にしていたら、いつの間にかギターが自分の声になっていたんだ。なので、その瞬間は大事にしているかな。

―  では最後に、このフェンダーサイトを見てくれているギターキッズにメッセージをいただけますか?

トミー    心から演奏しろよ!!

› 前編はこちら

 

トミー・ゲレロが所有する Jazzmaster®

Why We Play

Made In Japan Traditional 60s Jazzmaster®
エイジドプラスチックパーツの採用や、デカールの貼り付けをトップコートの上からの水張りにするなど、細部のディテールにまでこだわり尽くした高品質な日本製ラインナップ「MADE IN JAPAN TRADITIONAL」。ピックアップにはオリジナルのアルニコシングルコイルピックアップを2基搭載。
› Made In Japan Traditional 60s Jazzmaster®製品ページ

PROFILE


トミー・ゲレロ
66年、アメリカ・サンフランシスコ出身。ステイシー・ペラルタ擁するスケートボードチーム「ボーンズブリゲード」に最年少メンバーとして参加。80年代の西海岸スケートシーンを牽引する。90年代前半、旧友らとともに「デラックス」と「リアル・スケートボード」を設立。スケートボード業界で最大規模の会社にまで成長する。ミュージシャンとしては97年に1stアルバム「Loose Grooves & Bastard Blues」をリリース。シンプルな打ち込みにギター/ベースを乗せたインストゥルメンタル作品で、ファンク/ソウル/ジャズ/ロックを柔軟にクロスオーバーさせた自由な作風でミュージシャンとしての地位を確立。
› Website:http://www.tommyguerrero.com/