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Why We Play vol.17:クラウド・ルー【前編】

音楽と人、そして楽器。さまざまな表現手段の中から、なぜギターを選んだのか? そんな素朴な疑問にフォーカスを当て、プレイヤーの内面に深く迫る連載企画「Why We Play」。今回は、台南出身の人気シンガーソングライターであるクラウド・ルー(盧廣仲)が登場。前編では、ギターとの出会いなどを聞いた。

Why We Play
家にいる時もギターがそばにあります。
どの場所に行っても置いてある感じです。
  ―  まずは、ギターを始めたきっかけから教えてください。

クラウド・ルー(以下:ルー) 高校の時、いとこがギターで遊んでいて、1本ギターをもらったのがギターを始めたきっかけです。それはアコースティックギターだったのですが、当時はそこまでのめり込まなかったんです。最初にアコギを触った時は、興味がないというよりも“あっ、この音はすごく不思議で、和音を奏でられたらすごく素敵だな”と思っていました。ただ、16歳から大学受験がけっこうなプレッシャーだったので、なかなかギターに触る機会がなかったのですが、18歳、大学1年の時に交通事故に遭って骨折して入院を余儀なくされて。入院中にギターを弾き始めたのが、本格的にギターを弾き始めたきっかけです。ひとつのチャンスという想いもあって、またアコギを弾き始めたんですね。

―  なるほど。でもなぜギターだったんですか? 入院中なら読書とか他のこともあったと思いますが。

ルー 入院するとやることがなくて、つまらない時間ばかりが過ぎていったんですけど、あまり本を読むのが好きじゃないので。そう言えば家にギターがあったなと思って、家の人にギターを持ってきてもらって、病院でギターを楽しんでいました。

―  どのような練習をしていたんですか?

ルー 最初は適当に弾いていました。ただ、ラッキーなことに小さい時にピアノを習わせてもらっていたので、ある程度の音はわかったんです。最初は自分の耳を使って“この音はここかな?”みたいな感じで弾いていたんですけど、退院後はいろいろなYouTubeを見てテクニックを盗んだので、ある意味でギターの先生はYouTubeと言っても過言ではないくらいYouTubeに頼っていました。

―  どんな人の動画を見ていたんですか?

ルー ブライアン・セッツァー、タック・アンドレス、ジョー・パスやB.B.キング、ジャズやそれ以外も様々なジャンルを学びました。

―  本当にYouTubeで習得したんですね。

ルー ええ。本当に誰からも教わっていないんです。色々な教材を参考にして、例えばライヴの映像を見て一時停止ボタンを押して、“ここのコードはこう押さえるんだ”って拡大して、どうやって押さえればいいのかを見て習得しました。なかなか楽譜が手に入らないので、ひたすら一時停止と確認を繰り返して、コードの押さえ方からソロの弾き方まで真似していきましたね。

―  すごい! 地味な作業を続けていったんですね。

ルー どうしても弾きたいと思うから、1コマずつ見ていくしかなくて。科学の進歩によって、1コマずつ見られるのを感謝するしかないです(笑)。

―  確かにそうですね。なぜケガが治ったあともギターを続けたのでしょう? ギターの何がそんなに魅力的だったのですか?

ルー 確かにそう言われてみればそうなんですけど、よくよく考えてみたらギター以上に面白いものをその時は何も感じられなかったんです。ギターだけが面白くてひたすら練習していたら、ラッキーなことにシンガーソングライターとして契約したいと声をかけられて、それで歌手になったのもただただ運命。ラッキーとしか言いようがないのかもしれません。

―  初めて人前でギターを披露した時のことを覚えていますか?

ルー 大学の時に初めて人前で披露しました。それは大学の時に一緒に住んでいたルームメイトの前で、その2人の前だったのでまったく緊張はしなかったです。すごく小さな発表会という感じで、自分が練習したものを披露しました。

―  もっとたくさんの人前で演奏したのは?

ルー 大学1年生の時にギタークラブに入っていて、50〜60人の前でお披露目したんですけど、それは人数が多すぎてすごく緊張しました。本当にギターの後ろに隠れたいと思うくらい緊張したので、その時からかもしれないですけど、ギターがある意味で自分の盾になってくれると思うようになりました。

―  ギターがないと今でも緊張してしまう?

ルー とても(笑)。すごく緊張しますが、ギターがあれば大丈夫です。

―  ちなみに作曲もギターでするんですか?

ルー ほとんどの曲をギターで作曲しています。そう考えると、ライヴも作曲もギターなしでは考えられないです。

―  ちなみに休みの日は何を?

ルー 最近は家にいます。それこそ、アルバムをどういうふうにみんなに見せればいいのか、聴かせればいいのかを考えています。家でひたすら静かに座禅しているような気持ちです。

―  家でもギターはよく弾くんですか?

ルー はい。弾きます。家にいる時のギターは、自分にとっては洋服とかスリッパのような感覚で、どの場所に行っても必ずギターが目に入るようにしています。ベッドにいても勉強机にいても、テレビの前であっても、必ずギターがさまざまなところに置いてあるんです。

―  家でもずっとギターを弾いているんですね?

ルー そうですね。今まで適当にギターを触っていただけなのに、“これ曲にできるかも”とか“新しい曲はこれがいいかも”とメロディが浮かんでくるので、やっぱりずっと触っていますね。

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AMERICAN ACOUSTASONIC™ TELECASTER®

Why We Play

American Acoustasonic™ Telecaster®は常に進化を続けるフェンダーの精神を体現した楽器です。Fishman®と共同開発した強力なサウンドプロセッサーを内蔵し、スタジオワーク/ライブパフォーマンスの両方において、幅広いアコースティックギターのトーンとエレクトリックギターのトーンを融合した、全く新しいユニークな表現を実現。数あるカラーの中から、ルーはSurf Greenを使用。

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PROFILE


クラウド・ルー
1985年生まれ。台湾のシンガーソングライター。2005年、大学1年の時に交通事故に遭い、入院中に独学でギターを始める。翌年、音楽コンテストで優勝を果たし、審査員として参加していた現事務所TEAM EAR MUSICの社長の目にとまり、2006年10月、1stシングル「淵明」をリリース。2012年には台北・香港・東京の3都市を巡るツアー「ASIA MUSIC CONNECTION」を開催。2016年11月、日本での初ワンマンライブ「クラウド・ルー JAPAN TOUR」を東京・大阪にて開催。2019年12月、ワールドツアーの一環として「Crowd Lu 2019 World Tour Tokyo」を渋谷TSUTAYA O-EASTで開催。
› Website:http://www.crowdlujapan.com