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Why We Play vol.9:SCOOBIE DO ナガイケジョー インタビュー【前編】

“Funk-a-lismo!(ファンカリズモ)”を合言葉に、日本のファンクシーンを牽引する実力派バンドSCOOBIE DO。そんなSCOOBIE DOのグルーヴの要であるベーシストのナガイケジョーに、ベース哲学・魂を聞いた。

Why We Play
フェンダーベースを使っていると 音楽の歴史の流れの中にいる心地良さがある
 

―  ベースを始めたきっかけから教えてください。

ナガイケジョー(以下:ナガイケ)   高校に入って、バンドをやりたいなと思っていて、仲間内で“お前楽器何やる?”ってなった時に、ベースがいなかったのでベースをやろうかなって。ベースプレイヤーにありがちな理由です(笑)。

―  (笑)。でも、ベースという楽器に興味があったわけですよね?

ナガイケ   そうですね。当時は、ベースってバンドの中でどんな役割なのかよくわからなかったんですけど、いるからには必要なんだろうなって(笑)。それはギターみたいな華やかさじゃない何かで、黒幕的なイメージが当時からあった気がします。“ベース=バンドサウンド”を支えている、そんなイメージでした

―  憧れていたベーシストはいましたか?

ナガイケ   中学の時はJ-POPを聴いていたんですけど、高1の夏に1回目のFUJI ROCK FESTIVALがあって、それを映像で観て、レッド・ホット・チリ・ペッパーズやレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンの存在を知ってしまい、"世の中にはこんなカッコいい音楽があるんだなぁ"とロックに目覚めました。その後にTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTでガツンとヤラレて、ガレージロックにハマってしまったんです。それでウエノコウジさんやBLANKEY JET CITYの照井利幸さんに憧れました。

―  1回目のFUJI ROCK FESTIVALは97年ですので、97年を境にロックンロールに傾倒して、バンドも始めて、すぐにベースを買ったんですか?

ナガイケ   そうですね。最初は安いベースを買ったんですが、1年ぐらい経った高2の時にフェンダーの62年モデルのJazz Bassを買いました。

―  なぜフェンダーを?

ナガイケ   "ベースならやっぱりフェンダーだろうな"と思っていましたので。というのも、ウエノさんも照井さんもフェンダーのベースを弾いていたので、フェンダーを選べば間違いないんだろうなって。実際、フェンダーで間違いなかったです。それ以来、ずっとフェンダーですからね。

―  ナガイケさん=フェンダーのイメージですが、トレードマークな楽器がある人って限られていると思うのですが、いろいろな楽器がある中でフェンダーを使っている理由は?

ナガイケ   自分の好きな音楽って、だいたいがフェンダーのベースで演奏されているんですよ。100%ではないけど、ソウル、ファンク、ロックンロールもだいたいフェンダーのジャズベやプレベなんですよね。なので、フェンダーのベースの形が自分にとってのベースのあり方っていう気持ちがずっとあるんです。そしてフェンダーベースを使っていると、音楽の歴史の流れの中に自分もいる心地良さがあります。もちろん、フェンダーのベースの音自体も好きです。


慌てて買いに行ったのが74年製の"あの"ジャズベ
 

―  ナガイケさんと言えば74年製のジャズベですが、出会いは?

ナガイケ   SCOOBIE DOに加入するタイミングで購入しました。加入は僕がまだ大学生の時だったのですが、当時のSCOOBIE DOはインディーシーンで結構話題になっていて、下北沢シェルターくらいなら満員にしていたし、CDもインディーズで何枚か出していたんです。僕も好きでライヴを観に行っていた側だったんです。ところが、大学で入ったサークルでドラムのMOBYさん(オカモト "MOBY" タクヤ)と知り合って、その後のタイミングでベースの人が辞めるということで僕に声が掛かったんですけど、よっぽど友達がいないのかなと思いましたね(笑)。

―  (笑)。

ナガイケ   実は高3ぐらいの時に1回ベースを辞めようとした時期があったんです。ギターを弾いて歌おうかなと思って、最初の62年モデルのジャズベを手放しちゃったんです。で、SCOOBIE DOのベースに誘われて、1回スタジオ入ってみようかってなった時に"やばい!"と思って。大学に入ってからは人から借りているベースをずっと弾いていたんですけど、さすがにこれからSCOOBIE DOのリハに行くのに借り物のベースはマズいなぁって。しかも借りていたベースが弾きやすくなくて、慌てて買いに行って出会ったのが74年製の"あの"ジャズベです。なので正直言うと、何となく買ったんです。予算的にもちょうど良かったし、ウエノさんも似たような色のプレベを使っていたのもあって。何か全部ウエノさん基準なんですけどね(笑)。あと一緒に買いに行ってくれた友達が、"このベース絶対にカッコいいぞ"ってやたらと推してくれたので(笑)。

―  74年製を狙って買ったわけではないんですね(笑)。

ナガイケ   そうですね。とりあえずスタジオに入るまでに買っておかないとマズイんじゃないかっていうような焦燥感に駆られて、お正月の三が日くらいに買いました。でもそれ以来、メインはほぼこれ1本です。

―  そんな中、最近は70年代の復刻版であるAmerican Originalも使っていただいているということで、同じ70年代ですが弾いてみていかがですか?

ナガイケ   American Originalを弾いてみて感じたのは、やっぱり音って変わるんだなぁってことですね。メインの74年のジャズベも、買った頃は今みたいなロー感もなくて"若い感じ"の音だったんですけど、使っていくうちにどんどんと重心が低くなっていったんです。今の段階だと、American Originalの音はすごく元気が良くて、ヴィンテージよりももっと押し出しが強いですね。なので、そういうベースが必要な曲のレコーディングでAmerican Originalを使って、育てていくのが楽しみですね。

―  American Originalは当時のものと比べて、指板が少しフラットになっていて、弦高を下げても音が詰まらない仕様にする改良はしていますが、それ以外はほぼ同じスペックなのでいい子に育つと思います。

ナガイケ   70年代のジャズベって、60年代のものよりも色気が強くて、高音のツヤ感がすごいんですよ。というのも、70年代というのはダンスミュージックでスラップをし始めてきた時代なので、そういう曲で弾くととりわけ気持ちいいんです。だからちょっと派手にスラップしたい曲で、このAmerican Originalも使っていこうと思います。

―  70年代を踏襲しながらも現代を取り入れているAmerican Originalは、SCOOBIE DOの音楽スタイルとも重なるのでとても相性がいいと思います。

ナガイケ   そうだと思います。確かに僕も今の若い世代の音楽に触れることを意識的にしていますからね。今までやってこなかったことばかりを取り入れるのがいいとは思わないですけど、僕も古い時代を生きている人間じゃなくて今を生きている人間なので、今のいろんな音楽に触れている中で"これはやりたいな"と思うことが出てくるんです。残っている古い音楽はもちろん素晴らしいけど、"これでいいや"と思わないことは大切です。完成型を決めずに、常にチャレンジし続けることが大事だと思いますね。

› 後編に続く

 
Why We Play

ナガイケジョーが所有するフェンダーコレクション

American Original ‘70S Jazz Bass®
ナガイケの新しい相棒となるか!?スラップを多用する曲を中心に使用し、これから育てていきたいとの弁。
› American Original ‘70S Jazz Bass®製品ページ

Jazz Bass®(74年製)
SCOOBIE DOに加入する際に購入したメインベース。ライヴ、レコーディングをほぼこの1本でこなす長年の相棒。

Precision Bass®(73年製)
サンバースト。フラワーカンパニーズのグレートマエカワ氏の影響で購入したもの。ファンク色の濃い曲のレコーディング等で使用。


SCOOBIE DO
95年結成。メンバーは、コヤマシュウ(Vo)、マツキタイジロウ(Gt)、ナガイケジョー(Ba)、オカモト “MOBY” タクヤ(Dr)。ROCKとFUNKの最高沸点“Funk-a-lismo!”を貫くサムライ4人衆。“LIVE CHAMP”の名に恥じぬその圧倒的なライヴパフォーマンスと、完全自主運営なインディペンデント精神があらゆる音楽ファンに熱烈な支持を受けている。
› http://www.scoobie-do.com