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THE ORAL CIGARETTES「唇ワンマンツアー UNOFFICIAL DINING TOUR 2017」追加公演レポート

6月16日(金)、日本武道館にて行われた「唇ワンマンツアー UNOFFICIAL DINING TOUR 2017」追加公演の模様をレポート。

the oral chigarettes

Photo by 鈴木公平

山中拓也(Vo, G)、鈴木重伸(G)、あきらかにあきら(B)、中西雅哉(Dr)の4人からなるTHE ORAL CIGARETTESは奈良県出身のロック・バンドだ。2010年に結成後、インディーズの活動を経て、14年7月に1stシングル「起死回生STORY」でメジャーデビュー。以来、精力的なライヴ活動を続けながら、今や群雄割拠と言える日本のロック・シーンでめきめきと頭角を現してきたが、この1~2年、加速度的に増してきた活動の勢いが、ついにこの日、ロックの聖地で結実することとなった。

今回の武道館公演は今年2月にリリースした3rdアルバム『UNOFFICIAL』をひっさげ、全国を回った「UNOFFICIAL DINING TOUR」のファイナル公演となるわけだが、結成からここまでの道のりは決して順調なものではなかった。それは、この日、“キラーチューン祭り”と題した中盤のコーナーで、「Mr.ファントム」「起死回生STORY」「エイミー」「狂乱Hey Kids!!」といった代表曲の数々を立て続けに演奏した際、山中が言った「2015年は歌うのもイヤになった。目の前にいるあなたたちが光だった。あきらめなくてホント、よかった」という言葉からもうかがえた。2015年は山中が声帯ポリープの摘出手術を受けるため、ライブ活動を一時休止した年だ。その他にもいろいろ悔しい思いをしてきたと思うが、そんな苦境をバネに彼らがそれらキラーチューンの数々を作り上げてきたところが頼もしい。

演奏はヒット・シングルになった「5150」でスタート。いきなり火薬がバーンと炸裂。「みんなの声を聴かせて!」という山中の呼びかけに応え、火柱が上がる中、「オ~オ~」という観客のシンガロングが武道館に響き渡った。

1曲目からクライマックスなんじゃないかと思える盛り上がりを作り出したバンドは、そこから『UNOFFICIAL』の曲を中心に新旧の曲を織り交ぜながら、2時間以上にわたってアンコールの2曲を含めた全21曲を披露。J-ロックの流れを汲みながら、ダンス・ロックやラウド・ロックの要素が曲ごとに絶妙にバランスを変えながら交錯するオーラル・サウンドの魅力をこれでもかとアピールした。

山中は今回のツアーから、それまで使っていたFender American Deluxe Telecasterに代え、Fender Classic Player Jazzmaster Specialを導入。通常のJazzmasterと違って、中低音がパワフルに出るピックアップを搭載しているそのJazzmaster Specialの特長は、歌謡ディスコ・ナンバーの「気づけよBaby」や、ファンキーな味わいもある「リコリス」で、山中がリズムを強調しながらジャキジャキと奏でたプレイに生かされていた。太い音色でリズムを刻むサイド・ギターと鈴木が奏でる艶っぽいリード・ギターのコンビネーションは、THE ORAL CIGAREETESのアンサンブルの聴きどころの一つだが、「リコリス」ではそこに中西の手数の多いドラムと、あきらがバキバキと鳴らしたスラップが加わって、本当のクライマックスに向けて、演奏を一気に白熱させた。

パイロ、レーザービーム、スモークといった演出が映えるのは、やはり大きな会場ならでは。左右に伸びた花道も使って、エネルギッシュに動き回りながら訴えかけるバンドに応え、武道館を埋め尽くした1万2千人のファンが一糸乱れぬ動きでジャンプ、シンガロング、ハンドクラップ、ヘッドバンギングする光景はまさに壮観の一言だった。曲の浸透度の高さもさることながら、その特大の一体感からは、バンドに対するファンの想いの強さが窺えた。改めてバンドの歩みに思いを馳せれば、今回の武道館公演は、バンドを支持し続けてきたファンにとっても“念願の”という意味合いが強かったのかもしれない。

「武道館に思い入れはなかったけど、(自分たちを)応援してくれる人で埋まっている武道館には思い入れがある」と本編を締めくくる「LOVE」を演奏する前に感謝の気持ちを込めて言った山中の言葉は、そんな光景を目の当たりにしたからこそだろう。

そして、アンコールでは「トナリアウ」と「ONE’S AGAIN」という武道館公演の2日前にリリースしたシングルの2曲を、それぞれ「これからのオーラルを示す曲」「覚悟の歌」と紹介しながら披露したうえで、来年2月15日に「唇ワンマンライブ 2018 WINTER」と題して、大阪城ホール公演を行うことを発表。今回の武道館公演が彼らにとって、通過点に過ぎないことをダメ押しでアピールした。

「時代を変えていくからついてこいや!」(山中)

そう言ってステージを下りたTHE ORAL CIGAREETESがこれからどんな活躍を見せてくれるのか、この日、武道館公演を見た誰もが大いに期待しているはずだ。

› Classic Player Jazzmaster Special 製品ページ


the oral chigarettes

Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)

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Photo by 鈴木公平

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Photo by 鈴木公平

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Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)


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