#FenderNews / ポルカドットスティングレイ 2018 TOUR 全知全能レポート

ポルカドットスティングレイ 2018 TOUR 全知全能レポート

4人組ロックバンド、ポルカドットスティングレイのツアー「ポルカドットスティングレイ 2018 TOUR 全知全能」の追加公演が、4月7日(土)Zepp DiverCity TOKYOにて行われた。

ポルカドットスティングレイ

ツアー全公演のチケットが即日完売しただけあって、この日もフロアはすし詰め状態。メンバーの登場を今か今かと待っていると、まずは「テレキャスター・ストライプ」から本編はスタートした。フェンダーのAmerican Elite Telecasetr Thinlineを抱えた雫(Vo&Gt.)が“ポルカドットスティングレイです。お願いします。!”と短く挨拶し、間髪入れずにイントロが鳴り響く。オーディエンスの熱気はすでにフルスロットル状態で、4つ打ちのキックに合わせて拳を振り上げながら、床が揺れるほどジャンプしている。

ポルカドットスティングレイと言えば曲ごとに、否、セクションごとに様々なキャラクターへと変化して行く雫の歌声と、“カウンターメロディー”どころかメインヴォーカルと同等に張り合うほど主張しまくるエジマハルシ(Gt.)のギタープレイが大きな特徴だ。この日も、小柄で華奢な見た目からは想像もつかないほどパワフルな雫のヴォーカルと、まるでシンセのシーケンスフレーズのように速いパッセージを繰り出すエジマのギターフレーズが、時に絡み合い、時に引き合いながら楽曲のスケールを大きく広げていく。

そんな、中音域を強調した抜けの良いエジマのギターに対し、雫のギターはジャリッとした高域の歪みによって、バンド全体の音像を薄くコーティングしているようだ。対照的に、「BLUE」や「夜明けのオレンジ」などで使用していたMade in Japan Traditional 70s Telecaster Thinlineは低音にガッツがあり、楽曲に重厚な響きを加えていた。さらに、コシのある太いベースサウンドを奏でるウエムラユウキ(Ba.)、タイトでキレのあるグルーヴのミツヤスカズマ(Dr.)が、楽曲の躍動感をよりドラマティックに盛り上げてゆく。

バンドのテーマソングとも言える「ポルカドット・スティングレイ」では、各メンバーが次々とソロを披露しその高い演奏能力を見せつける。かと思えば続く「ミドリ」では、雫が独特の節回しやドスの効いた低音ヴォイスによって、抑揚のあるメロディーにさまざまな表情を加えていく。哀愁漂うロカビリーナンバー「人魚」や、ジャジーな「極楽灯」といった中盤のチャレンジングな楽曲ですら、まったくひるむことなく歌いこなしていく雫に客席からはため息が漏れた。

トリッキーなギターと哀愁漂うメロディーが印象的な「顔も覚えてない」では、戦隊ヒーロー風の姿をしたその名も“SAY YESマン”が登場。イラストの描かれたフリップを頭上高く掲げ、この歌詞で描かれている雫の友人によるトホホな“ワンナイトラブ”を紙芝居風に紹介。笑いに包まれたフロアは一体感が増し、SAY YESマンの合図によりシンガロングが響き渡った。

ウエムラのスラップ奏法が映えまくる、高速ハードコアチューンの「シンクロニシカ」に続き、5月9日リリース予定のミニアルバム『一大事』に収録された「少女のつづき」が、ライブ初披露されると客席はさらにヒートアップ。「レム」そして「エレクトリック・パブリック」と畳み掛けるように演奏し、本編は終了した。

アンコールでも、やはりミニアルバム『一大事』から表題曲の「ICHIDAIJI」、さらには「半泣き黒猫団のテーマ」を披露。「半泣き黒猫団のテーマ」では“SAY YESマン”が再登場し、黒猫の仕草をモチーフにした振り付けが、その場でオーディエンスにレクチャーされる。少々複雑な振り付けに最初は戸惑っていた彼らだが、本番ではバッチリと決めてメンバーたちを驚かせる。“曲も知らんのにびっくりやな!”と雫が叫ぶと、会場は再び大きな笑いに包まれた。

ツアーのラストは『全知全能』の収録曲「ショートショート」。この日一番大きなシンガロングが巻き起こり、熱狂の中ですべての公演は終了した。超絶テクニックによる鉄壁のアンサンブル、カリスマティックなヴォーカルによって観客を魅了しながらも、どこか庶民的な親しみやすさを備え持ったポルカドットスティングレイ。その元気一杯のパフォーマンスに、“音楽の楽しさ”を改めて思い起こさせられた一夜だった。


ポルカドットスティングレイ
ポルカドットスティングレイ
ポルカドットスティングレイ

› ポルカドットスティングレイ:polkadotstingray-official.jimdo.com/