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TUBE「TUBE LIVE AROUND 2017 迷所求跡ツアー ~My Home Town~」レポート

2017年7月22日(土)、東京国際フォーラム ホールAにて開催された「TUBE LIVE AROUND 2017 迷所求跡ツアー ~My Home Town~」ファイナル公演初日の模様をレポート。

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TUBEが7月22日(土)と23日(日)、東京国際フォーラムにて全国ツアー「TUBE LIVE AROUND 2017 迷所求跡ツアー ~My Home Town~」のファイナル公演を行った。同ツアーはメンバーの希望により、「行ったことのない場所や、しばらく訪れていない場所」を中心に、全国の“迷所(名所)&求跡(旧跡)”を巡流というもの。長崎県壱岐島や青森県六ケ所村など、人口1万~3万人の土地を含む全29公演が開催された。

客電が落ち、幻想的なSEが流れる中メンバーが次々とステージに登場。サポートメンバーの宮崎裕介(キーボード)を加えた5人編成で、まずは1曲目「ひまわり」のイントロを奏でると、1階席はもちろん2階席までほぼ総立ちに。ゆっくりと滑走していくような松本玲二のドラムと、シンプルかつ堅実な角野秀行のベースラインに乗り、ビーチ・ボーイズ風の清涼なコーラスが響き渡る。赤いジャケットを羽織った前田亘輝は、まずは喉を慣らすように抑制の効いた歌声で、会場の温度を徐々に上げていく。春畑道哉は、自身のシグネチャーモデルである青い「Michiya Haruhata Stratocaster III, Team Built」を抱えて、軽やかにリズムを刻んでいた。

間髪入れずに「Beach Time」へ。Bメロではオーディエンスがハンドクラップ&ジャンプでフロアを揺らし、あっという間に一体となる。前田も助走から一気に飛躍し、持ち前の伸びやかな歌声を披露。負けじと春畑も、芯の太いロングトーンギターで応戦する。すらりとした体をくねらせながらステージ狭しと動き回り、半音進行を用いたスリリングなソロを奏でると、客席からは黄色い歓声が上がった。

「ようこそ2年振りの国際フォーラムへ! 梅雨が明けて、俺たちの季節がやってきました」と前田が挨拶すると、会場からは大きな拍手が巻き起こった。子供から年配の方まで、男女ともに幅広いファンが集う様子を見ると、“結成30年越え”という彼らのキャリアに、改めて思いを馳せずにはいられない。場内に熱気が立ち込め、歓声が飛び交う中、今年6月にリリースされたばかりのミニアルバム『sunny day』収録の、「愛はメリーゴーランド」が披露された。AORを思わせるような、メロウで洗練されたコード進行のAメロから一転、サビでは躍動感あふれるサンバのリズムに乗って、哀愁のメロディが歌われる。前田がステージから大きく手をかざすと、客席では一斉にウェーブが巻き起こった。一方春畑は、チョーキングやアーム奏法を巧みに織り交ぜながらスリリングなギターソロを繰り出す。高域のヌケが抜群で、ヴォーカルやホーンサウンドなど周波数帯域の近い音色の中にあっても、フレーズの輪郭が浮かび上が ってくるようだ。

中盤では前田と春畑がアコースティックギターを、角野がアコースティックベースを持ち、『sunny day』から「f」をリアレンジして演奏した。friend、family、foreverの“f”をタイトルに冠し、“君は僕の永遠の友達”という意味を込めたこの曲は、10代でバンドを結成し共に歩んできたファンとの絆を象徴している。「まだ夢とは何か、希望とは何かも分からず過ごしていた子供の頃を、メンバー4人で懐かしみながら作りました」と前田は振り返った。

続く「湘南My Love」は、ツアー先の会場で“ご当地My Love”として替え歌バージョンで届けてきた曲。この日は東京会場ということで、「東京My Love」に。 “花やしき”や“もんじゃ”“葛飾”といった下町ワードを前田が歌うたび、会場からはドッと笑いが起きていた。

「野球と息子」をテーマに、およそ29年ぶりに春畑が作詞を手掛けた「スタートライン」は、80年代っぽいキラキラのシンセと、キラキラのギター・アルペジオが掛け合いでアンサンブルを構築していく懐かしくも美しいナンバー。ここでも春畑は、ロングトーンを生かしたキレッキレのソロを炸裂。歌心たっぷりの伸びやかなフレーズは、まるで前田とデュエットしているかのようだ。以前のインタビューで春畑は、「ギターは自分にとって、声の代わり」と話し、実際に自身のソロライヴでは、まるでボーカルのようにギターで“歌って”いたのが印象的だった。それが今、こうしてTUBEというホームグランドでは、前田のヴォーカルに引けを取らない“声”となり、ともに楽曲を引っ張っている。TUBEのサウンドにとって、春畑のギターがいかに欠かせない存在であるか、改めて思い知らされる瞬間だった。続いて「虹になりたい」(2000年)、「十年先のラブストーリー」(1991年)、そして「灯台」(2015年)と、彼らの代表的なバラードを年代別に3曲演奏。中でもヘンリー・マンシーニの「ム ーン・リヴァー」を彷彿とさせる、ドリーミーな「灯台」が白眉。春畑の、コンポーザーとしての多才さをも知らしめる名曲だ。

ラストスパートは、レーサーとしても活動している松本が作詞作曲を手掛けた「VICTORY」からスタート。この曲は、今回のセットリストの中でもとりわけヘヴ ィなサウンドで、赤と金色をモチーフにしたゴージャスな照明が眩しい。「オー! オ ー!」とシンガロングするパートでは再び会場が一つに。

最後は「シーズン・イン・ザ・サン」「夏を待ちきれなくて」と代表曲を畳み掛け、ラスト曲「My sunny day」でゴスペル調のコーラスを、全員で合唱して本編は終了。アンコールでは、“今回のツアーで新しいことに挑戦したい”というメンバーの発案から生まれた〈ストンプ〉を披露し大いに盛り上がる。そのまま「We are free」「あ ー夏休み」「きっと どこかで」を演奏して幕を閉じた。

前田の圧倒的な歌唱力と、春畑を中心とする卓越したソングライティング、30年という年月に裏打ちされた演奏能力など、音楽的な側面はもちろんありながら、気さくで飾らないメンバー4人による、ユーモアたっぷりのトークなども非常に魅力的で、エンターテイメントとしてのレベルの高さを思い知らされる一夜だった。


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SET LIST

ひまわり
Beach Time
愛はメリーゴーランド
夏だね
ガラスのメモリーズ
f
湘南My Love(東京編)
Shiny morning
スタートライン
虹になりたい
十年先のラブストーリー
灯台
VICTORY
シーズン・イン・ザ・サン
夏を待ちきれなくて
My sunny day

アンコール
〈ストンプ〉
We are free
あー夏休み
きっと どこかで

 

› TUBE Official WebSite:https://www.tube-net.com/
› 春畑道哉 Official WebSite:https://www.sonymusic.co.jp/artist/MichiyaHaruhata/
› 春畑道哉 最新ソロアルバム『Play the Life」特設サイト:https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/TUBE/haruhata_playthelife/