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[ALEXANDROS] at GRAMERCY THEATRE

2018年10月23日(火)ニューヨーク GRAMERCY THEATREで行われた、[ALEXANDROS]初のニューヨーク講演の模様をレポート。

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2014年にユニバーサルミュージックとのグローバル契約を果たし、国内外での注目が高まる[ALEXANDROS]。昨年からのブルックリンでの生活を通し、ニューヨーク・レコーディングを行ったアルバム「Sleepless in Brooklyn」を11/21に発売した。アメリカ初公演を敢行し、ニューヨーク公演では、待ちに待ったファンの思いを全身に受け、メンバーの有り余るほどのエネルギーをステージに全力でぶつけるかのような、エネルギッシュなライブを見せてくれることとなった。

会場はオープンから80年を越える歴史あるライブハウス、グラマシー・シアター。その名の通りかつての映画館/劇場であったことから、2階席にはその名残りの座席群が鎮座する。これまでに数々の名ライブが行われてきた伝統あるハコだが、インディロック的な荒削り感もまた残した絶妙な雰囲気がウリだ。[ALEXANDROS]の名がエントランスのビルボードに刻まれ、全米ロックシーンの仲間入りを果たす扉がいよいよ開かれた。

その勇姿をひと目見ようと開始を前に音楽ファンによる長い行列が店前に伸びる。開場後、ハコを埋めたのは現地ニューヨークのクラウドだけでなく、日本から満を持してこのライブに参戦したと思われる熱きファンの姿も。会場の熱気が最高潮に達したところでメンバーがステージに現れる。川上洋平(Vo.&Gt.)は「ニューヨークシティーッ!」とシャウトし、オーディエンスを沸かす。「MILK」の力強いリフでボルテージを上げ、疾走感溢れる曲「Claw」でライブが始まる。メンバー全員がエネルギッシュに楽器をかきならし、溢れんばかりのパワーがひとつの方向へ向けられる。続くのは、彼らの存在感を大きく世に知らしめた数ある代表曲のひとつ、「Waitress, Waitress!」。ドラマチックなメロディーに英語詞がテンポよく乗るが、ライブではそのパワフルさがとくに際立ち、会場全体の熱気が底上げされるよう。そしてすぐさま次の「Dracula La」をプレイ。観客からは川上の歌声にあわせ自然と声が上がる。

ここで、MCでひと息。全米初公演となるこのライブへの思いを英語でダイレクトに伝えた川上に応え、あたたかく迎えるオーディエンス。続いてバンド改名の節目となった曲「Adventure」をプレイ。ミディアムテンポの軽やかなメロディーに観客は身体を揺らし、マジカルな音の世界に会場じゅうを酔わせる。そして、「ワタリドリ」では、のびのよい歌声が会場に響き渡り、シンガロングが自然と起こる。間髪入れずに「Run Away」へ。高音をも自在に乗る操るボーカル、リフが生きたギター、高鳴る鼓動のような音を刻むベース、ワクワク感を高揚させるようなリズミカルなドラム。これらの息がピタリと合い、躍動的な曲となる。

「涙がこぼれそう」の曲前MCでは、今は涙が出るくらい嬉しいという気持ちを英語で表現する川上。そこで「I’ll cry with you!(私も一緒に泣いちゃうわ!)」と観客から声が上がる。そして、心を揺さぶるストレートなロックナンバー「涙がこぼれそう」を堂々と歌い上げた。磯部寛之(Ba.&Cho.)が「ブルックリンの友人にやっとミュージシャンだってことを、やっと今日ここで証明できてうれしいよ」と、渡米までの一波乱を笑い飛ばすようなジョークに会場に笑いが起こる。磯部に酒が足りているか、との川上のひと言に、磯部がビールを取りに一瞬離れた際も、彼らに大きな影響を与えたオアシスの「Champagne Supernova」をさらりと演奏し、客をひとときたりと飽きさせない。全員揃ったところで呼吸を合わせ「ハナウタ」をスタート。最果タヒによる詩が生きたドラマチックな曲はライブでもカラフルな世界観を我々に魅せてくれた。

続くはロケットスタートで始まった「Stimulator」。白井眞輝(Gt.)のギターがこれでもかと鋭く唸り、川上の高音ボーカルとともに目盛りが振り切れそうなハイパーなテンションに。同じくハードロックな「Cat 2」を続けざまにプレイ。メタル曲のようなラウドな間奏ではフロアにヘドバンの波が起こる。熱くなったエンジンの高速回転が止まらないかのように「I Don’t Believe In You」へと続く。痛烈なロックに脳天が刺激されるよう。重厚なサウンドにシャープな歌が乗るヒットチューン「Girl A」に続いて「Mosquito Bite」。白井はレコーディングでも使用したAmerican Original 60s Stratocasterをかき鳴らす。シングルコイルならではの攻撃的ながら重厚なサウンドでオーディエンのテンションは最高潮に。最後の庄村聡泰(Dr.)の見せ場となるドラムソロでは、川上は庄村に向かってメロイックサイン。全13曲を終え、その歓声を背にステージを去った。

予想通りに巻き起こった会場からの大きなアンコールに応え、再び姿を見せた4人。「あともう6ヵ月ここにいて!」という声も起こる中、当時まだMVリリース前であった新曲「アルペジオ」を力一杯にプレイ。ここでも耳に残るメロディラインをシンガロングする観客とともに会場の空気はひとつになった。事実上、最後の曲となった「Kick&Spin」では、心を鷲掴みにするメロディーをパワフルな演奏でその実力をみせつけた。終盤にはテンションの上がった川上がステージを降り、客席へダイブ。セキュリティーに助けられ、ステージに戻るも、曲が終わったところで、もう一度ダイブ!川上はもみくちゃになりながらライブが終了。スタジアム公演も実現させてきた彼らの生音を間近で聴けたオーディエンスは、興奮冷めやらぬ中、会場前のストリートで高揚した思いを語り合う人で溢れるかえることとなった。

英語、日本語、ミックスであろうがそれを巧みにメロディーにのせ、スピード感溢れるラウドロックから、情感いっぱいに歌われるミディアムテンポまで、あらゆる曲を[ALEXANDROS]節となる。この日はその全開のエネルギーを解き放つような演奏で、一夜限りの特別なライブを仕上げた4人。そして、次の全米ツアーのスケジュールが発表される日を心待ちにするファンを一層増やしたことを、ニューヨークの地でまざまざと見せつけてくれた。


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