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J「LIVE TOUR 2019 -THE BEGINNING-」レポート

Jが、4年ぶりのニューアルバム「Limitless」を携えて全国ツアーを敢行。8月11日(日)マイナビBLITZ赤坂にて行われたファイナル公演の模様をレポート。

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「新しいスタートになるツアーだと思いながら、(それを)確信しながら全国を回ってきました! ツアーを通して、大切なものを何か刻みつけることができました!」

ツアーファイナルとなったこの日、アンコールに応えたJは、そんなふうに全国各地を回った今回の「J LIVE TOUR 2019 -THE BEGINNING-」について振り返った。新しいスタートになると確信したのは、難産の末、7月24日にリリースした11thアルバム「Limitless」が、Jの言葉を借りるなら、前作からの4年の間に、節目を迎えてもなおドキドキしながらロックンロールできるんだろうか?と自らに問いかけた上で、新たな気づきや誓いといったいろいろな思いを詰めこんだ作品だったからに他ならない。そして、その「Limitless」を完成させる前にJazz Bassのイメージが強かったJが、“音が嫌いだった”とまで言っていたPrecision Bassとともにベーシストとして新たな表現を追求し始めたことも大きかった。それも含め新たなスタートだったのだろう。

この日、JがJ Bandのメンバーであるmasasucks(Gt)、ゴッチンこと溝口和紀(Gt)、有松益男(Dr)とともに演奏したのは、その「Limitless」からの8曲を中心にロックンロールからバラードまで、新旧の代表曲を散りばめた全16曲。そして、Jはこの日、新たにフェンダーとエンドースメント契約を結んだ彼のために、FENDER CUSTOM SHOPのマスタービルダーであるグレッグ・フェスラーが製作した’57 Precision Bass® Relic Reverse Head Black Goldをメインに、計3本のカスタムショップ製Precision Bassをプレイしたのだった。

Precision Bassをメインに音作りをしていったという「Limitless」の曲がライヴの核になっているのだから、当然と言えば当然だろう。ライヴ全体を通して、Precision Bassらしい図太い音を鳴らしながら、3本を使い分け、絶妙に音色に差をつけるJのプレイに耳を傾けながら、音作りやプレイ次第で、低音が唸るファットな音色から、ヌケの良いソリッドな音色、そして自然な歪みを帯びた音色まで、こんなにもいろいろな表現ができるのかと、改めてPrecision Bassが持つポテンシャルを実感することができた。

「at Midnight」「Fly Again」といった歌を聴かせるミッドテンポの曲に顕著だったように、他の2本ではタイトな音作りで粒立ちの良さをアピールしていたように感じられたが、1曲目の「Now And Forever」から大きなストロークによる弦の揺れまでも感じ取れる程、Black Goldから発せられる音の表現力には驚かされ、主に演奏の破壊力や疾走感を担っていた印象だ。中でも “東京! ファイナル! 飛ばしていくぞ!”と叫んだJが重低音でリフを鳴らして、“やっちまえ!”と煽った途端、スタンディングのフロアにモッシュとダイヴが起こった「PYROMANIA」。そこから、“各地すげえライヴをしてきて、その熱を運んできました! 一番熱い夜にしようぜ!”とつなげ、エッジの効いた音色でリズムを刻んだ「Go Charge」という序盤の2曲が観客の気持ちに火をつけるという意味で、ライヴに果たした役割は大きい。

また、「Can’t Get Enough」「break」、“お前らの胸の炎を俺に見せてくれ!”というJの呼びかけに観客がシンガロングとダイヴで応えた本編最後の「Feel Your Blaze」、そして大団円を駆け抜けるように飾った「BURN OUT」といったロックンロールナンバーでも、JはBlack Goldの図太い音色で、芯のある低音でリズムを刻んだ。バンドの演奏に疾走感という命を吹き込みながら、決して軽量級にならないのは、Black Goldがズーンと腹に響く鳴りを持っているからだ。

そのBlack Gold。テクニックに裏打ちされたプレイにも挑む一方で、8ビートをシンプルに刻むことにも歓びを見出す男気も合わせ持つJというベーシストにとって、今後、最強の武器になっていきそうだ。


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(Photo by Yoshifumi Shimizu)


セットリスト
1.Now And Forever
2.PYROMANIA
3.Go Charge
4.the Beginning
5.Don’t Let Me Down
6.Fever
7.at Midnight
8.Can’t Get Enough
9.Fly Again
10.RECKLESS
11.break
12.BUT YOU SAID I'M USELESS
13.NOWHERE
14.Feel Your Blaze

ENCORE
1.Love Song
2.BURN OUT


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