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LUNATIC FEST.2018 レポート DAY1

6月23日、24日の2日間に渡り開催された「LUNATIC FEST.2018」をレポート。ここでは1日目に出演した女王蜂、シド、back numberの3バンドのライヴの模様をお届けする。

Lunatic Fes

「LUNATIC FEST.」は2015年、LUNA SEAの結成25周年を記念して開催された自身初の主宰フェスである。シーンの最前線で活躍するあらゆるジャンルのアーティストが一堂に会す本イベントは、さながら音楽の“異種格闘技”であり、LUNA SEAというバンドの壮大な物語が生んだ一大イベントと言える。

フロアには“MOON”と“MOTHER”の2つのステージがセットされ、LUNA SEAのメンバーが認める“最狂”のアーティストたちが次々と登場。2つのステージを交互に使用し、セッティングなどは片方のライヴ中に行われるため、短いサウンドチェックで準備ができ、息をつく間もなくアーティストが登場してくるという、オーディエンスの興奮をシームレスに次のアーティストへとバトンを渡すようなセットになっている。

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まずレポートをお届けするのは女王蜂。彼らがメジャーデビューした2011年、誰よりも早く目にかけてイベントに呼んでくれたのがJ(Ba)であり、氣志團主催の対戦型フェス「THE GREAT ROCK'N'ROLL SEKIGAHARA 2017」では1日限りのスペシャルバンド“J王蜂”を結成するなど、絶対的な信頼関係を育んできた。そんなJが用意してくれた大舞台とあって、ファンキーなナンバー「金星」からフルスロットルで会場を揺らす。フロアから観ていてもビシバシと伝わるアヴちゃん(Vo)の妖艶な佇まいに見とれていると、野性的でありながらしなやかさを兼ね備えた歌声に一気に引き込まれる。そんな唯一無二の歌声を支えるのは、抜群のグルーヴを生み出す楽器隊だ。ひばりくん(Gt)は突き抜けるようなクリーントーンのカッティングから、心地良いミッド感を持つクランチサウンドまで、シングルコイルの“旨味”を十二分に活かしたトーンでアンサンブルに躍動感を注入。多幸感溢れるイントロで幕を開ける「売春」では、キュートな女性らしい歌声と図太い男性の歌声を1人で歌い分けてみせる。

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「スペシャルゲストをお呼びしています」というアヴちゃんの呼び込みで登場したのは J 。スペシャルバンド“ J 王蜂”の予期せぬ復活に、会場からは大きな歓声が湧き上がる。「デスコ」はジュリ扇が舞うライヴでのキラーチューンだが、 J が入ることで凶暴性はより加速。 J も「もっと声出せるか!?」と煽り、熱気の上昇線を描いていく。その後も、ロックとヒップホップを融合させながら、ダンスミュージックのエッセンスを散りばめた「HALF」、インモラルな事象を轟音と圧倒的なボーカルで嘲笑する「告げ口」と、鼓膜をジャックするような幻惑的な楽曲で観客を魅了した。

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イベント中盤に登場したのはback number。冒頭で“音楽の異種格闘技”と話したが、エモ/スクリーモ系から普遍的なメロディーを紡ぐback numberまで、つくづく「LUNATIC FEST.2018」の懐の広さに感嘆せずにはいられない。日本屈指のメロディーメイカー清水依与吏(Vo,Gt)が愛用するのがフェンダーのTelecasterだ。「青い春」で聴かせた繊細なアルペジオから、これぞTelecasterと言わんばかりの「MOTTO」でのクランチサウンドまで、オケに自然に馴染みながら確かな存在感を見せる。歌を大事にする彼が、なぜTelecasterを愛用するのかわかった気がした。小島和也(Ba,Cho)が使用するのも同じくフェンダーのJazz Bass。楽曲の世界観を第一に考えたフレージングはアンサンブルをしっかりと支え、まるで楽曲全体を優しく包み込むようだ。

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流麗なストリングスとピアノで冬の神秘的な情景を描いてみせた「クリスマスソング」。歌い出す前に何気なく弾いた、牧歌的なフレーズにハッとさせられた「瞬き」。ファルセットを多用しながら、飛び跳ねるような軽快なサビで会場をひとつにまとめ上げた「SISTER」。楽曲ごとに放つプリズムな光彩は、聴く者の心にさまざまな景色を投影させる。甘酸っぱい気持ちになったり、懐かしい気持ちになったり、センチメンタルな感情を想起させる楽曲群に誰もが酔いしれているようだった。MCでは「LUNATIC FEST.2018に呼んでいただいて光栄でしたし嬉しかった」と感謝の気持ちを述べ、「高嶺の花子さん」でライヴを締め括る。この日はあいにくの雨模様だったが、夏の景色を運んでくれる爽快なナンバーで会場を鮮やかに色付けた。

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盛大な手拍子に迎えられて登場したのがSIDだ。メランコリックなアコースティックの音色とマオ(Vo)の歌で幕を開けた「青」では、Shinji(Gt)はフェンダーのAmerican Elite Stratocaster® HSS Shawbuckerを使用。「SID TOUR 2017『NOMAD』」から導入された本機は、シングルコイルからハムバッカーまで多彩な音色を出力することができるフレキシブルなモデルだ。さらにアルペジオではフロントポジション、鋭く切り裂くようなギターソロではリアポジションと、状況に応じて手元で音色を切り替えるShinjiにとってはもはや手放せない相棒。1曲の中で音像がめまぐるしく変化するSIDのサウンドにおいて、高いポテンシャルを持つAmerican Elite Stratocaster® HSS Shawbuckerはベストチョイスと言えるだろう。

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「リスペクトと感謝を込めて」という言葉から紡がれたのはLUNA SEA「I for You」のカヴァーだ。真っ直ぐでありながら艶やかさも孕んだマオの歌声が響き、ギターソロに入ると何とLUNA SEAのRYUICHI(Vo)が飛び入り参加。「SID結成15周年おめでとう!」と祝福し、マオとともに贅沢なツインヴォーカルを披露してくれた。その後のMCで「飛び入りが決まった時から今日までずっと緊張していました(笑)」と無邪気な笑顔で話したマオだが、ファンにとっては忘れられないライヴとなったことだろう。

「ひと足早い夏をSIDと」という言葉から始まった「夏恋」ではオーディエンスによるジャンプで会場を揺らし、アームで感情の起伏をダイナミックに表現する「one way」でフロアは確かな一体感に包まれる。ラストを飾ったナンバーは、ワーミーを駆使した妖艶なリフが映える重厚感たっぷりの「眩暈」。ステージには火柱が上がり、明希(Ba)とゆうや(Dr)の強靭なグルーヴによって否応無しに鼓動は高鳴る。15年というキャリアに裏打ちされた卓越したパフォーマンスに、終演後、オーディエンスもなかなか興奮状態から覚めないようだった。

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世代もジャンルもクロスオーバーさせることで、カオティックな空気感が生まれていた「LUNATIC FEST.2018」初日。2日目はどのような名アクトが飛び出すのだろうか。2日目の模様は後日レポートする。

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