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Fender presents “Meet the Legend” レポート

今もっとも勢いのある若手バンドの筆頭、CHAIとポルカドットスティングレイに加え、世界的ギタリストであるCharも参戦した「Fender presents “Meet the Legend”」が9月23日(月・祝)恵比寿ザ・ガーデンホールにて開催。その模様をレポートする。

Meet the Legend

9月23日(月・祝)に恵比寿ザ・ガーデンホールを会場に、フェンダープレゼンツによるイベント「Meet the Legend」が行なわれた。これは、フェンダーを愛用するレジェンドギタリストのCharと注目の若手バンド、CHAI、ポルカドットスティングレイがライヴを行い、セッションも繰り広げるという豪華なイベント。さらにトークセッションも聞けるとあって、この奇跡のコラボレーションを観るため、多くのファンで会場は埋め尽くされ、開演前から熱気に包まれていた。このインタビューに先駆けて行なわれた対談で、Charは“俺から何かを得たと思ってほしいし、俺も何かを得られたら最高”と語ってくれたが、今日のステージを観た結論から言えば、それぞれに何かを得た刺激的な一夜だったに違いない。


ポルカドットスティングレイ

Meet the Legend

オープニングSEが流れると会場から自然と手拍子が始まり、ハンドマイクでポルカドットスティングレイの雫(Vo. & Gt.)がステージに登場すると大きな歓声が上がった。このイベントのトップを飾ったのは、まだ結成4年目ながらすでに日本武道館公演をソールドアウトさせる人気と実力を兼ね備えた福岡出身の4人組ロックバンド、ポルカドットスティングレイ。

1曲目はヒップホップ調の「ばけものだらけの街」。続いて「ミドリ」からは雫がギターを手にする。Surf Greenカラーが目に留まるTraditional 70s Telecaster Thinlineだ。ギターのハルシはHybrid Telecaster Deluxe、ベースのユウキはAmerican Original Jazz Bassをこの日の為に使い、フェンダーらしいパワフルで歯切れの良いサウンドでファンの心を鷲掴み。「BLUE」ではテクニカルなギターソロやファンキーなカッティングで会場を盛り上げていく。

「リスミー」では雫が大人の雰囲気を醸し出しつつ、ハルシが難易度の高いフレーズをいとも簡単に弾き倒した。ダンサブルかつ熱量の高いナンバー「ヒミツ」、ポップでハイテンションな「有頂天」でガッチリと観客の心を掴むと、ラスト「ICHIDAIJI」の途中で雫が、“かかってこいよCharさん!”とレジェンドを呼び込む。Charが新たなシグネイチャーモデルChar Mustangを抱えてステージに登場した瞬間、会場のテンションもボルテージも一気にヒートアップ。ハルシとのギターバトルも飛び出し、ギターの音でChar流のメッセージをハルシに伝えていた。

ライヴ後にトークセッションが行われ、Charはポルカドットスティングレイの実力を認めつつ“まだ負けるわけにはいかない”と話し、会場の笑いを誘っていた。さらに、雫が使用するギターと同じモデルが当たる抽選もあり、まさに夢のようなイベントだ。

Meet the Legend

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CHAI

Meet the Legend

続いて登場したのは、“NEOかわいい”を掲げて活動する4人組バンドのCHAI。80年代テイストも感じさせるサウンドは、日本のみならず海外でも評価が高く、海外ツアーも多く経験している。ピンクのかわいいステージ衣装に身を包んで登場したが、オープニングの「CHOOSE GO!」から完成度の高い演奏とステージングでリスナーの心を掴んでいく。続くミドルナンバー「ボーイズ・セコ・メン」では、American Professional Stratocaster Olympic Whiteを手にしたカナ(Vo,Gt)が刻む歪んだトーンが心地良く響き、マナ(Vo,Kb)が時々入れるシンセサイザーのウェーヴ系のサウンドが響く。マナ&カナの双子ヴォーカルも息がぴったりで、次第にCHAIの世界観に引き込まれていく。ユウキ(Ba)が弾くAmerican Professional Precision Bass 3-Color Sunburstのサウンドが印象的な「ファッショニスタ」を挟み、まさに“ネオかわいい”を全身で感じられる自己紹介コーナー。ドライヴしたベースの音が心地良く、元気いっぱいの「We Are CHAI」でそのかわいさに完全にノックアウトされた。

会場の心をがっちり掴んだ後半は、代表曲のひとつ「N.E.O.」でバンドのグルーヴの高さを魅せつけつつ、異国情緒が感じられる「カーリー・アドベンチャー」では聴かせる演奏で、若手ながら楽曲の幅広さに驚かされる。彼女たちの楽しそうな演奏につられ、会場にもハッピーな空気が充満。ギターのカッティングと“こーい、こーい、こいこいこい”のフレーズが印象的な「ぎゃらんぶー」、2台のキーボードが織り成す分厚いサウンドが耳に残る「フューチャー」でCHAIワールドの完成と思ったが、最後に新たなメンバーを加えてラストナンバー「sayonara complex」を披露してくれた。

マナが“CHAIの新メンバーです”と呼び込み、“CHAIのCharです”とかわいらしく登場したChar。曲の個性をより生かすカッティングで、バンドサウンドに厚みを加えていく。若い頃からセッションギタリストとしても活躍していたCharの妙技を垣間見た気がした。さすがレジェンド。きっちり耳に残るメロディーを、ギターソロでかわいく弾く茶目っ気も忘れない。

続いて行われたトークセッションでは、Charからは“誰からも好かれようとするな”というCHAIが持っている音楽性を突き進んで欲しい思いから熱いアドバイスも飛び出した。 来場者へユウキが使用しているPrecision Bassと、Charの新しいシグネイチャーモデルChar Mustangが当たる抽選が行われ当選者発表で会場は大いに盛り上がった。

Meet the Legend


Char

Meet the Legend

この日のトリを飾るのは、もちろんChar率いるトリオバンド。脇を固めるのは、澤田浩史(Ba)と古田たかし(Dr)という鉄壁の布陣だ。3ピースながら最初の「Pain」から、どのバンドよりも圧倒的に音がデカく迫力がある。俄然その迫力や演奏に圧倒され、会場からは歓声が上がる。バンドから生まれる激しいグルーヴ感には、体が勝手に反応してしまう。ライヴでは初使用となるChar Mustangから放たれるトーンも野太く、荒々しいロックな音。まさに“暴れ馬”と呼ぶに相応しいサウンド。この日Charが使用していたアンプBassbreaker 30Rとの相性も最高だ。

Charのステージは、CHAIとポルカドットスティングレイにライヴバンドのスリリングな面白さを音で伝えているようでもあった。「You Keep snowin'」でのギターの音作り、Johnny, Louis & Char時代の名曲「WASTED」では、ギターのカッコ良さがシンプルに伝わってくる。ギターを弾くことに夢中になり、いつかフェンダーを手にしたいと感じたギターキッズ時代の憧憬を、思い起こさせてくれるような演奏だ。

さらに会場に来たファンを喜ばせてくれたのが、めったに演奏しないという忌野清志郎との共作から生まれた「かくれんぼ」。Charの長い長い経験が、この曲に凝縮されていたようにも感じられた。

続く「Future Child」では、クランチ気味のトーンで、アームダウンをはじめ細かなギターテクニックが詰め込まれたソロを聴かせてくれた。ギターのトーンに表情を持たせる演奏法を、若手のギタリストに伝授しているようでもあった。その繊細な音に、ファンも聴き入っているのがわかる。「Pink Cloud」では手拍子が自然と沸き起こり、ギターのインストでも言葉と同じように充分に表現できることを魅せつけた。ラストの「Drive Me Nuts」ではベースソロも飛び出しギターとのバトルも。会場はこの日一番の一体感で包み込まれ、まさに大人の貫禄をたっぷりと感じさせてくれるライヴだった。


Special Session

勢いそのままにアンコールではCharバンドに加え、ポルカドットスティングレイからギターのハルシとベースのウエムラが加わり、CHAIからはマナ&カナがコーラスでステージに登場。曲はこのスペシャルライヴを締めくくるにふさわしい「Smoky」だ。あのリフが鳴った瞬間、会場が最高潮に達した。ギターバトルにベースバトルと、普段は見ることができない奇跡のセッションが繰り広げられた。最初のセッションでは遠慮がちに弾いていたハルシも、アンコールではCharに負けじと個性を出したフレーズで応戦。ベースのかけ合いは澤田がボトムの効いたタイトなプレイをみせ、呼応するようにウエムラが凄まじいスラップ奏法を繰り出して大きな歓声が上がっていた。年齢や経験に関係なく、音で自由に語り合う姿は、まさに「Meet the Legend」の真骨頂と言えるだろう。

ステージ袖に戻る際、ハルシの健闘を讃えたCharがハルシに近寄り、一緒に拳を突き上げてステージを降りていったのが、このイベントの成功を物語っていた。フェンダーでつながったレジェンドと若手の絆は、また新たな音楽シーンを生む原動力になっていくはずだ。

Meet the Legend

Meet the Legend


セットリスト
■ ポルカドットスティングレイ
01.ばけものだらけの街
02.ミドリ
03.BLUE
04.リスミー
05.ヒミツ
06.有頂天
07.ICHIDAIJI

› ポルカドットスティングレイ: https://www.polkadot-stingray.jp
福岡出身の4人組ギターロックバンド。2015年活動開始。 活動歴が他アーティストと比較しても短い中でそれを感じさせないバンドアンサンブルと教祖的存在感で、 早耳のリスナー、メディアの投稿から引火し現在までバズりあげる。 TOURのチケットは即完売し、活動・結成4年にして初の日本武道館公演は即完。 10月16日に3作目のミニアルバム「ハイパークラクション」、12月11日に1st Live DVD & Blu-ray 「ポルカドットスティングレイ2019有頂天ツアーファイナル ポルフェス45#かかってこいよ武道館」をリリース予定。


■ CHAI
01.CHOOSE GO!
02.ボーイズ・セコ・メン
03.ファッショニスタ
04.自己紹介
05.N.E.O.
06.カーリー・アドベンチャー
07.ぎゃらんぶー
08.フューチャー
09.sayonara complex

› CHAI: https://chai-band.com
ミラクル双子のマナ・カナに、ユウキとユナの男前な最強のリズム隊で編成された4人組、『NEO - ニュー・エキサイト・オンナバンド』、それがCHAI。 2017年1stアルバム「PINK」が各チャートを席捲、音楽業界を超え様々な著名人からも絶賛を受ける。2018年には日本テレビ系「バズリズム02」の「コレはバズるぞ2018」1 位、第10回CD ショップ大賞2018 入賞など、各所より高い評価を得る。 3rd EP「わがまマニア」はApple Music/ iTunesオルタナティブランキング1位を獲得。 海外の活動も活発で、4度のアメリカツアーと、2度の全英ツアー、アメリカ、ヨーロッパ各国のフェスへの出演、中国・香港・台湾・韓国などアジアツアーも果たす。 2019年2月13日にはタイアップ曲など話題曲満載のセカンドアルバム「PUNK」をリリースし、アメリカ、UK/ヨーロッパ、日本を回る初のワールドツアーを大成功に収める。2019年10月に東名阪Zepp公演、11月には台北公演が決定している。


■ Charバンド
01.Pain
02.You Keep snowin'
03.WASTED
04.かくれんぼ
05.Future Child
06.Pink Cloud
07.Drive Me Nuts

【ENCORE】
01.Smoky  

› Char: https://www.zicca.net
本名・竹中尚人(たけなか ひさと)。10代からバックギタリストのキャリアを重ね、76年にシングル「Navy Blue」でデビュー。ソロと平行してJohnny, Louis & Char、Phychedelix、BAHOなどのバンド活動も積極的に行い、2009年にインディペンデントレーベル「ZICCA RECORDS」を設立し、2017年にWebメディアOfficial ”Fun”club「ZICCA ICCA」を開設。ギターマガジン主催の「ニッポンの偉大なギタリスト100」でグランプリに選出されるなど、日本を代表するプレイヤーのひとり。2019年9月にフェンダーから新しいシグネイチャーモデル CHAR MUSTANG®を発売。ZICCAでは限定モデルも6色展開中。11月~12月にかけてChar Tour 2019全7公演を開催予定。