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ANOTHER MYSELF VOL.3:PassCode 南菜生

ANOTHER MYSELF

“ANOTHER MYSELF=もう1人の自分”。俳優、モデル、タレント、アイドル、作家、芸人など、さまざまな芸術活動を行う傍ら、音楽やギターに熱い想いを持つアーティストをフィーチャーする新企画。第3回目は、4人組アイドル“PassCode”から南菜生が登場。


ギターは魔法の杖
上手く弾けなくても、この杖があれば
何かできそうなワクワク感が起こる

PassCode。その名前を最初に聞いたのはラウドロック界隈からだ。実際にPassCodeは『SUMMER SONIC』に出演したり、ラウド系のバンドと対バンをしたりと、ラウドロック畑で頭角を現してきた。そのPassCodeのライヴでオーディエンスを煽り、ライヴを一層ロックなものにしているのが南菜生だ。そんな彼女の音楽ルーツは、やはりとでも言うべきか、バンドとギターにあった。

南がギターを始めたきっかけは、高校の時に軽音楽部に入部したことだった。ただ、入部も含めて本人の意志ではなかったようだ。

「音楽は好きだったんですけど、軽音楽部に入ったのはひょんなことからだったんです。入部して“楽器何やる?”って聞かれたので“そりゃあ、ギターでしょ!”みたいなノリでギターにしました。当時は音楽の世界で生きていくなんて思ってもみなかったし、気まぐれというか“ギターを弾けたら楽しいだろうなぁ”という感じでしたね」

軽音楽部で最初に加入したバンドは、地元・大阪のバンドKANA-BOONなどをコピーしていたそうだ。

「私が通っていた高校は大阪の堺にあったのですが、KANA-BOONがちょうどメジャーデビューするタイミングで、KANA-BOONをコピーするバンドが周りに多かったんです。KANA-BOONのコピーをしていた音楽スタジオの隣で、KANA-BOONが練習していたこともありましたね」

楽しそうな軽音楽部ライフに聞こえるが、ちょっとした出来事が起きた。南が通っている学校はかなり厳しい学校で、軽音楽部に所属した場合、ライヴハウスでの演奏を禁止するというルールができたのだ。つまり、軽音楽部に残りたければライヴハウスでの演奏を諦めないといけない。ライヴハウスで演奏したければ、軽音楽部を辞めないといけない。南は何の迷いもなく軽音楽部を辞めた。

「一度、ライヴハウスのステージに立ってしまうと、あの興奮は他では味わえないです。それに、学校の教室よりライヴハウスのほうが大きな音を出せますから。あと、私は観客としてもライヴハウスに通っていました。ライヴハウスに行くと自由になれたんです。普段は多数意見に従わないといけないけど、ライヴハウスなら自分の好きなように叫べたし動くことができた。ライヴハウスに行けないなら、軽音楽部にいる意味すらなかったので」

ANOTHER MYSELF

安っぽい言葉になるが、南にはロックスピリットが溢れている。その後、2つ目のバンドを組むがそのバンドは解散。南自身もギターで食べていくのは難しいと思っていたのと、その時にPassCodeのメンバーに誘われて、アイドルとしての道を歩み始めた。

「最初に誘われた時は断ったんです。私にはアイドルのマインドがないので。でも、PassCodeにメンバーの脱退があって存続の危機になったんです。そのタイミングで私のいたバンドも解散してしまって…。一生懸命やっているアイドルがいなくなってしまうのは寂しいなぁと思って、PassCodeを立て直すまでと思って加入しました」

そのPassCode、冒頭で書いた通りラウド系バンドとの対バンを行いロック畑で名を挙げてきた。実際、PassCodeにはデスボイスでシャウトするメンバーもいるし、バックバンドも従えていていわゆる典型的なアイドルとは違う。

「よく“アイドルなの?”って聞かれるけど、それは観る人にお任せしています。アイドルとして呼んでいただいてもいいですし、“ウチはアイドルは出さないけど君たちならOK”と言われればそこにも行きます。好きに見てもらえばいいなって今は思えるようになりました」

ただ、バンド出身なだけに、最初は踊ることに対してコンプレックスを感じていたそうだ。今は違う。そこに強みを感じている。

「バンドと違うのは、むしろ踊りがあること。踊りがあることで目で見て楽しんでもらえるんです。正直、最初は踊ることがコンプレックスでした。でも、言いたいことは言いますし、やりたいようにやっています。バンドに負けないライヴをやっていると思っています」

ギターを経験した上での歌、ダンス。フォーマットは違くともパフォーマンスにかける思いは共通している。

「主軸がPassCodeなので、上手くいかない時は落ち込むこともあります。率直な感想をいただいてヘコむこともありますが、それはとてもありがたいと思っています。」

そんな時、気分転換になるのがギターだそうだ。

「今は家にアコギが1本あるんです。悩み続けるのはよくないので、落ち込んだ時はポロリポロリとアコギを弾いています。ギターを弾くことが切り替えになるんです」

PassCodeは現在ツアー中。多忙なスケジュールの合間での取材だったが、ギターを弾いていると南の表情が明るくなった。改めて、南にとってギターとはどんな存在なのだろうか?

「魔法の杖ですね。もし使えなくても、上手く弾けなくても、この魔法の杖があれば何かできそうなワクワク感が起こる。そんな魔法の杖です」

最後に“南菜生にとってPassCodeとは?”と聞いてみた。

「自分そのもの過ぎてわからないです」

そう答える声はハッキリとしていた。自信と誇りを抱いたPassCodeの快進撃は、まだまだ止まらないはずだ。


PassCode
2014年結成。大阪発ラウドロック・アイドルユニット。バンドサウンドをベースに、ラウドロック、プログレに至るまで、様々なジャンルの融合体である変幻自在の楽曲群を擁し、メンバーのシャウト・スクリームも特徴。ジェットコースターライヴと評される開演~本編終了までノンストップで展開されるライヴパフォーマンスはバンドセットでの生演奏を従えたラウドロック特有の音圧を持ち合わせる。SUMME SONIC、ジャイガ OSAKA GIGANTIC ROCK FES、百万石音楽祭~ミリオンロックフェスティバル~など、数々の大型フェスに出演し、ロックファンからアイドルファンまで幅広い支持を得ている。
https://passcode-official.com


2019年4月3日最新アルバム「CLARITY」発売。
9月25日5thシングル「ATLAS」発売。
全国15公演の「CLARITY Plus Tour 19-20」ファイナルが2020年1月12日、13日 新木場STUDIO COASTで予定されている。