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ANOTHER MYSELF VOL.4:降幡 愛

ANOTHER MYSELF

“ANOTHER MYSELF=もう1人の自分”。俳優、モデル、タレント、アイドル、作家、芸人など、さまざまな芸術活動を行う傍ら、音楽やギターに熱い想いを持つアーティストをフィーチャーする新企画。第4回目は、声優・アーティストの降幡 愛が登場。


小柄なので小さなギターが欲しかったんです。あと、フォルムで選んだのがMustangでした

TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の黒澤ルビィ役で本格声優デビューを果たした降幡 愛。アニメファンならその声を知らない人はいないはずだ。声は知っているが、果たしてどんな人物なのか。緊張しつつ対面したが、とても気さくな人で、そして雄弁だ。

まずは、声優業について話を聞いた。声優になろうと思ったのは、もともとアニメが好きで、いち視聴者としてアニメを楽しんでいたのがそもそものベースにあったという。しかし、観ているうちに好きな声優さんが違う役の声もやっていることを知り、それだけではなく机や椅子、果物…人間以外にも声優が声を当てていることも知り衝撃を受ける。

「人前に立つ役者さんとはまた違った魅力的な職業だなと中学時代に思ってから、真っ直ぐに声優さんになろうと決意しました」

高校卒業後に声優の専門学校に2年間通い、現在所属する事務所のオーディションを受けて合格。その1年後には『ラブライブ!サンシャイン!!』のオーディションに合格しているので、声優としてはスター街道爆進中だ。

そんな降幡のアナザーフェイスが、ミュージシャンとしての活動。2015年より9人組女性スクールアイドルグループAqoursで音楽活動をスタート。ただしAqoursでは、作品で演じている役として歌っている。

「私が歌っているという感覚よりも、その子がステージに立って踊っている感覚ですよね。声優を目指す時、表に出る声優像じゃなくて、マイクの前でコツコツと職人のようにやっていく声優像を描いていたので、180度違う、ステージに立って歌って踊るという苦手分野から先に入っちゃった感じで(笑)。いざやってみると楽しくてやり甲斐もあるのですが、最初は戸惑いましたね(笑)」と、音楽活動を始めた頃の気持ちをユーモアたっぷりに打ち明けてくれた。

ちなみに、Aqours初のライヴは横浜アリーナ。降幡自身はお客さんとしても横浜アリーナに行ったことがなかったそうで、人生初のライヴが横浜アリーナ。しかもワンマンライヴ。相当のプレッシャーだったそうだが、“すごく気持ちいいんだな、ライヴって”とステージ上で感じていたそうだ。

ANOTHER MYSELF

それから音楽という表現にどんどんはまっていった降幡。ついに2020年秋、本人名義でソロアーティストデビューを果たした。サウンドは、降幡自身が大好きな80’sポップスをオマージュ。

「ダサいもカッコいいぜ!という感じのサウンドで、普通のアーティストさんには逆にこのサウンドってできないと思うんです。声優アーティストとしての自分だからこそ、これだけ振り切れたのも強みだと思っています」

12月23日に発売される2ndミニアルバム『メイクアップ』ではデビューミニアルバムに引き続き、歌だけにとどまらず作詞も手掛けている。そんな降幡が次にトライしているのがギター。2年ほど前から友人のすすめでギターを弾き始めた。最初の1本に選んだのが、フェンダーのMustangだった。

「小柄なので小さなギターが欲しかったんです。あと、かわいらしいフォルムで選んだのがMustangでした」

ギターを購入してさっそく弾き始めたが、最初は苦戦したようだ。

「独学でC、Dコードくらいまでは弾けたのですが、みんなFコードでつまずくと言っている意味がわかったというか(笑)。学生時代にアニメ『けいおん!』が流行って、軽音楽部にこぞって入る時代だったんです。だけど自分は“すごいな”と見ている側だったので、ギターは“よく弾けるなぁ”っていう感じでしたね」

それからはギター教室に通い、忙しいスケジュールの合間にギターを弾いているそうだ。さて、腕前はいかばかりか。

「まだまだ全然です。構えは上手だねって言われたぐらいで(笑)。演奏としてはカッティングにハマっています。ようやくギターを弾く楽しさを知ったレベルです(笑)」と照れる降幡。

撮影の日も愛用のフェンダーMustangを持って来た降幡だが、撮影前に取材場所であるフェンダーショウルームで、あるギターに目が止まった。79〜82年まで製造されたあと、生産中止になっていたが2020年に復活を果たしたPlayer Lead IIだ。流石は80’s好き。80年代に販売されていたギターを嗅ぎ分けた。

「すごく良い!カラーも80’sって感じですし、持っただけでも雰囲気がパッと80’sになるギターです。カッコいい!!」とテンションが上がり、インタビューに続いて撮影も最高に楽しい時間になった。

取材後の降幡に「風邪の季節ですから、喉、気を付けてくださいね」と声を掛けると、「気を付けていますが、引いたら引いたで仕方がないです。その時は、いつもよりガラガラの声でアフレコをやります。登場人物も風邪くらい引くはずなので(笑)」と笑わせくれた。

「これからは声だけじゃなくて、指も怪我しないように気を付けないとですね」と再び声を掛けると、手のひらを目いっぱい開き、こちらに見せながら「あっ!そうですね!ギター頑張ります!」と力強く答えてくれた。

小さな手のひらだったが、これからさらに大きな夢をその手で掴むのだろうと思った。


降幡 愛
声優・アーティスト。2月19日生まれ、長野県出身。B型。2015年に『ラブライブ!サンシャイン!!』の出演が決まり、黒澤ルビィ役で本格声優デビュー。その他にも『orange』(佐久役)、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』(ゴメちゃん役) 、『誰ガ為のアルケミスト』 (リズベット・フィン・ルストブルグ役)などがある。アニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』の声優たちで結成されたスクールアイドルグループ、Aqours としても活動するほか、雑誌『フォトテクニックデジタル』にて「降幡写真工房」の連載を行うなど、声優以外にも多岐にわたる活動を見せている。
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