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THE ROCK FREAKS VOL.5:majiko

ROCK FREAKS VOL.5

アーティストとフェンダーによるケミストリーを写真で切り取るエキシビジョンシリーズ「THE ROCK FREAKS」。第5回目は、注目の若手シンガーソングライターmajikoが登場。ニコ動から出てきた21世紀型のミュージシャンで、音楽界だけにとどまらずその存在が注目されている。そんな新世代アーティストmajikoの少し不思議なギター論に迫った。


コンピューターの正確さもいいんだろうけど、1本1本音が違うギターってエモいですよね

若手シンガーソングライターのmajiko。ニコニコ動画から出てきた若干25歳の彼女は、自由な発想のサウンドメイキングを展開し、ジャンルを超えて注目されている。

そんな彼女、中学入学時には美術部に所属したが、ひょんなきっかけで中2の時に軽音楽部に転部し、部のバンドでヴォーカルを担当。その後、ドラムも叩くようになりドラム&ヴォーカルとなった。

高校に入ると学校の外でもバンドを組み、その頃から作詞・作曲を手掛けるようになる。高校卒業後は音楽の専門学校に進み、そこでギターも手にした。こうして経歴を書くとむしろ音楽エリートな感じだが、実際のmajikoは職人気質のアーティストという感じではなく、のんびりとした不思議な雰囲気の女性で、独特のおっとりとした口調でギターについてこんな風に語り出してくれた。

「専門学校でギターを一応は習ったんですけど、ちゃんと弾けるわけではなくて…。なので、ギターは独学です。でも、曲を作るのはギターなんです」

少し意外なのは、ニコ動がデビューのきっかけで、そのサウンドもエレクトニカに軸足があり、平成生まれPC世代のmajikoが作曲のツールにギターを使うという点だ。なぜギターなのか?

「エレクトニカも大好きなんですけど、人の手が入っている音のほうが温かいから好きなんです。だから、自分が奏でる音楽にも人が演奏する楽器は不可欠です。その中でも特にギターの音は入ってほしいんです。理由は…自分より歳上の方から教わった音楽にはすべてギターが入っていたので、身体に沁みついているんだと思うんです。それにギターにしか出せない音があり、それが私の曲の大部分を支えてくれているので」とおっとりとした口調で答えてくれた。故にmajikoは、作曲をする時に必然的にギターを使う。とは言え、先述の通りギタープレイは独学であり、決してギタリストではないので、テクニカルにギターを弾くわけではない。「正直、コードもわからず弾いているので、単音で好きな音を出している感じなんです。でも、それで曲が作れるし、そのギターの自由さが好きなんです。だって、他にそんな楽器はないですから。しかも、不協和音を出してもそれがノイズとして音楽になってしまうぐらいですから。ギターは自由で好きですね。とは言え、もう少しギターと仲良くなりたいかなぁ」とギターの魅力、ギターへの想いをmajikoらしく話してくれた。

そんなギターへの想いは早速かたちになったようだ。具体的には、数年前にステージでギターを弾きながら歌ったこともあるし、作曲用に新しくギターを購入したそう。嬉しそうにmajikoがこう教えてくれた。

ROCK FREAKS VOL.5

Photo by Maciej Kucia (AVGVST)

「新しいギターを買って気がついたのは、今まで使っていたギターと比べて明らかに指の吸い付き方が違うから出せる音が違うんです。だからギターを替えるだけで新しい音が生まれ、新しい曲が生まれるなぁって」

もちろん、フェンダーのギターにも興味深々だ。「色が美味しそう」とmajikoらしい感性でフェンダーギターの印象を語ってくれたのだが、こうした自由な感性はどこかフェンダーギターの精神と重なる。どういうことか? 創始者のレオ・フェンダーはギタープレイヤーではなかった。だからこそ自由な感性と発想でギターを作ることができ、ギター界に革命を起こした。もし、レオ・フェンダーが名ギタリストだったら、ギター作りの常識にとらわれ、Telecaster®もStratocaster®も誕生していなかったかもしれない。そんなレオ・フェンダーの常識にとらわれない自由な創作は、常識や技術にとらわれない自由な発想で音楽を作るmajikoの楽曲制作と重なるように思えるのだ。

そんな話をmajikoに告げると、恐縮しながらも嬉しそうだ。「そう言えば、“ギタリストにはない発想の面白いコードを使うね”って言われるんです。“普通ならこの音にその音は混ぜない”っていうことをしているらしくて。だから、“あまりギターは上手にならないほうがいいかもね”って言われるくらいで」と笑いながら教えてくれた。

そして、フェンダーの新しいギターを少しだけつま弾いた。「うん。今持っているギターとも全然違うので、何か新しい曲が生まれそうです」と嬉しそう。きっとギターは、majikoにとって音楽を生み出す魔法のような存在なのだろう。「コンピューターの正確さもいいんだろうけど、1本1本音が違うギターってエモいですよね。しかもさっきのレオさんの話も面白くて、そんなフェンダーのギターでエモ散らかしたいなぁ」とmajikoらしい言葉でフェンダーギターへの想いを口にしてくれた。常識とらわれなかったレオ・フェンダーが創設したフェンダー社のギターは、majikoにとってさらに特別な魔法の杖になりそうだ。


majiko
天性の歌声で聴く者を魅了するネットシーン発の実力派女性ボーカリスト。母親がヴォーカリスト/ヴォーカルトレーナーということもあり、幼少の頃からROCK、SOUL、JAZZ、時には民俗音楽も流れる音楽の絶えない環境で育つ。近年では海外のライヴイベントにも多数出演。国内にとどまらずワールドワイドな活躍をみせている。2010年6月、動画共有サイトに自身の歌を初投稿。2013年12月、人気ライヴイベント「ETA(EXIT TUNES ACADEMY)」に初出演を果たすと、その圧倒的な歌唱力で、観衆、共演者、関係者をも驚愕させる。2015年4月、1stアルバムとなる「Contrast」をリリース。アルバムにはホリエアツシ(ストレイテナー)による書き下ろし曲をみきとPが編曲した、ジャンルの枠を超えた名曲「アマデウス」や、「心做し」「アイロニ」「独りんぼエンヴィー」等、ボーカロイドを代表する楽曲を多数収録し各方面より高い評価を受ける。2015年6月、自身初のワンマンライヴを東京キネマ倶楽部にて開催。チケットはソールドアウトとなる。2015年11月、プロデュースにホリエアツシを迎えた初のシングル「mirror」をリリース。続く2016年1月には同じくプロデュースにホリエアツシを迎えた2ndアルバム「Magic」をリリース。アルバムではヴォーカリストながら半数以上の楽曲の作詞作曲を手がけるなどマルチな才能を発揮。2017年2月、1stミニアルバム「CLOUD 7」をリリース。2018年3月にミニアルバム「AUBE」を発売。同日よりモバイルFC「zikka」開始。また、東名阪にて3マンリリースツアーを開催。2018年6月、東海テレビ、フジテレビ系オトナの土ドラ「限界団地」(主演:佐野史郎)の主題歌に「ひび割れた世界」が決定。7月4日にメジャー1stシングルとしてリリース。
› majiko Official Site:http://www.majiko.net