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真空管 vs. デジタル:自分にあったアンプの見つけ方

フェンダーが誇るアンプのエキスパート、リック・ヘインズによるアドバイス

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アンプの購入を検討するユーザーの多くがまず最初に頭を悩ませるのは、真空管アンプかデジタルアンプ(ソリッドステートとも呼ばれる)か、どちらを選択すべきかという点でしょう。

フェンダーが誇るアンプのエキスパートの1人であるリック・ヘインズは、その疑問に正解はないと話します。最も大切なこと、それは実際に音を出してみて自分に合ったサウンドを見つけることです。

「自分に合ったサウンドは、結局のところプレイヤー自身で見つけるしかありません。」彼はそう語ります。

ユーザーが自分に合ったアンプを見つけられるよう、真空管アンプとデジタルアンプに関する一般的な疑問と誤解について、リックに答えてもらいました。


ボリュームを気にする環境に適したアンプは?

リックによると、真空管アンプの性能を引き出すにはボリュームを3以上に設定する必要があるのに対し、デジタルアンプはボリュームが0に近い状態であっても素晴らしいサウンドを誇るといいます。

このことから、もし自宅でのリハーサルやヘッドフォンを使っての練習が主であれば、デジタルアンプが適しているといえるでしょう。

「真夜中に練習する場合でも、近所の住人からの苦情を心配しなくてもいいですからね。」彼は笑ってそう話します。


クリーン系と歪み系、それぞれのトーンに適したアンプはどっち?

「質のいい真空管アンプは、ボリュームを最大まで上げた状態でも素晴らしいサウンドを誇ります。」リックはそう話します。「一方でメタル系ではなく、ロック系のディストーションの場合、ボリュームを絞るとクリーンなトーンが得られます。これを『タッチ・センシティブ』といいます。」

「これはデジタルアンプでの再現が最も困難な点のひとつです。真空管アンプの中には極めて繊細なレスポンスを誇るものがあるためです。」

ただし、近年のソリッドステートアンプはその点においても大きく改善されています。中でもフェンダーのMustang™GTとChampion™シリーズは、他に類を見ない優れた再現性を誇ります。

「クリーンなトーンとミッド・クランチなサウンド、どちらも素晴らしいクオリティです」リックはその2シリーズのサウンドについてそう話します。「エフェクトの面でも、高い品質のサウンドを実現しています。」


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メンテナンスについて

デジタルアンプ(ソリッドステートアンプ)と真空管アンプのメンテナンスについては、それぞれに留意すべき点があります。

真空管アンプの場合、電球に使われているものに似た真空管のフィラメントが消耗すると、ノイズを発したり音が出なくなったりすることがあります。その場合は真空管を交換する必要があります。

「経年劣化や気候の変化に伴う真空管の消耗は、サウンドに大きく影響します。」リックはそう話します。

デジタルアンプは消耗によるサウンドの変化こそありませんが、何らかの不具合が起きた場合に、支障をきたしている部分を目で確認しにくいというデメリットがあります。

「デジタルアンプは問題点の特定が難しく、修理に手間が掛かりがちです。」「何かしらの不具合が起きた場合は、おそらく専門店に持ち込む必要があるでしょう。」


デジタルアンプのメリットは?

デジタルアンプの最大のメリットはその利便性です。ヘヴィーメタルからポップまで幅広いスタイルをカバーし、ショーの途中でセッティングを頻繁に変更するプレイヤーにとっては、デジタルアンプは理想的だとリックは話します。

「眩いようなクリーンなトーンから、チェーンソーのようなディストーションサウンドに、ボタンひとつで切り替えられるんです。」彼はそう話します。「その柔軟さはデジタルアンプならではの魅力です。真空管アンプの繊細なニュアンスを完全に再現はできないかもしれませんが、マディ・ウォーターズよりもワイルド・ナッシングのようなバンドに憧れる若いプレイヤーにとっては、デジタルアンプは理想的な選択肢だといえるでしょう。」


真空管アンプのメリットは?

よりトラディショナルなロックのアーティストの多くは、極めて高いレスポンスを誇る真空管アンプを好んで使用しています。

「コードであれ単音であれ、真空管アンプは弾き方の違いによる微妙なニュアンスを表現することができます。」リックはそう話します。「中には『スポンジのよう』と表現されるほど、優れたレスポンスを誇るものもあります。生き生きとしたその表現力は、デジタルアンプにはない魅力だと言えるでしょう。」


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真空管アンプの方がデジタルアンプよりも優れているのか?

デジタルアンプが急速に普及しつつある近年においても、真空管アンプの方が本質的に優れていると認識されがちですが、それは必ずしも正しくないとリックは話します。

「若いプレイヤーたちの中には、ヴィンテージなサウンドにはこだわらない人も多いのです。」彼はそう話します。「彼らが重視するのはクリエイティビティの発揮です。最近はギターのナチュラルなサウンドよりも、エフェクトを駆使した複雑なテクスチャーを追求するバンドが少なくありません。それは決して間違ったことではないんです。」


まとめ

リックが先に述べたとおり、自分がイメージするサウンドはプレイヤー自身で見つけるしかありません。他人によるアドバイスを鵜呑みにするのではなく、様々なアンプを実際に試してみることで、自分に合ったモデルを見つけるようにしましょう。

サウンドの探求には終わりがありません。「私はもともとエディ・ヴァンヘイレンに憧れていましたが、ある時点でその対象がビル・フリゼールに変わりました」リックはそう話します。「ニーズは時代とともに変化します。ユーザーが求めるサウンドも、また然りです。」