#FenderNews / Why We Play vol.11

Why We Play vol.11:トミー・ゲレロ インタビュー【前編】

ストリートスケートのパイオニアとしてリスペクトされているだけではなく、ミュージシャンとしても数々のアルバムをリリースし、世界中でライヴを行ってきたストリートカルチャーのアイコン、トミー・ゲレロ。彼の独特のギターや、DIY精神を体現したライフスタイルは多くのストリートキッズに影響を与えてきた。そんなトミー・ゲレロのギター哲学に迫るインタビュー。その前編。

Why We Play
ギターと言えばフェンダーを思い浮かべるよ
 

―  スケートボードとギター、どちらを先に始めたのですか?

トミー・ゲレロ(以下:トミー)    スケートボードを始めたのが75年ぐらいで、音楽を始めたのが79年ぐらいだからスケートボードのほうが先なんだけど、実は子供の頃にベースをやっていたので、僕はベースプレイヤーとして育った感じなんだ。

―  子供の頃に弾いていたベースはどんなベースでしたか?

トミー    実は初めて使ったベースがフェンダーのMusicmasterなんだ! たぶん71年製だと思うんだけど、青みがかった緑色でめちゃくちゃカッコいいやつだったよ。

―  そのMusicmasterを使ってどんな音楽を?

トミー    パンクロック!! そこからすべては始まったんだ。

―  ではギターを弾くようになったきっかけは?

トミー    兄貴がギターが上手くて、その兄貴と友達と一緒にパンクバンドをやってたんだ。でも、そのあと僕はプロのスケーターになったからバンドを84年に辞めたんだよ。で、その後にギターを弾くようになったんだけど、たぶん86年か87年くらいだね。真剣に弾くようになったのは90年代に入ってから。友達にラッパーが多くて、彼らのためにビートをサンプリングして作っていたんだけど、それがあまり上手くいかなくって。まぁでもビートがあるので、声の代わりにメロディーのあるギターで音を乗せたのがギターを真剣に始めたきっかけだね。だから、必要に駆られてギターを使ったのであって、自分では決してギタリストを目指してはいないし、未だにギタリストだとは思っていないんだよ(笑)。

―  (笑)。練習方法が気になりますが、どんな練習を?

トミー    分かんないよ(笑)。練習しなくてただ弾いているだけだからね。レコーディングで弾いたギタープレイも、その瞬間に自分が弾いたものがそこに入っているだけであって、自分のクリエイティヴな捌け口としてギターを弾いているんだ。だから、自分のことはギタリストだとかミュージシャンとも思っていなくて、クリエイティヴな人だと自分では思っているんだ。

―  クリエイティヴな捌け口であるギターの魅力を言葉にすると?

トミー    エフェクターやペダルを使うのが好きで、それによっていろんなテクスチャーを生んだり、ペダルを使うと色でいうパレットが広がって、使える色が増える感じがするんだ。つまり、無限の可能性があるツールだよね。あと、もうひとつギターが好きな理由は、ロックンロールのスピリットというイメージがあるからだね。ギターだとどんな曲を弾いていてもロックスピリットを感じられるからね。ロックにとってすごくアイコニックな楽器だと思うよ。それと…。

―  それと?

トミー    ギターと言われると最初にフェンダーをイメージするね!

―  それはどこからくるものなのでしょうか?

トミー    簡単な理由さ。あらゆる音楽のジャンルで、大勢のギタリストがフェンダーを使っているし、それにギターの形やデザインもアイコニックだから、ギターと言えばフェンダーを思い浮かべるよ。もちろん他のメーカーを思い浮かべる人もいるとは思うんですけど、フェンダーは歴史が長く革新的なことしてきたブランドなので、ものすごく信頼も置けるし、未来を考えてもずっと輝いていると思えるブランドだよ。

―  トミーさんは日本製のフェンダーを愛用していますが、日本製のフェンダーとの出会いは?

トミー    日本製のフェンダーについては、実際に自分が入手するよりもずっと前に噂は聞いていたんだ。で、実際に買って使ってみると、ディテールでもクオリティでも日本製のフェンダーは何にも勝ると思ったね。最初に買った日本製のフェンダーは85年製のStratocasterだね。その後、80年代にTelecasterを2本買ってEsquireも買ったよ。あと、ハムバッカーが付いているTelecaster Deluxe(89年製)があって、それがものすごく音に丸みがあってすごく気に入っていて、今でもレコーディングで使っているよ。

―  現在、日本製のフェンダーは何本持ちですか?

トミー    今は4本だと思う。でも今日1本購入するつもりだからそれが5本目かなぁ(笑)。

―  (笑)。その5本目として選んでいただいたのが、日本製のMADE IN JAPAN TRADITIONAL JAZZMASTERなのですが、今までJazzmasterを弾いたことは?

トミー    実は弾いたことがないんだ。新しくトライしてみたいなと思ってあえて選んだよ。

―  Jazzmasterで何にトライしたいですか?

トミー    ピート・タウンゼント(笑)! 真面目に答えると、レコーディングをしたいと思っている。僕は多くの時間をスタジオで曲作りをしているので、ギターが増えればいろんなトーンも増えて、新しい曲ができればいいなと思っているんだ。同じギターでも毎日微妙な違いがあったりするので、新しいギターならなおさら音の引き出しが増えるからね。今まですごくたくさんのギターを売ったり買ったりしてきて、あえて1本だけにこだわってこなかったから、新しいギターで新しい音、曲をやってみたいと思っているんだ。さっきJazzmasterを試奏したけど、今回の日本滞在中のライヴで早速使いたいぐらいだ。とってもワクワクさせてくれるギターだね。

› 後編に続く

 

トミー・ゲレロが所有する Jazzmaster®

Why We Play

Made In Japan Traditional 60s Jazzmaster®
エイジドプラスチックパーツの採用や、デカールの貼り付けをトップコートの上からの水張りにするなど、細部のディテールにまでこだわり尽くした高品質な日本製ラインナップ「MADE IN JAPAN TRADITIONAL」。ピックアップにはオリジナルのアルニコシングルコイルピックアップを2基搭載。
› Made In Japan Traditional 60s Jazzmaster®製品ページ

PROFILE


トミー・ゲレロ
66年、アメリカ・サンフランシスコ出身。ステイシー・ペラルタ擁するスケートボードチーム「ボーンズブリゲード」に最年少メンバーとして参加。80年代の西海岸スケートシーンを牽引する。90年代前半、旧友らとともに「デラックス」と「リアル・スケートボード」を設立。スケートボード業界で最大規模の会社にまで成長する。ミュージシャンとしては97年に1stアルバム「Loose Grooves & Bastard Blues」をリリース。シンプルな打ち込みにギター/ベースを乗せたインストゥルメンタル作品で、ファンク/ソウル/ジャズ/ロックを柔軟にクロスオーバーさせた自由な作風でミュージシャンとしての地位を確立。
› Website:http://www.tommyguerrero.com/