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Awesome City Club「Awesome Talks vol.6」レポート

フェンダーの現行モデルを使うメンバーが在籍する Awesome City Club。11月25日に東京・渋谷 TSUTAYA O-EAST で開催された自主企画イベント「Awesome Talks vol.6」の模様をレポート。

ACC

11月25日、日本一早いイヤーエンドパーティーというコンセプトの下、東京・渋谷 TSUTAYA O-EAST で Awesome City Club(以下 ACC)による自主企画イベント「Awesome Talks vol.6」が開催された。毎回、ゲストを招いた対バン形式で行われるこのイベント。「vol.6」となるこ の日のゲストは never young beach(以下ネバヤン)。両バンドの人気を物語るようにキャパ 1,000人の会場は大勢の観客が詰めかけた。

最初に登場したのはネバヤン。安部勇磨(Vo, G)がぎこちないダンスを披露した「Pink Jungle House」「ちょっと待ってよ」という序盤の2曲で早速、南国情緒を作り出したそのネバヤンは、そこからレゲエ調の「なんでもない日」をつなげ、この日、東京に雪が降ったことがウソみたいに フロアの温度をさらに上げる(東京で 11 月に初雪が降ったのは 54 年ぶり)。そんなネバヤンの熱演に観客は拍手喝采。それに気を良くしたのか、「ありがとう!」と安部が叫び、バンドの演奏は一気にテンポアップ。

ステージ上にはフェンダーアンプがずらりと並び、安部のテレキャスターを始め、あたたかくも各メンバーの個性がピリッと香るサウンドで満たしていた。それはまさに never young beach そのもので、やはり楽器は人だと思わされる瞬間が確かにあった。約1時間、これまでリリースした 『YASHINOKI HOUSE』『fam fam』という2枚のアルバムからほぼ半々ずつ全12曲を披露して、ノスタルジックな曲の数々を、ギター3本のダイナミックなアンサンブルとともにたっぷりと楽しませた。

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そして、Awesome City Club。シンセ・ストリングスの音色がうねるフレーミング・リップスの「レース・フォー・ザ・プライズ」が流れる中、客席の歓声に応えるようにブラック・フィーリングあふれるポップ・ナンバーの「Children」で軽やかにスタートした。ダンサブルな「4月のマーチ」をたたみかけ、マイク片手に甘い歌声で囁くように歌う PORIN(Vo,Syn)。そして、モリシー(G,Syn)が奏でる空間を押し広げるような鋭いギター・ソロにハッとさせられる。

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ギターソロに続いて、愛器であるClassic Player Jazzmaster Specialをかき鳴らしたモリシーのプレイからは、90年代オルタナの影響もほんのり聴きとれる。80年代のAORや90年代のJ-ポップを連想させる曲を演奏しながら、どの曲もACCだからこそと言えるサウンドになっている理由は、一つにはそんな影響があるからだろう。モリシーのプレイをニュアンス豊かに響かせるアンプ Hot Rod Blues Deluxe にも注目だ。「Around The World」でジャズベースをエフェクティブに鳴らしたマツザカタクミ(B)のプレイからもそれは感じられたし、'70s ジャズベース特有のサウンドが、ACCの楽曲を軽やかにドライブさせている。

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ACC の楽曲に、歯切れの良いテレキャスターのカッティングがよく似合う。atagiが American Standard Telecasterをかき鳴らしながら「踊ろうぜ!」と客席に呼びかけ、「アウトサイダー」からバンドは一気にラストスパートをかける。本編ラストでは観客に新曲「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」をプレゼント。アーバンな魅力をJ-POPとして聴かせる一曲。メンバーそれぞれに個性をアピールしたアンサンブルも聴きどころだが、ステージ両脇のモニターにカラオケ・ビデオ風のリリック・ビデオを映し出したことからもメンバー達はまずデュエット・ソングとして楽しんでほしいと思っているに違いない。

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そんな「今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる」も収録したニュー・アルバム『Awesome City Tracks 4』を 2017年1月25日にリリースするこことと、ファイナルとなる赤坂 BLITZ 公演を含むワンマンツアーを開催することを発表して、今一度、バンドのスケールアップを印象づけた彼らは「みんなメチャメチャ、アホになれる曲。大事な曲です。一緒に歌ってくれますか?」(atagi)とアンコールの「涙の上海ナイト」を観客と歌った。

ACC

コズミックなギター・ミュージックの中にノスタルジーが入り混じるネバヤン。アーバンなフィーリングとともに 80年代のAOR、90年代のJ-POPをオルタナ感覚で蘇らせるACC。リバイバルという表現に新たな価値観を加え、輝かせる演奏はともに見応えがあった。両者ともに、まだ まだ大きなバンドになっていきそうだ。

› Awesome City Club:https://www.awesomecityclub.com/