シニアマスタービルダー、ポール・ウォーラーが特別に製作したマスターピース。1972年に登場したテレキャスター・カスタムを貴重に、ボディサイズを10パーセント大きくするという大胆な発想を具現化しました。ネックは通常のテレキャスターと同様25.5インチスケールを採用、容易なフィンガリングを実現するために、ややフラットな9.5インチラディアス指板を採用しています。さらにハムバッキング・ピックアップの性能を最大限に発揮するため500kポットを、シングルコイル・ピックアップにはフェンダー伝統の250kポットを、それぞれ搭載しています。

南カリフォルニア出身のポール・ウォーラーは、幼い頃から木工や弦楽器制作に対する好奇心が旺盛で、14才にして人生初のギターを製作しました。高校卒業後はすぐ家具店に就職、南カリフォルニアの小さなギターメーカーでギター製作の経験を積んだ後、アリゾナ州フェニックスにある名門の楽器制作学校Roberto-Venn School of Luthieryに入学し2000年に卒業します。

2003年にフェンダーに入社したポールは、アーチドトップギター制作の名クラフトマンBob BenedettoやMark Kendrickをはじめ多くのMaster Builderたちに師事し、Custom Shopのビルダーに必要な様々な技術を習得していきます。7年にも及ぶ修行期間を経て、ポールは2010年に晴れてMaster Builderへの昇格を果たします。

ポールが手掛けてきた作品のクライアントリストには、アダム・クレイトン（U2）のベース、ボノ（U2）のThinlineテレキャスター、キース・リチャーズ（ローリング・ストーンズ）のテレキャスター、ロニー・ウッド（ローリング・ストーンズ）のストラトキャスター、バディ・ガイのストラトキャスター、ナイル・ロジャーズの“Hitmaker”ストラトキャスター、トロイ・ヴァン・リューウェン（クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ）のダブルネック・ジャズマスターなど、世界の第一線で活躍する大御所アーティストたちの名前が並びます。現在はシニア・マスタービルダーとして、ジョージ・ハリスンの所有器であったローズウッド・テレキャスターや”Rocky” ストラトキャスター、ジミー・ペイジの”Dragon”テレキャスター、日本ではCharの’59年製バーガンディ・ミストのストラトキャスターなど、近年カスタムショップが発表した大規模トリビュートモデルのプロジェクトにポールの技術が最大限に投入されています。