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Wilcoのギタリスト、ネルス・クラインの'69 Jaguar®と'59 Jazzmaster®

Wilcoのギタリストが、'69 Jaguar®を"Silver Bastard(銀の嫌な奴)"と呼んだ理由は?

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Wilcoのギタリストネルス・クラインは、1977年にリリースされたTelevisionのデビューアルバム『Marquee Moon』を聴いた時からずっと、フェンダーJazzmaster®とJaguar®のファンです。

Televisionのフロントマントム・ヴァーレインがバンドの全盛期にJazzmaster®を愛用していましたが、ネルスがFenderのオフセット・ギターを使い始めるのは、それから何年も後のこと。Sonic YouthのJazzmaster®愛用者であるサーストン・ムーアとリー・ラナルドが現れた80年代の初めのことでした。

その流れは現在も続き、ネルスはWilcoや彼の多くの別プロジェクトでプレイする際にたびたび、Jazzmaster®やJaguar®を手にしています。


 

ネルスのギターの中でも特に、1959年製のJazzmaster®が最も有名でしょう。元々はThe Minutemen、Dos、Firehoseの伝説的なベーシスト、マイク・ワットから購入したもので、よく弾き込まれたギターです。

一生を終えたようなルックスながら、このギターが彼の兵器庫にまだ収まっていることが奇跡です。このJazzmaster®は、ネルスが初めて手にした時はBlackカラーでした。それが年を経るごとにトップのペイントが良い具合に剥がれていき、ネルスはある時点で、ノブとピックアップ以外のほとんど全てを壊してしまいました。

「お気に入りのギターは、'59 Jazzmaster®。これが僕のナンバー1だ。まるで戦争を経験してきたように見えるだろう? 僕の個人的な戦争を体験してきたんだ」と彼はギター・ワールド誌に語っています。「このギターは、『Art of Almost』のソロで使っているんだ。ジェフ・トゥイーディー(Wilcoのフロントマン)に冗談で言っているんだ。"僕はなぜJazzmaster®以外のギターも持っているんだろうか。僕は、欲しいサウンドが簡単に出せるようなギターをプレイしても、決して嬉しくはないのにね"」

ネルスの'59 Jazzmaster®の大きな改良点は、Masteryブリッジです。彼がJazzmaster®やJaguar®を使い始めた頃、自分がブリッジの後ろで弦を弾くのが好きだということを意識するようになったのです。さらに、このアイコン的モデルに慣れ親しむに従い、カリフォルニア生まれのネルスは、所有する全てのオフセット・ギターにMasteryブリッジを装着し始めました。


 

ネルスが"Silver Bastard"という愛称を付けた1969年製Jaguar®は、さらに先を行っていました。Masteryブリッジはもちろん、さらにカスタム・ワウンドのピックアップ1組を加えています。ネルスはTweedyが持っていたTelecasterを手本にして、ウォームなサウンドを出すCharlie Christianピックアップをネック・ポジションに配置し、ブリッジにスーパーホットなJaguar®ピックアップを置いてバランスを取ったのです。

彼のJaguar®はまた、非の打ちどころのない美的感覚を持っています。ネルス自身も定かでない誰かが、ヘッドストックにマッチしたアズテック・シルバー・カラーで、さらに非常に派手なミラー・ピックガードを追加したギターをeBayに出品していました。とても目を引くギターで、ルックスに関しては彼のコレクションの中で最も"ロックンロールな"ギターであると、ネルスはプレミア・ギター誌に語っています。

ネルスはそのJaguar®のラウドでクリアなサウンドを愛すると同時に、扱いにくいギターであることも認めています。恐らく前のオーナーの扱いが悪かったのでしょう。この'69 Jaguar®に"Silver Bastard"と名付けたのは、その癖の悪さからです。

「僕らはそのギターが扱いづらいので、"Silver Bastard"と呼んでいたんだ」とネルスは、ビデオの中で語っています。「内部のワイヤーは全部エポキシ樹脂で接着されていたんだ。60年代から70年代初めは皆、そんな妙なことをしていた。それが正しいことだと信じられていたんだね」


Jaguar®    Jazzmaster®