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FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #1

< Opening Ceremony 〜 Experience #1 Stratocaster Pickups | Ken(LʼArc〜en〜Ciel) >

フェンダー社のアーティストモデル製作30周年を記念し、日本では初となるFENDER CUSTOM SHOPによるエキシビション「FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION」が、6月16日(土)ベルサール渋谷ガーデンにて盛大に行なわれた。その模様を全6回に渡りレポート。第1回目は、Opening CeremonyとKenが登場した“Experience #1”の模様をお伝えする。

FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #1

(Photo by Yoko Yamashita)

今回行なわれたエキシビションには、フェンダー社のギターを愛用する、Ken(L'Arc〜en〜Ciel)、鈴木茂、ハマ・オカモト(OKAMOTOʼS)、布袋寅泰、INORAN(LUNA SEA)、Char(※出演順)といった日本のトップミュージシャンがゲストとして登場。さらにFENDER CUSTOM SHOPから、ボノ(U2)やキース・リチャーズ(The Rolling Stones)などのギターを手掛けたマスタービルダーのポール・ウォーラー、さらに“伝説のピックアップアーティスト”と称されるアビゲイル・イバラから直接ピックアップの手巻き術を受け継いだ、ホセフィーナ・カンポスが来日し、直に日本のギターファンと交流。

会場は、展示エリアとステージエリアに分かれ、展示エリアでは普段まとめて見ることのできない約200本近くのFENDER CUSTOM SHOP製ギターが並び、さらにINORAN(LUNA SEA)、Ken(LʼArc〜en〜Ciel)、高中正義、Char、春畑道哉(TUBE)が使用する実機が飾られ、見るだけではなく写真を撮影することもできる貴重な機会となった。

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また、92年4月25日に突然この世を去った、尾崎豊がメインとして愛用したAmerican Vintage ’52 Telecasterの実機も展示され、彼の二十七回忌にあたる今年、マスタービルダーによって再現されたモデルも並べられ、熱心に見入るファンも多く見られた。

FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #1

さらにJazzmasterが今年で誕生60周年を迎えるということもあり、特に幅広いバリエーションのモデルが飾られていたのも印象的。オリジナルでは見たことのないようなさまざまなカラーバリエーションや、FENDER CUSTOM SHOPの独創性を取り入れたモデルも多く展示。

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オープニングセレモニーでは、マスタービルダーからのメッセージ映像が流れ、その後にフェンダーミュージック株式会社の取締役社長で、アジアを統括するエドワード・コールが挨拶。茶目っ気たっぷりな日本語の挨拶で会場の笑いを誘いながら、「アーティストは天使なんです。そしてその天使に飛ぶための羽を与えてあげることが私の使命です」と、レオ・フェンダーから受け継いだスピリット熱く語ってくれた。続いて“あらゆるレベルのプレイヤーを支えること”というミッションに対し、FENDER CUSTOM SHOPをはじめ、すべてのフェンダースタッフが愛をもって、常に全力で立ち向かっていることを話してくれた。

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ステージエリアのトップバッターを飾ったのは、フェンダーとともにシグネイチャーモデル「Galaxy Red」を製作したLʼArc〜en〜Ciel のKen。日本で製作された彼の「Galaxy Red」のピックアップをステージ上で交換し、音がどのように変化するかを実験。

FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #1
FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #1

交換するピックアップは、ホセフィーナ・カンポスが手巻きした物で、フロントに69年タイプ、センター&リアにファット’50sというセットによるもの。交換はマスタービルダーのポールが行うのだが、交換作業がステージ上のスクリーンに映し出されるというマニアにはたまらない演出も。ピックアップの交換は何と約15分という早さ。早いだけではなく、ていねいなハンダ付けやワイヤーをよじって、ピックガードの内部で暴れないようにする配慮など、所々にテクニックが光っていた。

ステージにはKenの他、インタビュアーも務めるギター・マガジン編集長の尾堂雅哉、サポートとしてFENDER CUSTOM SHOPのプロダクトマネージャーである大畑篤史が登壇。まずは交換前の音を観客と一緒にチェックしていく。


Ken 音をチェックする時、自分らの曲はハイからローまで使うから、いろいろなポジションで弾きます。あとは低音と高音弦の音量感を気にしつつ弾きますね。よくピックアップを自分で替えたこともあったけど、3時間くらいかかったもん(笑)。

そのままの状態でも、素晴らしいサウンドが会場に鳴り響く。これにホセフィーナの手巻きピックアップを載せるとどれほど音は変わるのか。Ken自身も楽しみにしているのが表情から伝わってくる。ピックアップ交換を待っている間、ホセフィーナに質問をするKen。

Ken 今すごく笑顔じゃないですか。ピックアップを作るときには真剣な顔になるんですか?

ホセフィーナ・カンポス(以下:ホセフィーナ) 笑顔は絶やしません(笑)。だからこんなに音がいいんです。

Ken ですよね! 笑顔があるところにはいい出来事が訪れますもんね。今日は僕、目が覚めたような気がします(笑)。細かいことにこだわり過ぎている気がしました。笑顔で愛情と気持ちを込めることが大切なんですね。

ちなみに手巻きピックアップの秘密を何とか聞き出そうと、質問をし続けたKenだったが、そこはシークレット(笑)。“心と愛を込めること”をホセフィーナは教えてくれた。気づけばピックアップの交換は終了。さっそく音出しをするKen。

FENDER CUSTOM SHOP EXHIBITION REPORT #1

Ken 音の違いわかるよね?(興奮気味に)弾きたくなる音。ひとつの基準として最近、エレキの音をアコギと比較することがあるんです。アコギの強弱と同じようにエレキも音を出せたら最高だと思っていて、ホセフィーナのピックアップはまさにそのバランス。弦1本1本の音がしっかり聴こえるけど、どこかの帯域が突出しているわけではない。かすれるくらいの強さで弾いても音楽になる音が好きなんだけど、まさにそういうピックアップだと思います。でも限定販売なんですよね!? もうちょっと巻けませんか(笑)?

ホセフィーナ 素敵なサウンドです。

Ken ポールさんもあまり対面したことがなかったけど、優しいんだよね。ピックアップにもそういう人柄が出ているようで、ホセフィーナさんのピックアップとポールのセッティングでキレイな音が出ることがわかってもらえたと思う。ギターに興味がある人もそうでない人も、いい気分になってもらえたら嬉しいなと思って今日は来たのですが、いかがでしたでしょうか?

会場の誰もが、音を出した瞬間に引き込まれるサウンド。愛情を込めてハンドワウンドされたピックアップからは、人の心に響く音が生まれる。この場で体験した誰もが、そう感じたことだろう。FENDER CUSTOM SHOPのスピリットを感じるひと時だった。

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Ken

L'Arc〜en〜Ciel のギタリストとして 1994 年にデビュー。昨年の春に結成25周年のライヴを東京ドームで開催。ストラトキャスターから多種多様な音色を響かせている。2002年より活動を始めたSONS OF ALL PUSSYSでは、ギターボーカル、2006年からKenとしてソロ名義でも、シングル2枚、アルバム2枚、DVDをリリース。近年では、主宰イベント「PARTY ZOO」の開催や、様々なバンドの楽曲をプロデュースするなど、多方面に活躍の場を広げている。
› http://www.ken-curlyhair.com/