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多種多様なエフェクター:効果的なエフェクターのつなぎ方

エフェクターの使い方は、究極には個人のオリジナリティによりますが、ここでは基本的なガイドラインをご紹介します。

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"典型的な"エフェクター・チェインの例

最近は、エフェクターを使わないギタリストの方がレアといえるかもしれません。

ペダル・タイプのエフェクターを1、2個使うくらいなら、最近のスタンダードなスタイルと比べれば、まだラインもシンプルでスッキリしています。でもほとんどのギタリストは、たくさんのエフェクター・ペダルを並べ、ラックマウント型のデバイスにもつないでいることでしょう。Avatar以上に特殊なエフェクターが足元にずらりと並んだ時、まずは「どの順番でつないだらいいんだろうか?」という疑問が浮かびます。

結果から言うと、厳密なルールはありません。好きな順番でつないで、自分の耳と直感で判断すればよいのです。それでまったくOK…ですが、エフェクターのつなぎ方については、先人たちの豊富な知識と経験によるパターンがあります。例えば、歪み(ゲイン)系を最初に置き、次にモジュレーション/タイム・ベース系。リバーブが3番目で、その後に他のエフェクターや、好みによってイコライザー(EQ)をつなぎます。

たくさんのエフェクターを持っているが、もう少し整理して順序立てて使いたい、という方のために、一般的なカテゴリー分けを、典型的なエフェクター・チェインのつなぎ順に解説します。

歪み(ゲイン)系

サウンドを変えるというよりもゲインを増加させる目的のエフェクターです。プリアンプ、コンプレッサー、ディストーション・ユニット、ワウ・ペダル、EQユニット(ただしEQユニットは特殊なので、後述します)が含まれます。ディストーションは、信号に多くの高調波を加えることができるため、これ以降につなぐ別タイプのエフェクターは、傾向的により激しいサウンドになります。ワウ・ペダルの内部はアクティブEQサーキットで、あらゆる周波数帯を増幅し、さまざまな効果を得られます。通常は、プリアンプやディストーション・ユニットなどゲイン・ブースト系のエフェクターの後ろにつなぎますが、ジミ・ヘンドリックスは、ディストーション・ユニットの前に置き、あのサウンドを生み出しました。前述の通り、厳密なルールはないのです。

モジュレーション/タイム・ベース系

オリジナルの信号と、タイミングを調整した信号とを結合するエフェクターです。コーラス、フランジャー、ピッチシフター、ディレイ・ユニットなど、最も多彩で広がりのある音色を作り出します。歪み系とは異なり、モジュレーション/タイム・ベース系は、ギターとアンプの間ではなく、アンプのシグナル・チェインの「エフェクト・ループ」と呼ばれる部分に配置されることが多いです。これは、アンプのプリアンプ・セクションの後、パワーアンプ・セクションの前にあたります。

リバーブ

リバーブは、不連続の人工的なディレイ・エフェクターよりも自然なアンビエント・サウンドを実現します。一般的には、シグナル/エフェクター・チェインの最後につながれますが、もっと前に配置することで、さまざまな効果を作り出すこともできます。1980年代に流行した、“ゲートリバーブ”を通したスネアドラムのサウンドが典型的な例です。

その他エフェクター

すべてのエフェクターが上記の各カテゴリーにあてはまる訳ではありませんが、理論立てて配置することはできます。フェイズシフターは、タイム・ベースというよりもEQベースのエフェクターですが、フランジャーと似た効果を得られます。そこでタイム・ベースのエフェクター群に含め、歪み系とリバーブの間に配置するのが一般的です。オクターバーはピッチシフターの一種なので、タイム・ベースのエフェクター類の近くにつなぎます。サウンド全体をより生き生きと輝かせるエキサイターは、エフェクター・チェインの最後、リバーブの直前に配置します。不要なノイズをカットするノイズゲート・デバイスもまた、チェインの最後の方、通常はリバーブの前に置かれるエフェクターです。リバーブによる残響をいきなりカットしたい、などと言うのであれば話は別ですが。

イコライザー(EQ)

特殊なエフェクターといえるEQは歪み(ゲイン)系に分類され、サウンド全体ではなく、信号の一部分のみを増幅します。主として、信号の通り道やオーディオ環境の何らかの原因で減退した周波数不足を調整するために使用されるため、状況を改善する保険として、エフェクター・チェインのどの場所にも配置することができます。


以上はあくまでも「ガイドライン」であり、「ルール」ではありません。あなたの持つクリエイティビティは、使用するエフェクターの個別設定だけでなく、順序や組み合わせにも活かすことができるのです。