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FUJI ROCK FESTIVAL '18 Interview with Johnny Marr

FUJI ROCK FESTIVAL '18 Interview with Johnny Marr

Photo by 中野敬久

苗場での開催20周年。今年も大盛況で幕を閉じたフジロックフェスティバル’18。 開催一ケ月前に急遽出演が発表となり、多くのファンを喜ばせたのがジョニー・マー。6月にニューアルバム「Call The Comet」を発表し、プロデューサー業、他アーティストとのバンド活動だけでなく、ソロアーティストとしても精力的に活動する大御所に、フジロック最大のステージ、グリーンステージでのライヴ終了直後にインタビュー。


―  3年ぶりのフジロック、印象を聞かせてください。

ジョニー・マー(Vo. 以下:ジョニー)  楽しかった。バンドは5週間ほど前にLAで演奏してからずっとオフだったから、ともかく楽しかったよ。このステージに戻って来ることができて嬉しいね。観客はみんなポジティブだし、とても良いリスナーで驚くよ。

ニューアルバムを出して、新しい曲を演る時は大体お客さんの反応が気になるもんだけど、日本の観客はしっかり聞いてくれる。とても嬉しいし、その姿勢が好きだね。日本には来年の春あたりにまた帰ってきたいと思ってるよ。

―  フェンダーからあなたの新たなシグネイチャーモデル、“JOHNNY MARR JAGUAR® LAKE PLACID BLUE”が発表されました。自身のシグネイチャーモデルが発表される事について、どんな気持ちでしょうか。

ジョニー 2年ほど前に書いた自伝があるんだ。その始まりは僕が5歳の時に手にした初めてのギターについてで、本の終わりはフェンダーの僕のシグネイチャーモデルの話なんだよ。なぜなら僕にとっていわば最大の偉業だからね。この事を70年代、子供の頃だった自分に話してやりたいね。ともかく良いギターで、多くのギタリストが使ってくれていると聞いてる。本当に誇らしいことだよ。

―  フェンダーとの思い出があれば教えてください。

ジョニー  僕が10代の頃、パティ・スミスがDUO-SONIC™を使ってた。セカンド・アルバム「RADIO ETHIOPIA」(1976)が出た頃で、僕は「アレはいったい何だ!」って思ったよ。ストラトでもないし、ジャガーでもないし・・・当時ああいうギターはテレヴィジョンとかNYの連中だけしか使ってなくて、僕もDUO-SONIC™がとても欲しかったのをよく覚えてるよ。

それとシックのナイル・ロジャースだね。あの透明のフェンダーにも驚いたね!ロリー・ギャラガーのフェンダーも好きだった。もちろん自分もThe Smithsでたくさん使ったよ。

僕にとってフェンダーは、50年代・60年代のクラシックなデザインとサウンド、そして常に前に向かって進化を続けるモダンなカルチャーの融合なんだ。僕のジャガーを見てよ。まるで昨日デザインされたばかりの様なルックスじゃないか?全く古臭さがないんだ。

もうひとつ、フェンダーのギターでとても大事なのは、ピックアップやネックを自分が好きなものにカスタマイズできる、ということだと思うね。他のギターじゃできないことだよ。

―  あなたの自伝の中で、「ギターを変えると曲が降りてくる」というような表現がありましたが、フェンダーのギターで作った曲はありますか?

ジョニー 多くの曲をフェンダーで作ったよ。 The Smiths では「I Know It’s Over」、「Some Girls Are Bigger Than Others」、「Unloveable」 、「Shakespeare’s Sister」なんかはストラトで作った。

The Cribsでは「We Share The Same Skies」。 たしかJaguarで作った初めての曲はModest Mouseでの「Dashboard」のリフだよ。Modest Mouseの曲はほとんどJaguarで作ったね。

自分の曲だと「Easy Money」、「New Town Velocity」はJaguar。 ニューアルバムの「Call The Comet」では、「Walk Into The Sea」をはじめ、ほとんどの曲をJaguarで作ってる。

FUJI ROCK FESTIVAL '18 Interview with Johnny Marr

―  日本のギターキッズ、特にこれからアーティストを目指す新しいPLAYERたちにアドバイスやメッセージをお願いします。

ジョニー もしギタープレイヤーとして名を馳せることができたら、それは素晴らしい人生だよ。 多くの人々が自分の演奏を聴いてくれるということは、プレイヤーとして一番幸せな事だと思う。

でも、別に有名になんかならなくたっていいんだ。ギターを弾いてればバンドをやろうっていう友達ができる。社交的になれるってことだよね。 それと同時に、もし君が独りになって自分自身に向き合い対話したい時、ギターを弾いていると、いわば瞑想をしているような感覚になれる。

自分も同じで、僕は結構社交的な人間だと思っているけど、毎日自分と向き合ってギターを弾く、それは僕にとって毎日日記をつけているようなものなんだ。 僕とギターの関係は僕が5歳の時から始まっていて、自分の中で唯一「人生を共にしている」存在だと思っている。それはレコードを作ることでも、バンドやレコード会社を作ることでもなくて、「ギターを弾く」ことなんだ。

それと、ギターが弾ければ女の子や男の子の興味を惹く事ができるって事も大事だよ!笑


UKロック/ブリットポップ・ムーブメントだけでなく、世界中のロックシーンに影響を与えたジョニー・マー。しかしその振る舞いは気さくで、常に相手の目を見てインタビューに応え、そしてギターについて熱く語る姿に、彼がファンだけでなく多くのアーティストから支持されている理由を見た気がした。

 

[Artist Profile]

Johnny Marr
イギリス・マンチェスター出身。82年にモリッシーと共にザ・スミスを結成、バンドのギタリストとしてデビュー。4枚のアルバムを発表し、UKロック/ブリットポップ・ムーヴメントに多大な影響を与えたが、87年に解散。89~93年にはザ・ザのメンバーとなり、2枚のアルバムに参加する。89年にはニュー・オーダーのバーナード・サムナーとのスーパーグループ、エレクトロニックを結成し、その他にもセッション・ミュージシャンとして、数多くのアーティストの傍らでその特徴的なギター・プレイを披露していく。2000年にはリンゴ・スターの息子であるザック・スターキーやクーラシェイカーのメンバーらとともにジョニー・マー&ザ・ヒーラーズを結成、同時に他アーティストのプロデュース業も行う。08年にはザ・クリブスに加入した。10年には映画『インセプション』のサウンドトラックにギタリストとして参加。デビューから30年を経た13年、初となるソロ・アルバム『ザ・メッセンジャー』、翌年14年には、セカンド・アルバム『プレイランド』を発表。そして約4年ぶりとなるサード・アルバム『コール・ザ・コメット』を2018年6月15日にリリース。尽きることのない創造性と、秀逸なメロディ・ライン、そして流麗なギター・プレイは今作にも余すところなく詰め込まれている。
https://johnnymarr.com/