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『東京スカパラダイスオーケストラ 2018 Tour「SKANKING JAPAN」"燃やせ、揺らせ"編』レポート
2018年4月14日(土)新木場STUDIO COASTにて行われた『東京スカパラダイスオーケストラ 2018 Tour「SKANKING JAPAN」"燃やせ、揺らせ"編』の模様をレポート。
(Photo by Sony Music Artists)
ライヴハウス公演は“燃やせ、揺らせ”編、ホール公演は“めんどくさいのが愛だろっ?”編、ファイナルは“スカフェス in 城ホール”と題し、3つの形態で全国ツアー『東京スカパラダイスオーケストラ2018 Tour「SKANKING JAPAN」』を開催。
3月14日にリリースされたニューアルバム「GLORIOUS」は、これまで以上にラテン色を強く感じさせる楽曲を多数収録。常に音楽的なチャレンジを続ける彼らならではの意欲作だ。ライヴはこのニューアルバムからの楽曲と彼らの代表曲とを混ぜながら、巧みなバランス感覚で組み上げたセットリストが光っていた。
オープニングSEとともに、NARGO(Trumpet)、北原雅彦(Trombone)、GAMO(Tenor sax)、谷中敦(Baritone sax)、加藤隆志(Gt)、川上つよし(Ba)、沖祐市(Kb)、大森はじめ(Per)、茂木欣一(Dr)のメンバー9人が登場。湧き上がる歓声とともに会場の空気はすでにヒートアップした状態だ。冒頭から攻撃的なナンバーをたたみかけるように放ち、何度も観客を煽りながら、ライヴの興奮を高めていく。
「今日は来てくれて本当にどうもありがとう。来てくれる人がいる、楽しんでくれる人がいるのが嬉しいなと実感しています。ニューアルバム、聴いてくれた? ニューアルバムの曲もやるよ。思いっきり戦う用意はできているかい!」(谷中)
アルバムのタイトル曲であり、ラテン風味で明るい曲調の「Glorious 」ではギターの加藤隆志が鮮やかなソロを披露。バッキングの時は歪みが多めだが、ソロになるとクランチ寄りの音色にすることでメリハリをつけていく。「The Battle of Tokyo」では歪んだ太い音でテーマのリフを弾き、ソロでは官能的なフレーズを奏でる。「The Ring」ではクリーントーンの16ビートカッティングがクールにキマり、ソロもブルージーな響きをもたらす。
特に今回はアルバム制作にあたり、新たなギターを導入したことでサウンドに大きな変化が生まれ、それがライヴに確実に影響を及ぼしていた。これまで加藤隆志のトレードマークだった、塗装の剥げかけたレイクプラシッドブルーのStratocasterではなく、American Professional Stratocaster HSS Shawbuckerを使用。レコーディングでは他にも使用ギターはあるが、ライヴではこれ1本のみだ。
シングルコイルピックアップのシャープな切れ味に加え、リアのハムバッカーから生まれる骨太なサウンドが大きな特徴となり、さらに歪みの成分も多めに加味されたことで、バンド全体にパワフルな迫力が生まれていた。
ベースの川上つよしはAmerican Original ‘60s Precision Bassを使用。これまではヴィンテージのJazz BassとPrecision Bassを愛用していたが、今回はこれ1本。ヴィンテージにこだわる彼の要求を満たしつつも、バラエティに富んだ楽曲のタイプに応じてくれる安定のベースだ。また、曲によってはアップライトベースを取り入れ、多彩なサウンドを作り上げていく。
スペシャルズの永遠のスタンダードスカナンバー「ONE STEP BEYOND」ではセンターに立ち、シンプルなフレーズで観客を煽る。対照的に、彼が作曲した「The Ring」ではAOR調のサウンドに乗せ、ジャズっぽいランニングベースを聴かせる。スカパラのライヴでお馴染みの「ペドラーズ」でもやはりセンターに立ち、アグレッシヴな演奏を繰り広げた。繊細なサウンドから骨太なサウンドまで、幅広いスカパラの音楽性に柔軟に対応するベースサウンドは、生演奏のグルーヴ感を大切にする川上にとって最高の武器と言えるだろう。
オーセンティックなスカはもちろん、ラテンやロックなどさまざまな曲調を取り入れ、ハイテンションのステージで魅了したスカパラ。好調なこの初日を皮切りに、ファイナルの大阪城ホールまで全国を駆け抜けてくれそうだ。
(Photo by Sony Music Artists)
› TOKYO SKA PARADISE ORCHESTRA:http://www.tokyoska.net/