#FenderNews / KEYTALK x Xの方程式 この空に響け2マン・ラプソディー ~実に面白いネ

KEYTALK x Xの方程式 この空に響け2マン・ラプソディー ~実に面白いネ

KEYTALK主催のライヴにMUCCが参戦。10月31日(木)川崎CLUB CITTA’2マンライヴ「KEYTALK x Xの方程式 この空に響け2マン・ラプソディー~実に面白いネ」の模様をレポート。

report-keytalk-mucc-2019

9月27日の熊本公演から約1カ月かけてKEYTALKが全国12カ所を回った2マンライヴツアー「KEYTALK x Xの方程式 この空に響け2マン・ラプソディー ~実に面白いネ」が、10月31日(木)川崎CLUB CITTA’で開催された。

各地、強敵と言えるバンドを迎え熱演を繰り広げてきたが、関東公演の対バンに彼らが選んだのが、KEYTALKとの対バンが意外でもあり、見てみたいと思ってしまうMUCCなのだから“実に面白いネ”となりそうな予感満載である。この日、KEYTALKのメンバーが語ったところによると、5年前にイベントで共演して以来、ずっと一緒にやりたいと思っていたそうだ。

“今日はどんな夜になるのか。最後まで思いっきり楽しんで帰りたいと思います!”という逹瑯(Vo)の言葉からは、KEYTALKのラヴコールに応えたMUCCもまた、この日の対バンを心待ちにしていたことがうかがえた。

MUCCのステージは妖艶な雰囲気をめいっぱい醸しながら「サイコ」でスタート。多彩な表情をみせるリズムでいきなりスタンディングの客席を沸かせる。厚みのあるヘヴィリフの素晴らしさが光る「ENDER ENDER」では神経を刺激するかのようなシンセサイザーの音が彩りを加え、一筋縄ではいかないスリリングで唯一無二のMUCCサウンドをオーディエンスへ印象づける。ハードなギターフレーズを軸にリズムに合わせてジャンプするファンとの一体化をみせた「G.G.」でミヤ(Gt)は Modern Telecaster HH Black を使用、抜けの良い歪みサウンドはバンドアンサンブルの中で解像度を保ち、フレーズの輪郭が聴き取り易く会場全体に届いていた。レゲエパートも含む「アイリス」のリヴァーブ感を生かした水の中にいるような音など、サウンドデザインに造詣の深いミヤのエフェクトを屈指した表情豊かなサウンドもこのバンドの魅力である。基本のバッキングサウンドに関しては直球勝負と言えるオーセンティックな音作りでロックギターの醍醐味をダイナミックに伝えている点も見逃せない。

アンセミックな「ニルヴァーナ」では鳴らしたコードストロークから放たれる心地いい歪みがヘヴィ&ラウド系のサウンドに特化したModern Telecasterの魅力を十二分に伝えていた。KEYTALKのメンバーが“ハンパなかった! カッコ良かった!”と感嘆の声を上げていた重低音をSATOち(Dr)とともに支えたYUKKE(Ba)はブラックフィニッシュに5弦仕様という壮観なルックスのFENDER CUSTOM SHOP製Custom Classic Jazz Bass Vを唸らせ、音を自在に操り表情をつけていったミヤと共に逹瑯の両脇で頻繁に立ち位置を入れ替える。サオ隊のエネルギッシュなパフォーマンスは壮観だ。そして、ミヤが「ニルヴァーナ」のギターソロで、さらにフロアを盛り上げると、バンドはダンサブルな「ハイデ」につなげ、勇壮さもあるロックナンバーの「カウントダウン」を観客とシンガロング。

MUCCのライヴには欠かせないラストの「蘭鋳」では、 “言うこと聞かないと(KEYTALKの)義勝に会えねえぞ! 巨匠(=KEYTALK寺中の愛称)の顔を俺みたいに塗るぞ! 3分あれば塗れるぞ(笑)!”(逹瑯)と座らせてから一斉にジャンプ。“全員でシンガロング! 付き合ってちょうだい!”(逹瑯)と、これまでの盛り上がりをさらに大きな一体感に変えながらサークルピットまで出現し、最後はストレートなヘヴィネスサウンドに応える観客全員を飛び跳ねさせ、締めくくったのだった。

2月リリースの現時点での最新アルバム「壊れたピアノとリビングデッド」からの曲を散りばめながら50分、新旧全9曲を披露。表情豊かなメロディとサウンド、リズムアプローチの幅広さ、MUCCの魅力を確実に体験できたと感じ、思わず笑顔になるライヴであった。


report-keytalk-mucc-2019

report-keytalk-mucc-2019


ステージ転換の数分後、ついにKEYTALKのステージが始まる。持ち味のひとつである誰もが踊り出してしまうKEYTALK流ロックの魅力を凝縮した「HELLO WONDERLAND」でスタート。彼らのファンも確実に巻き込んでいったMUCCの熱演に対して、新旧のシングル曲を中心に人気曲を並べたベストセレクション的なセットリストで真っ向勝負を挑む。寺中友将(Vo,Gt)は赤くペイントした American Original '50s Telecasterを手にして歯切れの良いテレキャスターサウンドを奏で、首藤義勝(Vo,Ba)は American Professional Jazz Bass Sonic Grayを使用し、ピック弾きを基本にスラップも交え、万能なこのベースを堪能するかのように「MATSURI BAYASHI」では秀逸な指弾きもみせてくれた。ディスコビートを使った「BUBBLE-GUM MAGIC」、J-POP調の「Love me」、そしてオールディーズ風の「ララ・ラプソディー」と序盤から変幻自在の多彩なレパートリーをつなげ、フロアを盛り上げていったのは、まさに日本中のフェスを踊らせると謳われるバンドの証明である。

“久しぶりの2マンツアー。音楽好きが集まってくれていると思います。本当に嬉しいです!” “みんなの首がモゲるぐらいの気持ちでやるので、モゲてください!(笑)”

寺中と八木優樹(Dr)による短い挨拶を挟んでからの後半戦も、演奏の勢いは衰えるどころか、さらなる盛り上がりをみせる。

寺中が歌いながら弾くのは、主にバッキングのコードだが、単にかき鳴らすのではなく、しなやかな右手首の動きによって曲ごとにストロークのニュアンスやリズムを変化させるプレイに、リズムギタリストとしてのセンスがうかがえた。そんなプレイが、観客を踊らせる要素のひとつになっていることは言うまでもないが、大音量のライヴでそれがわかるのは、歪ませても音が潰れずにしっかりと鳴る音作りの賜物だ。寺中がTelecasterをメインとして使い続けている理由が垣間みれた場面でもある。

一方、首藤がJazz Bassを使い続けている理由であろう表現豊かで歯切れのいいクリアなサウンドは、「ララ・ラプソディー」で弾いたベースソロにおいてギターソロに負けない粒立ちの良さや、かなりのアップテンポで8ビートを刻んでも音が潰れない「ナンバーブレイン」でのプレイなど随所で生かされ、4人が4人、それぞれにキャラクターが立っているこのバンドの中で、首藤の存在をひと際華やかなものにしていた。

さらに「キュビズム」「ロトカ・ヴォルテラ」とロック色の濃い曲を畳み掛け、さらに盛り上げると“ラスト1曲! 踊り狂え!”(寺中)と本編ラストの「MONSTER DANCE」まで駆け抜けた。

アンコール前のMCでは寺中と首藤がMUCC風に目の周りを黒くメイクしてフロアを沸かせ、MUCCのリクエストに応えて予定していなかった「トラベリング」を披露。演奏中に逹瑯がステージに現れ、首藤と自撮りをするというサプライズも。 

そして、「真夏の衝動」「桜花爛漫」の2曲でバンドが持つ爽やかな魅力をアピールすると、最後はコール&レスポンスを交えながら、エレクトロニカパートも含む「Summer Venus」でモッシュが起きる熱狂を作り上げて終演を迎えた!

アンコールを含め計14曲を演奏した1時間。リードギタリストである小野武正(Gt,Cho)を含め、寺中、首藤の3人とも楽器を持ち替えることなく、メイン器を使い続けたことが、ダンサブルでキャッチーな魅力を持ちつつも、芯のある力強いバンドサウンドを打ち出すことにつながっていた。笑顔で帰路につくファンの表情からもKEYTALKはステージで鍛えられた力量に裏付けされた、オーディエンスと最高に楽しいグルーヴを生み出すバンドである事を証明してくれたライヴであった。KEYTALKとMUCC、素晴らしい組み合わせにより実現した相乗効果。終演後の充実感で満たされた会場の雰囲気は本公演の主旨通り“実に面白いネ”そのものだったからだろう。


report-keytalk-mucc-2019

report-keytalk-mucc-2019

report-keytalk-mucc-2019


MUCCセットリスト
01.サイコ
02.ENDER ENDER
03.G.G.
04.アイリス
05.自己嫌悪 DEMO 〜Clean Ver.〜
06.ニルヴァーナ
07.ハイデ
08.カウントダウン
09.蘭鋳

› MUCC:https://55-69.com


KEYTALKセットリスト
01.HELLO WONDERLAND
02.MATSURI BAYASHI
03.BUBBLE-GUM MAGIC
04.Love me
05.ララ・ラプソディー
06.ナンバーブレイン
07.キュビズム
08.ロトカ・ヴォルテラ
09.お祭りセンセーション
10.MONSTER DANCE

ENCORE
01.トラベリング
02.真夏の衝動
03.桜花爛漫
04.Summer Venus

› KEYTALK:http://keytalkweb.com