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MY FIRST STORY「MY FIRST STORY TOUR 2019」レポート

MY FIRST STORYが11月30日(土)さいたまスーパーアリーナにて『MY FIRST STORY TOUR 2019』のファイナル公演を開催。その模様をレポート。

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ライヴハウスツアー、ホールツアー、アリーナツアー合わせて14都市17公演を行う『MY FIRST STORY TOUR 2019』が、11月30日(土)さいたまスーパーアリーナでファイナルを迎えた。

紗幕に映像が映し出されると、幻想的なSEからシームレスに生演奏へと移行。紗幕が降りると同時に特効が打ち鳴らされ、ライヴは「不可逆リプレイス」でスタート。顔部分にLEDライトが仕込まれた巨大な偶像がステージ後方に置かれ、大中小のサイズの四角いLEDフレームがステージを囲むように配置されており、まばゆいレーザーと相まって非日常的な光景を生み出している。

“最高の1日の幕開けだ!”。そうHiro(Vo)が叫ぶと、それに呼応するかのようにフロアから最大級のクラップが巻き起こり、静と動を行き来する「Black Rail」では、Nob(Ba)が花道を突き進んでセンターステージでソロフレーズを弾き、観客の大合唱とともに会場が波打つように揺れる。抜けの良い歪みと純度の高いクリーンで歌心のあるリフを刻むTeru(Gt)、図太いボトムでアンサンブルを支えるNob、ダイナミクスをつけながらタイトなドラミングで魅せるKid'z(Dr)、心情の機微を描くような色気のあるHiroの声。それらがアンサンブルとしてスピーカーから出力される時、凄まじい生命力をもって聴き手に迫る。

“たったの2時間、でもお前らを変えるには十分な時間だ!”(Hiro)。そう宣言して始まった「monologue」では重厚なサウンドを響かせ、火柱が上がった「虚言NEUROSE」ではHiroの合図で観客が一斉にジャンプ。ここでTeruが手にしたのが、本ツアーから新たに導入したMADE IN JAPAN MODERN JAZZMASTER HH。オールブラックで2基のハムバッカーを搭載した本機は、特にオルタナ/ラウド系バンドから絶大な支持を誇っているが、キメが細かく芯のあるサウンドは音抜けも抜群。チューニングに応じて複数のギターを持ち替えるTeruだが、今後、彼らのパフォーマンスに欠かせないような存在感のある音色を放っていた。

ライヴ中盤、センターステージへと歩を進める4人。去年から始まったアコースティックコーナーでは、カホン、アコースティックギター、アコースティックベースを手に「失踪FLAME」「終焉レクイエム」「Love Letter」を歌い上げる。表現力がモノを言うアコースティック編成だが、情景が浮かぶような音世界に改めて彼らのポテンシャルの高さを目の当たりにした。かと思えば、“楽屋みたいになっちゃった(笑)”とKid'zが話したように自然体なMCで会場を沸かせる。伸びやかなHiroの声が心地良い「Love Letter」では、観客が携帯電話のフラッシュライトで客席を埋め尽くし、まるで光の草原のように楽曲の雰囲気をより一層ドラマティックなものにしていた。

ライヴ後半戦はまさに怒涛の展開だ。高速ドラミングとベースのスラップから楽器隊のセッションへとなだれ込んだ「無告」、花道を走り抜けてラストサビで鳥肌ものの大合唱を巻き起こした「Missing You」、Pay money To my Painのカヴァー「Weight of my pride」では、2011年5月8日にSHIBUYA-AXで観たPay money To my PainのライヴがHiroの物語を突き動かしたことを語り、“8年かけてようやくここまで来たよ”と亡きPay money To my Painのヴォーカリスト、Kへの想いを吐露。デジタルビートを果敢に取り入れた「MONSTER」「絶対絶命」でTeruは再びMADE IN JAPAN MODERN JAZZMASTER HHを持ち、地を這うような轟音で会場のボルテージを底上げしていく。ブライトなギターフレーズを配する「ACCIDENT」では赤いフィニッシュのFENDER CUSTOM SHOP JOURNEYMAN RELIC JAZZMASTERが登場。煌びやかな音色でこの曲の象徴的なギターフレーズやバッキングストロークで威力を発揮していた。

“残りたったの10分? でもお前らの人生を変えられるかもしれない”。ラストは1音1音に強い決意を込めた「REVIVER」「With You」を投下。“俺が生きる理由、それはお前らと一緒に生きていくことだ。愛してる”。汗まみれになりながら、拳を高らかに突き上げて歌う観客。その光景は崇高ですらあった。

アンコールでは、MY FIRST STORYのカヴァーをしていた男性シンガーソングライター“優里”の路上ライヴに、偶然通りかかったHiroが飛び入り参加したこと、その歌声に可能性を見出し、“若い才能を開花させたい”というHiroの思いで彼のオリジナル楽曲「かくれんぼ」をレコーディングすることになった経緯がスクリーンに映像として映し出される。映像の後、ステージに登場したHiroは、何と観客としてライヴを観に来ていた優里に“一緒に歌おうと提案”。戸惑った様子の彼をステージに招き、Hiroとともに「かくれんぼ」を熱唱。ハスキーで太い歌声は弾力に富み、センチメンタルなメロディーが聴く者の心を鷲掴みにする。続いて、彼が路上ライヴで演奏していた『「花」-0714-』を一緒に歌うというサプライズも。Teruは黒のTelecasterを持ち、情感に訴えかけるクリーントーンで楽曲が持つ美しさを浮き彫りにする。

“終わってしまう寂しい気持ちを込めて”。ラストは再び4人で1曲目の「不可逆リプレイス」を再演。終演後、ファンに向けて“俺には叶えなきゃいけない夢がある。一緒に東京ドームに行こうぜ”と誓いを交わしたHiro。来年4月からは『STORYTELLER TOUR 2020』を行うことも発表された。4人の物語からますます目が離せなさそうだ。


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セットリスト
01.不可逆リプレイス
02.Black Rail
03.ブラック・スワン
04.monologue
05.虚言NEUROSE
06.KING & ASHLEY
07.mine
08.君のいない夜を越えて
09.失踪FLAME
10.終焉レクイエム
11.Love Letter
12.無告
13.Missing You
14.Weight of my pride
15.MONSTER
16.絶対絶命
17.ACCIDENT
18.モノクロエフェクター
19.REVIVER
20.With You

ENCORE
01.かくれんぼ
02.「花」-0714-
03.不可逆リプレイス


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