#FenderNews / Why We Play vol.6

Why We Play vol.6:Rei インタビュー【前編】

音楽と人、そして楽器。さまざまな表現手段の中から、なぜギターを選んだのか?そんな素朴な疑問にフォーカスを当て、ギタリストの内面に深く迫る連載企画「Why We Play」。今回はReiさんの登場です。

Why We Play

卓越したギタープレイとルーツを感じさせるソングライティング、20代女性の等身大の思いを綴った歌詞により、着実にファンベースを広げてきたシンガーソングライターのRei。現在、『Mahogany Girl』と銘打ったアコースティックツアー真っ最中の彼女に、待望のインタビューを敢行。4歳でクラシックギターを習い、小学生で早くもブルーズやロックに目覚めたという彼女のルーツについて、前編ではたっぷりと聞いた。

"音楽"というツールは新しい言語を手に入れた感覚だった
 

―  Reiさんが音楽を始めたのは、4歳の時だったそうですね?

Rei   はい。当時住んでいたニューヨークで、クラシックギターを始めたことがきっかけでした。テレビで女性がギターを弾く姿を観た4歳の私が、“I want that!”(あれ、欲しい!)って言ったらしいんですね。きっと、その女性がとても楽しそうに演奏していたので、オモチャか何かだと思ったのかもしれないです。

―  それで、5歳の時にはブルースに出会った。

Rei   当時通っていたのは、幼稚園と小学校が一緒になったようなところだったんですけど、その学校に存在していたビッグバンドで、お兄さん、お姉さんに混じってジャズやブルーズを演奏する機会があったんです。その時初めてエレキギターを手にして、インプロビゼーション、アドリブ演奏を含んだコンテンポラリーミュージックに触れることもできました。

―  インプロビゼーションの醍醐味はどこにありますか?

Rei   それまで習っていたクラシック音楽というのは、譜面にある音符を“間合い”や“ダイナミクス”で表現するものだったんです。でもインプロビゼーションは、自分の心が赴くまま音をチョイスしながら、その場で創造していくという。クラシックとはまったく違う“自己表現”なんです。そこに醍醐味を感じました。

―  クラシックとコンテンポラリー、両方を早いうちに体験したことは、今のReiさんの表現方法にも影響を与えていますか?

Rei   振り返ってみると、クラシックから始めたということで、譜面が読めるというのは強みだなって思います。技術的な面で言うと、たとえば運指などクラシックを学んで得したと思いますね。6フレットや7フレットくらい離れたところまで、指を広げて演奏するフレーズが現代クラシックギターの譜面には結構載っているので。

―  なるほど。

Rei   それと、ニューヨークというのはアーティストがたくさん集まっている街なので、たとえば同級生のお父さんがミュージシャンだったりもして。そういう環境でブルーズをはじめ、さまざまな音楽に出会えたというのも、良かったのかなと思います。

―  インプロビゼーションを学んだことで、初対面の人ともすぐに音を合わせられるようになったことも、Reiさんにとって大きな出来事だったのでは?

Rei   そう思います。私は兵庫県生まれのれっきとした日本人なんですが、幼少期にアメリカに渡ったために、日本語と英語、どっちつかずの期間がありました。そのせいで、友だちや周りの人たちとのコミュニケーションにもどかしさを感じていたので、“音楽”というコミュニケーションツールで会話ができるようになったことは、新しい言語を手に入れたような感覚でもありました。

フェンダーのギターは適応能力が高い
 

―  そんなReiさんが、ロックミュージックと出会ったのは?

Rei   帰国して小学校中学年の頃、ドラムをやっていたクラスメートに誘われてロックバンドにを結成したんです。私はクラシックギター奏者を目指していたんですけど、そのクラスメートからすれば“ギター=エレキ”だったんでしょうね(笑)。バンドでは、60年代のクラシックロック、たとえばザ・ビートルズやレッド・ツェッペリン、ディープ・パープル、ザ・フーなど、イギリスのロックをたくさんカヴァーしていました。すごく刺激的でしたね。ロックミュージシャンというのは、すごく“正直”に生きている人たちなんだなって。私自身、とても不器用な性格で、でも人には嘘をつきたくないってずっと思っていたので、“正直者の音楽”であるロックにすごく共鳴したんだと思います。

―  ロックに対しては、アティチュードの部分でも共感することが多かったのですね。そして、ロックを通じて本格的にブルースへハマっていったとか。

Rei   はい。ビートルズを通じてエリック・クラプトンやクリーム、ジョニ・ミッチェルのような、白人によるブルーズを知りました。アメリカで暮らしていた時はマイルス・デイヴィスやデューク・エリントンなど、ジャズ寄りのブルーズをやっていたのですが、それとはまた全然違うもので新鮮に感じました。

―  クラシックギター奏者になるのが夢だったReiさんが、エレキギターを持ってロックをやるようになり、何が一番新鮮でしたか?

Rei   "コード"という概念がクラシックにはなかったので、まずそこが新鮮でした。あと、ロックバンドを結成してから歌うようにもなって。ギターを弾きながら歌うというのも、自分にとっては新たな試みでしたね。

―  ちなみに、初めて手に入れたフェンダーのギターは?

Rei   今日持ってきたDuo-Sonic IIです。デビューアルバム『BLU』の裏ジャケにも登場しています。このギターを買ったのはニューヨークだったんですが、ロックバンドを結成した10歳の頃に本格的に弾き始めました。それからStratocasterやTelecasterも手に入れて。アンプもすべてフェンダーでしたね。

―  フェンダーのギターのどんなところに魅力を感じますか?

Rei   適応能力が高いところでしょうか。いろんな場面に似合うというか、相性が良く、バリエーションに富んだ音を1本のギターで出せる。それこそが“エレキギターのスタンダード”と言われる所以なのかなって思います。例えば30分から1時間に及ぶ、長い尺のセットリストをやるとき、ギターを使い分けるのもひとつの方法なんですが、楽曲の流れもありますし、なるべく少ないギターでやろうと思うと、幅広い音色を出せるギターが重要で。そこでたとえばStratocasterが1本あれば、尖った音からまろやかな音まで出すことができるじゃないですか。そういうところが気に入っています。

―  ところでReiさんは、ギターの練習って普段どのくらいしているんですか?

Rei   時間ではちょっとわからないんですよね。寝ている時や、食べている時、電車に乗っている時以外はずっと音楽に関することをしているので…(笑)。ただ、ギターの基礎練習というか、技術的なレベルを落とさないようにという意味では、工夫しながら毎朝運指練習はやっています。

―  日々の練習の中でもっとも大切なことは何でしょうか。

Rei   幸いなことに、小さい頃から周囲の環境には恵まれていて、色んなことを学ぶことができたのですが、中でも“Posture”、ギターを弾いている時の“姿勢”の大切さは今も感じています。長い間ギターを弾いていると、腰を痛めたりしがちなんです。すごくラクに弾いているようで、気がついたら猫背になっているなど、色んなところに負担がかかってしまうことがあります。なので、自分にとって一番ラクな姿勢を探りながらギターを弾くというのが、一番大事なことだと思っています。

―  ギターをやっている人にオススメする、役に立つ練習法ってありますか?

Rei   基本的なことですが、メトロノームは大事だと思います。好きなギタリストの曲をコピーするのはもちろん楽しいですし、やるべきだと思うんですけど、そればっかりしていると、その人のグルーヴまで自分の中に入ってくるじゃないですか。もちろん、それも肥やしにはなるんですけど、一方でリズムをスクエアに捉える“フラットな感覚”というのも、色んなミュージシャンとセッションする時に必要だと思うんです。ギタリストとしての適応能力を上げるためにも、メトロノームに対して正確に演奏する練習はオススメしたいです。

› 後編に続く

Why We Play
 
 
 

【Reiが所有するフェンダーコレクション】

Why We Play

■American Original '60s Jazzmaster
50 – 70年代の楽器を復刻したシリーズ「American Original」のジャズマスター。60年代の特徴を再現しつつも、9.5インチラジアスの指板を採用するなど、演奏性において現代的なエッセンスも取り入れている実用性の高いモデル。
› American Original '60s Jazzmaster製品ページ

Why We Play

■Newporter '67
アコースティックツアーでも愛用している本モデルは、中高域あたりが強調された“香ばしいサウンド”が気に入っているという。Telecasterのノイズレスピックアップを取り付け、貼り付けのピックアップとブレンドして、プリアンプで調整しながら音作りをしているそうだ。

■Duo-Sonic II '66
ニューヨークの中古楽器屋で購入したという本モデル、何と火事に遭った家屋から救い出したという、まことしやかな逸話付きだったという。ボディには、その時の煙の跡も付いていたが、中学生の時にブルーに塗装し今も愛用している。


Rei
93年、兵庫県伊丹市生。卓越したギタープレイとボーカルを持つ、シンガーソングライター/ギタリスト。幼少期をNYで過ごし、4歳よりクラシックギターをはじめ、5歳でブルースに出会い、ジャンルを超えた独自の音楽を作り始める。2015年2月、長岡亮介(ペトロールズ)を共同プロデュースに迎え、1stミニアルバム『BLU』をリリース。FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVAL、SXSW Music Festival、JAVA JAZZ Festivalなどの国内外のフェスに多数出演。2017年7月、CD+MUSIC BOOK『CRY』をリリース。同月、フランス・ベルフォールで行われたLes Eurockeennesに出演、12月より初のソロアコースティックツアー「Rei Acoustic Tour "Mahogany Girl"」を開催。2018年2月、CD+DVD『FLY』のリリース、3月より全国6箇所のリリースツアー「FLYING R TOUR 2018」も決定。

› Rei:http://guitarei.com

RELEASE INFOMATION
Rei『FLY [CD+DVD]』
CD+DVD|DDCB-12404|1,852+TAX|2018.02.21 Release
前作『CRY』と対になる新作『FLY』は、4曲の新曲を収録したCDと、 MUSIC FILMを収めたDVDによるCD+DVDの仕様にて発売決定。

TOUR SCHEDULE
「FLYING R TOUR 2018」
3月16日(金) 名古屋|JAMMIN'
3月17日(土) 大阪|Music Club JANUS
3月29日(木) 東京|SHIBUYA CLUB QUATTRO
4月06日(金) 札幌|BESSIE HALL ※w/Schroeder-Headz
4月08日(日) 仙台|LIVE HOUSE enn 2nd ※w/Schroeder-Headz
4月13日(金) 福岡|INSA

「FLYING R TOUR 2018 -reissue-」※追加公演
4月14日(土) 兵庫|神戸VARIT.